☆ガザのパレスチナ人大量強制失踪
12月16日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ガザ地区北部から、子どもを含む
「数千人のパレスチナ人の大量拘禁、虐待、強制失踪」に関する「多数の憂慮すべき報告」を受けたと発表した。
アムネスティ・インターナショナルの危機証拠研究所が検証した写真とビデオ映像は、
ガザ北部の都市ベイト・ラヒアでイスラエル軍が被拘禁者を非人道的かつ品位を
傷つける扱いをしている様子を映し出している。これらの被拘禁者の多くは、いまだに消息不明のままである。
ガザ地区の他のパレスチナ人(労働者やイスラエルへの入国許可を得た人びとを含む)もまた、強制失踪されたままである。
イスラエル当局は、10月と11月にガザ地区の労働者2人を含む少なくとも6人のパレスチナ人が
拘禁中に死亡したことを確認した。
「私たちは現在、イスラエル軍によるパレスチナ人被拘禁者の大量強制失踪の報告を調査しています。
イスラエル軍は、2カ月以上も強制失踪させられたガザ出身のジャーナリスト、ニダル・アル・ワヘイディ氏と
ハイサム・アブデルワヘド氏を含め、10月7日以降に拘禁した全員の消息と所在を早急に明らかにしなければならない。
イスラエル軍は、被拘禁者の逮捕理由を明らかにし、特にガザの人びとを互いに、
そして世界から切り離した通信障害に照らして、
拘禁されている人びとの家族に情報を提供するようあらゆる努力をしなければならない」と、
中東・北アフリカ地域局長のヘバ・モラエフは述べた。
すべての被拘禁者は人道的に扱われ、公正な裁判と適正手続きを受ける権利を保障されなければならない。
恣意的に拘禁されている人びとは全員釈放されなければならない。
イスラエルは、自軍による人権侵害を免責するという恐ろしい実績があり、
拘禁中のすべての死亡、強制失踪、拷問、その他のガザ地区のパレスチナ人に対する虐待の報告について、
独立した効果的な調査が緊急に必要であることを強調している。
10月7日、被占領ガザ地区出身のジャーナリスト、ニダル・アル・ワヘイディとハイサム・アブデルワヘドの2人は、
ガザ地区の周辺でハマスが率いるイスラエルへの攻撃を取材していたところ、イスラエル軍に拘束された。
彼らが最後に目撃されたのは、ガザ地区とイスラエルの間のエレズ交差点だった。
それ以来、イスラエル当局、すなわちイスラエル軍、警察、刑務所は、
彼らの所在や逮捕の法的根拠を明らかにすることを拒否している。
ガザの被拘禁者の運命に対するアムネスティの懸念は、アムネスティ・インターナショナルの
危機証拠研究所がここ数週間で確認した、
パレスチナ人男性が衣服を剥ぎ取られ、両手を縛られて下着姿で床にひざまずくことを余儀なくされ、
その上にイスラエル兵が立っている様子を映した吐き気を催すような画像やビデオによって高まっている。
アムネスティ・インターナショナルの危機証拠研究所は、12月7日にソーシャルメディアに投稿された、
ガザ北部の都市ベイト・ラヒアの路上で数十人の男性がイスラエル軍に拘束されている様子を
映した3枚の写真と1本のビデオをジオロケーションした。
写真には、被拘禁者が下着姿で写っており、中には身分証明書と思われるものが目の前に置かれている。
そのうちの1枚の写真には、被拘禁者が両手を縛られ、衣服を与えられずに別の場所に移送されている様子が写っている。
「これらの男性は尊厳を剥奪され、国際法に違反して非人間的に扱われた。
被拘禁者を嘲笑したり、故意に侮辱したりすることは正当化できない。被拘禁者が拷問を受けず、
または非人道的または品位を傷つける方法で扱われない権利は絶対的なものであり、
敵対行為に参加したかどうかにかかわらず、すべての人に適用されます。
武力紛争や占領下で行われた拷問、非人道的な扱い、強制失踪、個人の尊厳に対する非道な行為は戦争犯罪であり、
民間人に対する組織的または広範な攻撃の一環として行われた場合、人道に対する罪に相当する」とヘバ・モライエフは述べた。
「ガザの悲惨な光景は、国際社会の非難を浴びるべきであり、さらなる拷問、強制失踪、
その他の国際法上の犯罪を防止するための緊急調査と措置を正当化すべきである。
世界は、このような行為が常態化せず、人類に対する侮辱として認識されるようにしなければならない」と述べた。
アムネスティは、ハマスとガザのその他の武装勢力に対し、すべての民間人人質を即時かつ無条件に解放し、
すべての捕虜を人道的に扱い、赤十字国際委員会が人質と捕虜と面会できるようにするよう改めて求める。
人質と民間人の拉致は戦争犯罪である。
12月18日にハマスの武装部門が公開した3人の人質(いずれも高齢の民間人男性)のビデオのように、
人質の証言を録音し、公開することは、非人道的で品位を傷つける扱いにあたる。
2023年12月20日アムネスティ国際ニュース
☆ガザ即時停戦の要請
2023年12月27日
外務大臣 上川 陽子 殿
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
理事長 阿部 理恵子
ガザ地区での即時停戦に向けた積極的な行動を求める要請書
イスラエルとハマスその他の武装勢力との戦闘で多くの市民が犠牲になっています。
パレスチナ被占領地ガザ地区では、イスラエル軍の砲撃で街が大規模に破壊され、
人道支援物資の搬入が厳しい制限を受け、未曽有の人道危機で
ガザ地区200万人の人びとの命が危機に瀕しています 。
人道的戦闘休止期間に救援物資が搬入されたものの、戦闘休止はわずか7日間で終わり、
激しい戦闘が再開されました。終わりの見えない戦闘の中、
すべての紛争当事者による戦争犯罪を含む深刻な国際人道法違反は、とどまるところを知りません。
これ以上の民間人の犠牲に歯止めをかけるには即時停戦が必要なのは、火を見るより明らかです。
また、停戦になれば、すべての紛争当事者による人権侵害と戦争犯罪に関する
独立した調査の実施が可能になります。
今回の人道危機は、パレスチナ被占領地域で行われてきたこれまでの戦争犯罪、
アパルトヘイトを含む人権侵害 に対する長年の不処罰が招いたものです。
この不処罰に終止符を打ち、犠牲者への正義と補償を実現するために調査は極めて重要です。
日本政府はこれまでに、人道的な即時停戦を求める国連総会の決議案に賛成票を投じ、
安全保障理事会の 即時停戦決議にも賛成しています。
また、大臣 ご自身も、外務大臣談話で「すべての紛争当事者に最大限の自制を求める」と述べ、
11月29日付のG7外相の共同声明として、人道支援の拡大と人質の解放促進のため、
11月24日から始まった戦闘休止の延長と必要に応じた将来の休止を支持なさいました。
即時停戦は今まさに、 「必要」なのです。
戦闘再開後のガザ市民のための人道支援会合フォローアップ会合には ビデオメッセージで参加し、
ガザの人道状況に対する強い懸念を表明し、危機的状況の改善、
早期の事態の鎮静化のため戦闘休止合意への復帰の重要性を訴えていらっ しゃいます。
日本政府は、国連安全保障理事会の理事国として、そうしたお考えを一刻も早く行動で示すべきです。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対し、即時停戦実現のために、
あらゆる外交手段を用いて、当事国および安全保障理事国、いわゆる中東カルテット(米国、EU、ロシア、国連 )、
アラブ諸国に積極的にはたらきかけるなど、最大限の外交努力を発揮するよう求めます。
以上
☆ガザで停戦がなければ、歴史は私たち全員を裁くでしょう
〜国連パレスチナ難民救済事業機関事務局長〜
2023年10月26日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の
フィリップ・ラザリーニ事務局長は語った。
もう35週間以上もの間、人間の悲劇の耐え難い映像がガザから出てきています。
女性、子供、老人が殺され、病院や学校が爆撃され、誰も助からない。
本稿執筆時点で、パレスチナ難民のための国連機関であるUNRWAは、すでに35人の職員を悲劇的に失っており、
その多くが家族と自宅で過ごしている間に殺害された。
地球上で最も過密な場所の1つで、地域全体が破壊されています。
イスラエル軍は、ガザ地区のパレスチナ人に対し、北部を爆撃するガザ地区の南部に移動するよう警告している。
しかし、南部でも爆撃が続いている。ガザには安全な場所はありません。
約600万人が40の学校やUNRWAの建物に収容され、清潔な水、食料、医薬品が
ほとんどない不衛生な環境で生活しています。
母親は子供をきれいにする方法を知りません。妊娠中の女性は、病院に合併症を受け入れる能力がないため、
出産時に合併症に遭遇しないことを祈ります。
今は家族全員が、他に行くところがないので、私たちの建物に住んでいます。
しかし、UNRWAの施設は安全ではなく、学校や倉庫を含む150の建物が攻撃によって被害を受けました。
そこに避難していた多くの民間人が悲惨な死を遂げました。
ガザは過去15年間、空、海、陸の封鎖により、365kuにわたって220万人が窒息死する
大規模な野外刑務所と表現されてきた。若者の大半はガザを離れたことがない。
今日、この刑務所は、戦争、包囲、剥奪の間に挟まれた人々の墓場となっています。
ここ数日、最高レベルでの激しい交渉の結果、ついにガザ地区には非常に限られた
人道支援物資が到着する結果となりました。これは喜ばしいことですが、
これらのトラックは、この規模の人道的状況で必要とされる支援の流れではなく、ほんの少しの援助にすぎません。
トラック20台分の食料や医療品は、200万人以上の民間人のニーズを満たすための大海の一滴にすぎません。
しかし、ガザ地区では燃料供給は断固として拒否されている。
それがなければ、人道的対応も、困窮している人々への援助も、病院への電気も、水も、パンもありません。
10月7日まで、ガザ地区には、自動車、海水淡水化プラント、パン屋に電力を供給するための燃料45台を含む、
毎日約500台のトラックが食料やその他の物資を受け取っていた。
今日、ガザは首を絞められており、入る少数の車列は、世界から見捨てられ、
犠牲にされたと感じている一般市民の感情を和らげることはないでしょう。
10月7日、ハマスは、戦争犯罪にあたるかもしれないイスラエルの民間人に対する言語に絶する虐殺を犯した。
国連は、この恐ろしい行為を最も強い言葉で非難しました。
しかし、このことは、100万人の子どもを含むガザの民間人に対する現在進行中の犯罪を正当化するものではない。
国連憲章と私たちのコミットメントは、私たちの共通の人間性へのコミットメントです。
民間人は、どこにいても平等に保護されなければならない。ガザの市民は、この戦争を選ばなかった。
残虐行為の後には、他の残虐行為が続くべきではありません。また、戦争犯罪への対応も戦争犯罪ではない。
この点については、国際法の枠組みが非常に明確で確立されています。
この致命的な膠着状態の根源に立ち返り、平和、安定、安全の環境につながる実行可能な政治的選択肢を
提案するには、誠実で勇気ある努力が必要です。その間、国際人道法のルールが尊重され、
民間人が救われ、保護されることを確保しなければなりません。
ガザ地区における燃料、医薬品、水、食料への安全、継続的、かつ無制限のアクセスを可能にするために、
即時の人道的停戦が宣言されなければならない。
国連第2代事務総長のダグ・ハマーショルドはかつて、
「国連は私たちを天国に連れて行くために作られたのではなく、私たちを地獄から救うために作られた」と言いました。
今日のガザの現実は、人類はあまり残っておらず、地獄が始まっているということです。
これからの世代は、この人類の悲劇がソーシャルメディアやニュースチャンネル
で展開されるのを見たことを知るでしょう。
知らなかったとは言えません。歴史は、なぜ世界が断固として行動し、
この地上の地獄に終止符を打つ勇気を持てなかったのか不思議に思うでしょう。
出典:https://www.theguardian.com/commentisfree/2023/oct/26/
翻訳:Agence Media PalestineのAJC
☆イスラエル/パレスチナの戦争犯罪
〜平和構築への道は〜
※ この記事は10月12日発表であるため、犠牲者の数は現在と違います。
10月7日にガザ地区のハマスによる無差別ロケット弾攻撃が始まって以来、
イスラエルでは子どもを含む民間人1,200人以上が死亡し、2,400人が負傷した。
ガザ地区では、イスラエル軍の報復攻撃で少なくとも1,200人が犠牲になった。
イスラエルが、水、電気、食料、燃料などの供給を止める封鎖措置を取ったことで、
ガザ市民が直面する人道危機は深刻化する一途だ。
イスラエルの封鎖はガザ住民に対する懲罰であり、戦争犯罪にあたる。
民間人の虐殺は戦争犯罪であり、このような攻撃を正当化することはできない。
アムネスティは武装した男たちが民間人を銃撃し、人質として引きずっていく様子を映した動画を検証した。
こうした犯罪は、国際刑事裁判所が進めている現紛争におけるすべての当事者による犯罪の捜査に含めなければならない。
C
イスラエルがこれまでに戦争犯罪を行ってきたからといって、パレスチナ武装勢力の恐ろしい行為は許されるものではない。
また、人道と民間人保護の基本原則を尊重するという国際法上の義務も免除されはしない。
イスラエル政府当局によれば、イスラエル南部の数カ所で民間人が殺害されたのに加え、
少なくとも150人の人質がガザに連れ去られた。子どもや外国籍の人たちもいた。
民間人の拉致は国際法が禁じていて、戦争犯罪にあたる。ハマス側は人質にした市民を直ちに解放しなければならない。
アムネスティが検証した動画には、10月7日、ガザ地区に近いイスラエルの住宅地やその周辺で、
ハマスの戦闘員が民間人を拉致し、殺害する様子が写っていた。
軍服を着た6人の男たちに後ろ手を縛られて連行される4人の民間人、
同じ場所で彼らが遺体となって映っている映像など、衝撃的な映像ばかりだった。
イスラエルのキブツ(農業共同体)ベエリの様子を撮った動画には、軍服を着た2人の男が至近距離から車に発砲し、
運転手と同乗者2人を殺害し、3人の遺体を車に積み込む様子が残っていた。
別のキブツ、クファル・アザでもレイムでも、武装した男たちが至近距離から
車や防空房に隠れている市民に向かって発砲していた。
野外音楽祭会場を襲撃
10月7日の攻撃で特に死者が多かったのが、ガザ地区との境界近くで夜通し行われていた音楽祭の会場だった。
早朝7時ごろに始まったハマスの奇襲攻撃で少なくとも260人が犠牲になった。
アムネスティのクライシス・エビデンス・ラボは、18本の動画を検証した。
多くは生存者が撮ったものだったが、1本は武装組織のメンバーが撮影したものだ。
7本の動画には、武装した男たちが民間人を撃っている様子が映っていた。
背後には銃声が飛び交っていた。5本の動画には、近くの野原を通り抜けたり茂みに隠れるなどして
逃げようとする人びとが映っていた。人質に取られる場面の動画も4本あった。
アムネスティは、生存者の1人(22歳)に話を聞いた。
「襲撃直後すぐに森に逃げ込み、穴を掘って入り、木や葉っぱで体を覆った。
6時間ほども隠れていた間、銃声が絶え間なかった。戦闘員が逃げ惑う人たちを撃つ様子が見えた。
戦闘員があちこちに燃料を撒いていた。逃げて撃たれるか、燃やされるか、二つに一つだった。
目をつぶると恐ろしい光景が浮かんで眠れなかった。
あちこちにある死体、燃えている車の中に閉じ込められた人たち、血の匂い・・・」
繰り返される残虐行為を終わらせるために行動を
アムネスティは国際社会に対し、パレスチナ人とイスラエル人それぞれの人権が守られ、
犠牲者の正義と補償が約束されるよう、あらゆる措置を講じることを求める。
パレスチナ武装勢力とイスラエル当局の双方は、国際人道法を厳格に遵守するべきだ。
とりわけ、敵対行為の際、人道性を確保し、民間人の被害を最小限に抑えるために必要な予防措置を講じ、
違法な攻撃や民間人への集団懲罰を控えなければならない。
アムネスティはガザのすべての武装勢力に対し、民間人の人質全員を即時、無条件で解放するよう求める。
イスラエルに対しては、16年間続くガザ封鎖の解除をあらたあらためて要請する。
イスラエルは民間人を殺傷し民家やインフラを破壊する攻撃に終止符を打たなければならない。
2021年、国際刑事裁判所はパレスチナ情勢の調査を開始した。
その対象には、パレスチナ人に対するアパルトヘイトという人道に対する罪だけでなく、
現行の戦闘で全当事者が犯した国際法上の罪も含まれる。
アムネスティは国際刑事裁判所の検察官に、捜査を迅速に進め、最新の犯罪も対象とするよう求める。
今回の攻撃は、イスラエルとパレスチナ被占領地をめぐるより広い文脈の中で考えなければならない。
しかし、アムネスティは、戦争犯罪は何をもってしても正当化できないということを、
可能な限り強い言葉で繰り返す。
この暴力の根本にある不公正と違反行為は、喫緊の課題として対処しなければならない。
イスラエルによるガザ封鎖などパレスチナ人へのアパルトヘイト体制が解体されるまで、
双方の市民は大きな代償を払い続けることになる。
法的枠組み
武力紛争の状況下で適用される国際人道法は、すべての紛争当事者に対し民間人の保護や
戦争における人びとの苦痛の軽減に取り組む義務を課している。
イスラエル軍とパレスチナ武装組織との戦闘には、国際人道法の慣習法規則含め、
敵対行為に関する規則が適用される。この文書で特に関連するのは、
民間人への直接攻撃、殺害、人質、無差別攻撃の禁止だ。
国際人道法の大原則として、いかなる場合も紛争当事者は民間人や民間インフラを攻撃してはならず、
攻撃の回避のためにあらゆる手段を講じなければならない。
背景情報
2007年以来、イスラエルはパレスチナのガザ地区に空・陸・海の封鎖を敷き、ガザ市民に対する懲罰体制をとってきた。
10月7日から始まった戦闘は、イスラエルとガザ地区の武装組織間の6度目の大規模な紛争になる。
アムネスティは2022年2月に、イスラエル軍がパレスチナ人に対する抑圧と支配の体制を維持する目的で、
民間人に対する広範かつ組織的な攻撃の一環として、
国際刑事裁判所規程とアパルトヘイト条約で禁止されている行為を、
ガザ、ヨルダン川西岸地区、イスラエル国内で行っていることを明らかにした。
こうした行為はアパルトヘイトという人道に対する罪を構成している。
イスラエルによるパレスチナ人へのアパルトヘイト/残虐な支配体制と人道に対する罪
不偏不党の人権団体であるアムネスティは、武力紛争のすべての当事者が
国際人道法と国際人権法を遵守するよう求める。
したがって、今後はイスラエルのガザ地区における軍事行動を調査し、
民間人や民間施設への被害を最小限に抑えるために必要な予防措置を講じているか、
国際法で義務付けられている違法な攻撃や民間人に対する集団罰を控えているかなど、
国際人道法を遵守しているかどうかを判断する。
また、ハマスとパレスチナ武装集団の活動についても引き続き監視していく。
2023年10月12日 アムネスティ国際ニュース
☆イスラエル/パレスチナ戦闘激化
〜民間人への攻撃は戦争犯罪〜
10月7日に勃発した戦闘で民間人の死者が増える中、イスラエル軍とパレスチナ武装勢力は、
市民の生命を守るためにあらゆる努力を尽くさなければならない。
パレスチナ被占領地ガザ地区の武装組織ハマスがイスラエルに向けてロケット弾を発射し、
戦闘員がイスラエル南部に侵攻するというかつてない作戦に出た。
ガザ、イスラエル、ヨルダン川西岸地区での民間人の死者の増加が憂慮される。
紛争当事者は国際法を遵守し、これ以上の民間人の流血を避けるために
あらゆる努力を払うことが強く求められる。
国際人道法では、紛争当事者には紛争に巻き込まれた市民の命を守る義務がある。
民間人の意図的あるいは無差別攻撃は戦争犯罪にあたる。
イスラエルは過去にガザ紛争で戦争犯罪を行ってきたし、
ハマスも過去に民間人を標的に無差別に攻撃したことがあった。
両者とも戦争犯罪に相当する行為を控えなければならない。
パレスチナ保健省によると、イスラエルによるガザ地区への報復攻撃で232人以上が死亡、
1,700人近くが負傷した。一方、イスラエルのメディアによると、ハマスの攻撃で250人以上が死亡、
イスラエル保健省によると1,500人以上が負傷したという。
イスラエル軍はメディアに、パレスチナ武装勢力にイスラエル市民や兵士が拉致され、
人質に取られていることを認めた。民間人の拉致と人質は国際法で禁じられており、
戦争犯罪を構成する可能性がある。人質となっているすべての民間人は、無傷で即時解放されなければならない。
また、こうした暴力の連鎖が繰り返される根本原因にも早急な対応が求められる。
国際法を守り、イスラエルによる16年にわたる違法なガザ封鎖やパレスチナ人に対する
アパルトヘイト体制を解除する必要がある。
イスラエル政府は、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、
特に宗教施設周辺での暴力や緊張を煽る行為を控えなければならない。
また、国際社会は、民間人を保護し、人びとがこれ以上の苦しみを
味わわなくても済むように介入する必要がある。
背景情報
2007年以来、イスラエルはガザ地区を空・陸・海から封鎖し、
全住民に懲罰を加えるような対応をとってきた。
イスラエルはこの5月、ガザ地区を攻撃しパレスチナ人家屋を破壊した。
アムネスティの現地調査で、イスラエルの攻撃は多くの場合、軍事的必要性がなく、
民間人に対する集団的懲罰に相当することが明らかになった。
アムネスティは昨年2月、イスラエル軍がガザ地区とヨルダン川西岸で、
ローマ規程とアパルトヘイト条約が禁じる行動を取ってきたことを報告した。
これらの行動は、パレスチナ人に対する抑圧と支配の体制維持を目的とした
民間人に対する攻撃であり、アパルトヘイトという人道に対する罪を構成する。
2023年10月7日アムネスティ国際ニュース
☆不当な容疑で半年間勾留されているパレスチナ人少年
〜実家取り壊しの懲罰的措置〜
ムハンマド・ザラバニさん(13歳)は今年2月、被占領東エルサレムのシュアファト難民キャンプの検問所で、
バスに乗りこんできたイスラエル国境警察官を刺そうとしたところを取り押さえられた。
しかしその直後、警備員が発砲した銃弾が誤って警察官に命中し警察官は亡くなった。
検視の結果、国境警察官の死因は銃弾だったことが確認されたにもかかわらず、
ザラバニさんは殺人容疑で起訴され、現在、少年施設で裁判を待っている。
この事件後、イスラエル軍はザラバニさんへの懲罰として両親と兄弟3人が暮らす
シュアファトの自宅の取り壊しを命じた。イスラエルの人権団体ハモクドはこの命令に抗議する請願書を
提出したが、最高裁に却下された。
懲罰としての取り壊しは、違法な集団的懲罰の一形態である。
集団的懲罰は戦争犯罪であり、ジュネーヴ第4条約の重大な違反行為だ。
最高裁の判決は、国際法をないがしろにするイスラエルの姿勢が、あらゆる機関に浸透していることを示した。
また、最高裁がパレスチナ人に対するアパルトヘイトに加担しているということでもある。
少年の家族は襲撃のことを事前に知らされず、襲撃は少年の単独行動であることは、検察も認めている。
にもかかわらず、正義と法の支配とは無縁のイスラエルの報復で
パレスチナ人家族は自宅を失いかねない事態に直面している。
一方、ムハンマドさんは未成年にもかかわらず勾留され、犯してもいない罪で長期間収監されるおそれがある。
被占領パレスチナ地域で懲罰的取り壊しがあれば、その後イスラエル軍が取り崩された家屋の近隣を襲撃し、
深刻な被害を引き起こす事態が繰り返されてきた。
家屋の取り崩しは社会全体に恐怖心を植え付けるため、
イスラエルによるパレスチナ人への抑圧と支配の一手段になっている。
背景情報
パレスチナ人がイスラエルの軍や民間人を襲撃し、あるいは襲撃した疑いがある場合、
そのパレスチナ人家族はイスラエル当局から懲罰として自宅を取り壊される。
イスラエルの最高裁はパレスチナ人の犯罪を抑止するとして、ほとんどの取り壊し命令を認めてきた。
2005年、襲撃を抑止する効果がないと判断したイスラエル軍事委員会の勧告に基づき、
懲罰的取り壊しは停止された。しかし、取り壊しは2014年に再開され、
それ以来何百人ものパレスチナ人が家を失ってきた。
2023年8月25日 アムネスティ国際ニュース
☆パレスチナ旗の公共の場での掲揚制限を強化するイスラエル政府
〜国籍、表現の自由、平和的集会の権利侵害〜
イタマル・ベン・グヴィル国家安全保障相は1月8日、警察に発令した指令で
パレスチナ旗をテロの象徴だとして公共の場から排除するよう命じた。
当局は、この指令には「政府に対する扇動を阻止する狙いがある」と言うが、
イスラエルはこれまで、反政府的意見を封じ込め、抗議活動を制限するなどの措置を
相次いで取ってきた。また、パレスチナ市民への弾圧を強め、
パレスチナ人活動家の逮捕や行政拘禁命令を頻繁に発令してきた。
イスラエル当局はパレスチナ人に対する人種差別と差別を正当化するために
さまざまな措置を導入してきた。今回の指令もその一環であり、
「扇動を阻止する狙い」といくら言ったところで、アパルトヘイト体制に反対する人たちに対する
容赦ない攻撃であることは、隠せない。
市民的、政治的権利に関する国際規約の締約国であるイスラエルには、
国内の全市民の表現と集会の自由の権利を保障する義務がある。
イスラエルはまた、国家的、人種的、宗教的憎悪の唱道による
差別、敵意、暴力の扇動を禁止する義務を負っている。
パレスチナ旗を公共の場で掲げる行為を制限することは、
国際規約の締約国としての義務を無視している。
何十年もの間、パレスチナの旗はパレスチナ人にとってイスラエルの違法な占領に対する
団結と抵抗の象徴であり、世界中でパレスチナ人の連帯の象徴として使用されてきた。
今回の命令自体が人種的憎悪の炎に油を注ぎ、分断を生んでいるにもかかわらず、
イスラエル当局が扇動を理由に指令を正当化するのは滑稽でしかない。
イスラエルは、アパルトヘイト体制の中で数多くの政策を打ち出してきた。
いずれの政策も、パレスチナ人の存在を小さくしてできるだけ見えないものととなるようにし、
パレスチナ人の声を封じる狙いがあった。
制限の歴史
イスラエルは長い間、パレスチナ旗を掲げる行為を規制してきた。旗の掲揚は違法ではないが、
当局が社会の秩序を脅かすと判断すれば旗を排除することができる。
1967年にパレスチナ地域を占領したイスラエルは、その後パレスチナ人が政治的テーマで行う10人以上の
行進、集会、追悼行事などに許可を求め、許可なく実施すれば、処罰する軍令を発令した。
ここでの「政治的」とは何か、その説明がないこの軍令後、
抗議行動は平和的なものも含め事実上禁止されてきた。
また、軍の許可なく旗や紋章の掲示、政治的意図があるとみなされる書物の出版が禁止された。
昨年5月、イスラエル軍に殺害されたパレスチナ系米国人記者シリーン・アブ・アクレさんを
悼む行列に多数のパレスチナ人が参加する中、警察は参列者からパレスチナの旗を没収した。
昨年6月には、国営施設でのパレスチナ旗の掲揚を禁止する法案が予備審査を通過している。
2023年1月11日 アムネスティ国際ニュース
☆終わりなき収容 入管法改悪の動きに声を上げる移住者
入管法改定案に反対し、衆議院可決に抗議します
入管法改定案が、通常国会に提出され、5月9日、衆議院で可決されました。
衆議院採決に抗議し、まもなく開始される参議院において廃案とすることを求めます。
人道に反し、一昨年廃案になった入管法改定案
本法案は、政府が2021年の通常国会で廃案になった入管法改定案と、
ほぼ同じ内容であり、衆議院で行われた一部修正を経ても、
多くの人の命や人権を脅かす、以下の重大な問題を含んでいます。
・低い難民認定率に改善策をとらない一方、難民申請者の送還を可能にし、
迫害を受ける恐れがあ るのに難民を本国に送り返す。
・送還忌避罪を創設し、帰国できない事情があるため在留を希望する人に刑罰を加える。
・監理措置制度により、在留資格のない外国人の監視を支援者らが
引き受けない限り解放せず、無 期限の長期収容制度を存続させる。
・在留特別許可制度の縮小と、問題のある判断要素の法定で、同制度による救済を狭める。
これらの問題点を、国連人権理事会の、移民の人権に関する特別報告者、
恣意的拘禁作業部会、宗教または信条の自由に関する特別報告者らによる
日本政府宛共同書簡(4月18日付)も指摘し、法案の見直しを求めました。
国際法・政治思想・社会学等の研究者425 人も、4月17日付で反対声明を発表しました。
衆院法務委員会における可決に対し、多数の新聞社説が批判をし、また私たちが呼びかけ、
実施中の反対署名には、5月8日時点で198,557 筆という多数が寄せられ、
2年前にもまして市民の批判の声が広がっています。
審議でも問題点が明らか
衆議院法務委員会の審議でも、2021年3月に名古屋入管に収容されていた女性ウィシュマさんが
亡くなった重大な事態について、あたかも再発防止に資する法案であるかのような
説明をしていた政府委員も、「監理措置」制度の下でもウィシュマさんが
解放されていたかどうか判らないとしか答えられませんでした。
難民の保護についても、3回目の難民認定申請の審査請求で難民認定された例が
あることが明らかになり、3回目以降の申請者の送還を可能とする法案の危険性があらためて指摘されています。
さらに、入管庁の法案資料「現行入管法の課題」で、2021年4月21日に行われた衆議院法務委員会における
参考人となった難民審査参与員の1人が、約2000件について対面で聞き取りをしたと述べた上
「難民の認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、
皆様、是非御理解ください。」と発言したことを引用して、難民認定率の低さを正当化していました。
しかしながら、2023年4月21日に衆議院法務委員会に参考人として出席した2名の現役難民審査参与員は、
いずれも年間処理件数50 件程度と述べていました。参与員制度は2005 年に施行されました。
2021年までの16年間時点で2000件を担当したということは、平均すると年間125件、他の参与員の2.5 倍です。
あまりに不自然であり、少なくともこのような件数の対面聞取りによる慎重審査は不可能です。
2回目までの難民認定申請がずさんな処理をされているのであれば、
送還停止効の制限が難民にとって危険であることが、さらに明らかです。
犠牲を繰り返さないために、さらに多くの反対の声を
与野党間でなされる修正協議のように、政治に譲歩は必要なこともありますが、
人権が蹂躙されるのを前にして、譲歩の余地があるのでしょうか。
人権が侵害されている人たちにとって、さらに侵害しようとする入管庁への
譲歩とは何を意味するのでしょうか。人権条約に違反している政府との間で譲歩することは、
日本にとって何を意味するのでしょうか。
移民、難民の人たちに対する非人道的な政策はやめさせるべきであり、
まして悪化を許すべきではありません。
私たちは、引き続き、入管法改定案の成立に反対します。
非人道的な収容による犠牲を繰り返させず、苦境にある難民等の人たちの排除をさせないために、
さらに多くの市民の皆さんに、私たちと共に法案に反対してくれるよう呼びかけます。
2023年5月9日
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク
全国難民弁護団連絡会議
日本カトリック難民移住移動者委員会
入管問題調査会
全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い
特定非営利活動法人 ヒューマンライツ・ナウ
☆終わりなき収容 入管法改悪の動きに声を上げる移住者
日本政府が、国会に提出した「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案」には、
当局が移民らを無期限に収容する権限を強化する抑圧的な内容が含まれ、
庇護希望者などから日本の出入国管理制度が抱える非人道性を批判する声が上がっている。
今回、アムネスティ・インターナショナルは数年間も収容されている人を含む、
30人あまりの移民や庇護希望者に聞き取りを実施した。その証言から、
入管収容の過酷な状況や当局の対応の中で、被収容者の中にはハンガーストライキや
自死に追い込まれている人たちがいる実態が明らかになった。
国会では移民の権利を侵害する入管法改正法案の手続きが始まっている。
「移民や庇護希望者の証言は、日本の難民申請に関わる過酷な現実を浮き彫りにしている。
彼らが語るのは、必要な時に誰からも支援を得られず、
監獄のような入管施設での恣意的で終わりの見えない収容の実態だ」と
アムネスティ日本の中川英明事務局長は言う。
「日本の入管収容制度に改革が必要なのは明らかであるにも関わらず、
当局は庇護希望者や非正規移民の収容を可能にする改正法案の成立に向けて動いている」
2度目の改正法案提出
日本政府は、庇護を求めて入国した人や入国後に庇護を求めようとする人を含む
非正規移民を無期限に収容することを可能にする入管法改正法案を国会に再提出する予定だ。
同法案では、恣意的で国際法違反となる収容を前提とする現行の入管法の根幹が維持されている。
政府は2021年2月に改正法案を国会に提出したが、
その翌月、スリランカ国籍の庇護希望者ウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が
入管施設内で亡くなったことに対する世間の激しい非難を受け、法案を取り下げた。
ウィシュマさんは繰り返し痛みを訴えていたにも関わらず、治療を受けられなかった。
医者の診察を求めて何度も申請書を提出し、仮放免を求めた。
最後に提出した申請書の文字は判読が困難なほどだった。
2022年8月に入管が実施した内部調査で、職員は仮放免を求めるウィシュマさんの嘆願を
黙殺していたことが発覚した。また、職員はウィシュマさんが外に出たいがために
仮病を使っていると考えていたことも明らかになっている。
さらに、職員はウィシュマさんに「自分の置かれている状況を理解させるため」として、
仮放免の申請を意図的に却下したことも判明している。
同法案は6月までの今国会の会期中、いつ通過してもおかしくない状況にある。
アムネスティ・インターナショナルは、現在収容中、あるいは過去に入管施設に収容された経験を
持つ人たちを対象とする聞き取り調査を2022年10月から11月にかけて実施した。
また、法務省管轄の出入国在留管理庁(入管庁)の職員や入管収容の問題に取り組むNGOの関係者にも話を聞いた
これらの聞き取りを通じて、恣意的かつ無期限の収容や、暴行、独居拘禁、
不適切な医療など入管職員による不当な扱いなど、被収容者に対する人権侵害事例が確認された。
日本の難民認定率はG20加盟国でも際立って低い水準にあり、2021年に認められた事例はわずか74件に留まっている。
この年には1万件以上の申請が却下されており、認定率は1%未満とみられる。
庇護の拒否 自由のはく奪
聞き取りでは、被収容者の口から「懲罰」という言葉が何度も聞かれた。
入管施設では、職員が「問題を起こした」被収容者に「懲罰」を与えることが常態化しており、
中には独房に監禁されることもあるという。
ネパール人の元被収容者は、職員から身体的な虐待を受け「懲罰室」に放り込まれたと証言する。
運動中だった当人が運動を中断して職員の話を聞かなかった、というのがその理由だという。
「何十人もの職員がやって来て、私を殴ったり平手でぶったりし、隔離室に連れ行かれた。
その後の記憶はないが、気が付いた時には6時間が過ぎていた。
また、医療や食事の対応がひどいと言っただけで何度も隔離された」
入管はウィシュマさんが亡くなってからは医療体制の改善に努めていると言うが、
アムネスティが行った一連の聞き取りでは、ウィシュマさんの件に関する調査後も
医療面での対応に改善があったと感じている人は1人もいなかった。
ソマリア出身の男性は次のように語る。「朝起きた瞬間から私たちは動物のような扱いを受ける。
勉強したり学んだりする機会はないし、何もすることがない。あそこにいれば洗脳されてしまう」
ハンガーストライキと自殺未遂
収容施設から解放される方法は限られているが、その一つに期限付きの「仮放免」と呼ばれる措置がある。
だが、仮放免が認められるのは稀であり、そもそもその要件に関する明確な基準がないため、
認定プロセスは職員の裁量次第となっている。
たとえ仮放免されたとしても、財政的な支援を受けたり仕事に就いたりすることができず、
医療保険など公的支援を得ることもできない。その結果、基本的な権利を享受することすらできない。
にもかかわらず、被収容者は仮放免を求めて極端な行動に出ることもある。
「入管収容施設を出る唯一の方法は、病気になるか餓死寸前までハンガーストライキを続けるかしかない。
ただ、仮放免を認められても外にいることができるのは2週間だけで、
その間に病気を治さないといけない」と被収容者は語る。
入管庁は「この5年で餓死したのは1人だけだ」と話す。
今回聞き取りをした被収容者や元被収容者の中には、自殺未遂を目にしたという人が複数いた。
被収容者の1人は、「自分の喉を切って死のうとしていた人がいたし、
洗剤を飲んで死のうとした人もいた」と語った。
他にも首を吊る、自分の首を絞める、大量の薬を摂取して自殺を図るなどの目撃談があった。
聞き取りに応じた1人は、自らも自殺を図ったことがあると話した。
2022年11月18日には、東京出入国在留管理局に収容中の50代のイタリア人男性が
テレビのコードで首を吊って亡くなった。仮放免許可が取り消され、再収容された直後のことだった。
アムネスティの調査によれば、2007年以降、入管施設で亡くなった被収容者は17人で、
そのうち自死と見られるのは本件で6例目になる。
「こうした証言からも、日本政府が入管施設への一律収容、長期収容を廃止すべきなのは自明だ。
収容する場合でも、その期間は可能な限り短期間で、
残虐で非人道的または品位を傷つけるような取り扱いをしてはならない」
(アムネスティ・インターナショナル日本・中川英明事務局長)
「収容の要件やその法的根拠、収容期間に異議を唱える権利を被収容者に与えるべきであり、
収容中は適切で迅速な医療を提供しなければならない。
今回、政府が提出した改正法案は、こうした点をすべて素通りしている。
即刻廃案とし、庇護希望者や非正規移民の尊厳が保たれるような内容の法案に差し替えるべきだ」
背景情報
国際人権法に基づき、移民、難民、庇護希望者は自由であるという法的推定を受けなければならない。
仮に被収容者の自由を奪うのであれば、その行為は法律で明確に規定され、
正当な目的により厳格に正当化され、必要かつ妥当で、非差別的なものでなければならない。
国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会は、出入国管理上の無期限の収容は
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に違反するとしている。
また、現在の日本の収容方針は恣意的拘禁にあたり、
司法審査の機会が与えられていないことは自由権規約に違反するともしている。
2023年3月14日 アムネスティ国際ニュース
☆グアンタナモ収容所閉鎖を
現在(2023年1月)、アムネスティアメリカ支部は、グアンタナモ収容所の問題を下記のように訴えて、
閉鎖をバイデン大統領に求める署名アクションを行っています。
「グアンタナモ湾の軍事拘禁施設は、米国の人権記録に対する明白で長年の汚点です。
今日、35人のイスラム教徒の男性を拘束し続けており、ほとんどが起訴や裁判に直面することはありません。
トフィク・アル・ビハニのように、多くは米国政府によって拷問を受けました。
そして、トフィクは、他の19人の被拘禁者とともに、他の国への移送を許可されたが、
起訴も裁判もないまま投獄されていました。
バイデン大統領は、任期満了前に拘置所を閉鎖することにより、
これらの進行中の虐待を終わらせる重要な機会を持っています。
グアンタナモを閉鎖し、すべての被拘禁者を人権が尊重される国に移送することにご協力ください。
今すぐ行動して、バイデン大統領にグアンタナモ湾の拘留施設を閉鎖するように伝えてください!」
☆イラン軍幹部 抗議デモに「容赦ない対応」
「ヒジャブ」(頭を覆う布)の着用が不適切だとして逮捕された女性の拘束中の死に抗議の声が上がる中、
軍上層部が全州の軍司令官に、デモ隊には「容赦ない対応を取れ」と指示していることがわかった。
アムネスティが入手した内部文書には、抗議する市民の排除に手段を選ぶなという方針が記されていた。
内部文書を詳細に分析したところ、イラン当局は革命防衛隊、民兵組織バシジ、法執行司令部、
機動隊、私服警官などを投入して抗議デモの徹底鎮圧を図っていることが明らかになった。
また、治安部隊がデモ参加者を殺傷する意図を持って殺傷力の高い武器や実弾を各地で使っていたこともわかっている。
こうした弾圧により、9月25日時点で少なくとも52人が死亡し、数百人が負傷している。
当局による違法な殺害が罪に問われない事態が続く中、暴力的鎮圧で子どもを含む男女多数が当局の犠牲になった。
いずれの犠牲者も治安部隊の脅威になるような行動を取っていなかったことは、
アムネティが入手した証言や画像から明らかだった。
国際社会は、イラン当局を非難する声明を出すだけでなく、断固とした協調行動を取る必要がある。
さもなければ、声を上げる市民への暴行や拷問、投獄、殺害が、さらに増えることになる。
軍がデモ鎮圧に手段を選ばない方針を出している中、国際機関が独立した立場でイラン当局による暴力を調査し、
責任を追及する体制が必要であることが浮き彫りになった。
国による隠蔽工作
入手した文書によると、軍総司令部が全州の司令官に、「問題を起こす連中や反革命市民には、
容赦ない対応を取れ」と命じたのは9月21日だった。同日夜、各地で抗議する市民に殺傷力の高い武器が使用され、
子どもを含む男女多数が犠牲になった。
アムネスティは、9月19日から9月25日までの1週間に殺害された少なくとも子ども5人、
女性5人を含む52人の名前を確認した。実際にはこれらの人数よりはるかに多いとみられ、
アムネスティは犠牲者の特定を続けていくつもりだ。
アムネスティが確認した写真や動画から、ほとんどの犠牲者は治安部隊の銃弾に倒れたことがわかる。
イラン当局は、責任を逃れるために犠牲者は「暴力的な人物」だと説明したり、「
暴徒に殺された」と主張したりするなど虚偽の説明を繰り返した。
また、犠牲者の家族を脅したり、金銭的補償を約束したりして、最愛の身内の死の責任はイランの「敵」のために働く
「暴徒」にあるなどと説明する動画を録画するよう、強要している。
デモ参加者への拷問
デモ参加者やデモの見物人らが、治安部隊から暴行や不当な扱いを受けていることも
アムネスティの調べでわかっている。また、抗議の意思を示すためにヒジャブを脱いだ女性たちが、
治安隊員に胸を掴まれたり、髪の毛を引っ張られたりするなど、
ジェンダーに基づく暴力を受けている事態も確認されている。
9月28日、デモ参加者の一人はアムネスティにこう話した。
「デモに参加して殴られている人たちがいた。
友人の話では、女性が髪を掴まれて地面を引きずられた。服ははだけていた。
2日前には、数人の友人が警官に罵られながら警棒で殴られ、また脚にあざが残るほどの
暴力を受けた女友だちが、脚を撃たれそうになったときに別の警官の制止で難を逃れるということがあった」
映像や記事から一部のデモに暴力行為があったことは事実だが、
かとい局による殺傷武器の使用が正当化されるわけではない。
国際人権法・基準は、一部の抗議者が暴力に及んだとしても法執行機関は、
抗議する人たちが、治安部隊による不当な妨害や脅迫を受けないようにしなければならないと定めている。
限定的暴力に対する武器の使用は、国際法が定める合法性、必要性、相応性の原則に
例外なく従わなければならない。治安当局に銃器の使用が許されるのは、
差し迫った身の危険から自身や他人を守る場合で、
殺傷力に欠ける武器では身の安全を確保できない場合のみに限定される。
2022年9月30日 アムネスティ国際ニュース
☆難民・移民を拘束し帰国を強要
ラトビア当局は、ベラルーシとの国境で難民・移民を森の中の非公開の場所で拘束し、
暴力的に押し戻している。殴打や電気ショックを加えられた人、「自主的」に帰国させられた人もいる。
アムネスティはラトビア当局による難民・移民の残酷な扱いを調査し明らかにした。
難民・移民は「自主的」な帰国を受け入れるか、拘束・拷問のおそれのある国境で
立ち往生するかという究極の選択を突き付けられている。
男性、女性、子どもが国境沿いの凍えるような寒さの森に放置され、テント生活を強いられたりしている。
暴力的にベラルーシに戻されるが、そこでの庇護は望めない。国際法、EU法を無視した行為だ。
昨年8月10日、 ラトビア政府はベラルーシにより国境に行くよう促された
難民・移民の急増を受け、非常事態宣言を出した。
非常事態で、EU法、国際法、迫害の危険がある国への送還を禁止するノン・ルフールマンの原則に反して、
国境沿いの4カ所での庇護を求める権利が停止され、
ラトビア当局は人びとを強制的にベラルーシに戻すことが可能になった。
時間の経過とともに移動が減少し、件数には何度も入国を試みる人が含まれていると
当局自ら認めているにもかかわらず、非常事態宣言は何度も延長されている。
最新の延長で、非常事態は現在2022年11月まで続く。
何十人もの難民・移民が不衛生な環境の中、国境のテントで拘束されている。
ごく一部の人は入国を認められたが、大多数は収容施設に入れられ、
庇護申請手続き、法的支援、独立した機関などとの接触はほとんど認められていない。
強引な押し戻し、拘束、強制失踪
非常事態宣言下で国境警備隊は、特殊部隊、軍、警察の協力を得て難民・移民に対し、
違法で手荒い強制送還を繰り返してきた。そして隣国のベラルーシ政府は、
彼らをラトビアに押し戻している。
約3カ月間国境で足止めをされたイラク人男性のザキさんは、
「これまでに150回以上、時には1日に8回も押し戻されたことがあった」とアムネスティに話した。
5カ月間を国境付近で過ごしたイラク人のハッサンさんは、
「裸にさせられて殴られた。ベラルーシに戻される途中、
冷水の川を渡らされた。『渡らないと撃ち殺す』と脅された」と話す。
両国による押し付け合いの被害にあった人たちは国境で野宿するか、
森の中に当局が設置したテントで長期間の生活を強いられた。
ラトビア当局はこれまで、「人道支援」目的以外でのテントの使用を否定してきたが、
厳重な警備下のテントは、拘束した難民・移民を収容し帰国させるための前哨基地として
使用されてきたことが、アムネスティの調べでわかっている。
テントに収容されずに国境で足止めさせた人たちは、冬はマイナス20度にもなる野外での生活を強いられた。
森で数カ月間過ごしたイラク人男性アディルさんは、
「雪の上で寝た。火をつけて暖をとった。オオカミやクマも出た」と話した。
国境沿やテントでは、外部と連絡がとれないよう携帯電話を没収された。
ラトビアのNGOは、2021年8月から11月にかけて、移民や難民30人以上の親族から、
彼らと連絡がとれなくなったという報告を受けた。
通信手段などを奪って非公開の場所のテントに拘束したり、
国境で足止めしてラトビアとベラルーシの間を行き来させるのは、
「秘密拘束」に当たり、強制失踪に相当する可能性がある。
強制送還、虐待、拷問
非常事態下で庇護手続きが取れない中、国境で拘束されている一部の人たちは、
ラトビア当局の者たちから、森を出る唯一の方法として出身国に
「自主的」に戻ることに同意するよう強要されている。
また、収容施設や警察署で強制的にあるいは騙されて自主帰還を受け入れさせられた人もいる。
イラク人のハッサンさんは国境警備隊員に、「国に戻れば命を狙われるおそれがある」と説明したが、
「ここにいても死ぬかもしれないぞ」と言われたという。
イラク人のオマールさんは、「殴られて手を握られて無理やり書類にサインさせられた」と話した。
欧州連合(EU)は、ベラルーシがEU側に難民・移民を送り込み、
ロシアを後ろ盾とした軍事と非軍事両面での圧力をかける「ハイブリッド攻撃」を仕掛けていると主張する。
ラトビアだけでなく、リトアニアとポーランドも、この「ハイブリッド攻撃」を口実に、
難民・移民に対し人権侵害を続けている。
国境に到着した人びとに対しするラトビアの恥ずべき行いへの対応は、欧州機関にとって大きな試金石となる。
欧州機関はラトビアが非常事態を終わらせ、安全を求めるすべての人びとが、
出身地や国境を越えた方法を問わず、庇護を求める権利を復活させるよう緊急措置を取らなければならない。
背景情報
ベラルーシとラトビア、リトアニア、ポーランドとの国境での押し付け合いが再び激化する中、
EU理事会は、ラトビアが主張しているように難民・移民が「道具として使われている事態」に
関する規則の採択を優先する意向だ。この規則が採択されれば、こうした状況に直面する加盟国は、
EUの庇護法、移民法の下での義務が免除される一方で、難民・移民の権利が影響を受け、
EUの庇護法が統一的に適用されなくなる危険性がある。
リトアニアでは、非常事態下での難民申請の制限や非正規入国者の機械的拘束を認める新法が導入された。
これに対して欧州司法裁判所はこの6月、リトアニアの新法はEU法と相容れないという判決を下した。
この判断は、昨年8月の非常事態宣言以来、ベラルーシから非正規に入国した人びとの庇護手続きを
事実上阻止しているラトビアにも適用されるべきだ。
2022年10月12日 アムネスティ国際ニュース
☆イスラエル軍によるパレスチナNGO弾圧
イスラエル治安部隊は8月18日、被占領パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の
ラマッラーにある7つのNGOの事務所を封鎖した。
当局は、パレスチナ市民団体への弾圧をやめ、団体が嫌がらせを受けることなく
活動できるようにしなければならない。
7団体は、アッダミール囚人支援・人権協会、アル・ハック(人権団体)
、国際児童防衛協会パレスチナ、農業労働委員会連合、
ビサン研究開発センター、保健活動委員会、パレスチナ女性委員会連合で、
18日の夜明け前、軍の急襲を受け書類や機材を没収され、
軍令に基づいて事務所の出入り口が封鎖された。
これらの団体は、被占領パレスチナ地域にとどまらず世界の人権に多大な貢献をしてきたが、
今回の急襲でその活動が踏みにじられる形となった。
アムネスティは、仲間であるこれらのNGOと連帯するとともに、
世界各国に今回のイスラエルの対応を厳しく非難するよう求める。
団体の事務所再開、国際刑事裁判所によるパレスチナ状況の調査への支持、
パレスチナ人に対するイスラエルのアパルトヘイト政策への非難などで、
国際社会は協調行動を取る必要がある。
アムネスティは7団体のうちの3団体に話を聞いたが、
いずれの団体も急襲と閉鎖に動揺を隠せない様子だった。
国際児童防衛パレスチナの事務局長は、
「占領軍は人権を守る私たちの声を封じようとしてきたがうまくいっていない。
軍が適用するのは人権法ではなく軍の法律だ。
今回の急襲で、イスラエルがEUや国際社会の見解を拒否し、
占領と人権侵害の維持に躍起になっていることがわかる」と語った。
アムネスティは3団体の事務所に貼られた軍令を検証した。
事務所閉鎖命令は、国防(緊急)規則に基づくものだった。
統治に対する抵抗の封殺を狙った英国が1964年に定めたこの規則は、
これまで廃止されることがなかった。1967年以降、イスラエル軍はこの規則を広く適用し、
数百軒ものパレスチナ人の家屋を取り壊し、住人を追い出し、
数万人を起訴や裁判なしの行政拘禁に処してきた。
一連の対応は、第4ジュネーブ条約と人権条約に違反し、
パレスチナ人を抑圧するアパルトヘイトの手段の一つになっている。
アムネスティは各国に、イスラエルが国内や被占領地域のパレスチナ人に対し
アパルトヘイトなどの犯罪を行っている事実を確認するよう呼びかけている。
各国は、イスラエルとの協定に人権への配慮が盛り込まれているかを確認し、
アパルトヘイトに加担しないよう適切な評価と判断をする必要がある。
背景情報
イスラエル国防省は昨年10月19日、保健活動委員会を除く6団体を「テロリスト団体」に指定する軍令を発した。
その結果、6団体は事実上活動ができなくなり、事務所閉鎖や資産押収、職員の逮捕・投獄などに直面した。
また、公の場での支持の訴えや団体への資金提供も禁止された。
この対応でイスラエルは、国際NGO、欧州などの国の機関や代表、国連の専門家など多数から非難を受けている。
昨年10月、人権NGO「フロントライン・ディフェンダーズ」の調査と、
シチズン・ラボとアムネスティによる検証で、
今回摘発された団体に所属する人権活動家らが所持していた6つの機器が、
イスラエル製のスパイウェア「ペガサス」でハッキングされていたことがわかっている。
昨年10月18日、パレスチナの囚人の権利擁護団体アッダミールの弁護士は、
「イスラエルへの忠誠を破った」とみなされたとされ、エルサレムでの居住権をはく奪された。
国外追放を受けるおそれもある。
同弁護士は、今年3月7日から起訴も裁判もないまま行政拘禁されており、
アムネスティは、同氏の釈放を求めている。
2022年8月18日 アムネスティ国際ニュース
☆ウクライナ軍の戦闘戦術のプレスリリースに関する声明
アムネスティ・インターナショナルは、ウクライナ軍の戦闘戦術に関するプレスリリースが
苦痛や怒りを引き起こしたことについて、深い遺憾の意を表明します。
2022年2月のロシア軍の軍事侵攻以来、アムネスティは、ウクライナで行われた戦争犯罪や
人権侵害について徹底的に調査し報告してきました。
数百人の被害者から聞いた話は、ロシアの侵略戦争が引き起こしている
残忍な現実を浮き彫りにするものでした。
私たちは、具体的な行動を通じてウクライナの人びととの連帯を示すよう世界に呼びかけており、
今後もそうする所存です。
アムネスティにとって、今回の紛争もそしていかなる紛争も、民間人の保護が優先事項であり、
今回の調査結果の公表の唯一の目的も、この点にあります。
調査で確認した事実が揺らぐことはありませんが、苦痛を引き起こしたことに
遺憾の意を表すとともに、この機会にいくつかの重要な点を明確にさせていただきます。
プレスリリースでは、アムネスティが訪れた19の町や村のすべてで、
民間人が暮らす場所のすぐそばにウクライナ軍が位置し、
その結果、民間人がロシア軍の攻撃を受ける危険にさらされていることを指摘しました。
この評価は、国際人道法の規定に基づきます。
国際人道法は、すべての紛争当事者に対し人口密集地やその近隣に軍事目標を置くことを
極力避けるよう求めています。戦争に関する国際法の目的の一つは、民間人の保護です。
だからアムネスティは各国政府にその遵守を求めているのです。
これは、ロシア軍の違法行為の責任がウクライナ軍にあるということではありません。
ウクライナ軍が国内の他地域で十分な予防策を取っていないということでもありません。
アムネスティの立場は明確です。アムネスティが把握したウクライナ軍のいかなる行為も
ロシア軍の違法行為を正当化するものではありません。
ロシア軍によるウクライナ市民に対する人権侵害行為の責任は、
すべてロシア側にあります。過去6カ月間のアムネスティの活動、
ロシアの違法行為や戦争犯罪に関する多数の発表文書は、
違法行為の規模やその市民への影響の重大さを物語っています。
アムネスティは7月29日、ウクライナ政府に、今回の調査結果を
詳細に記した書簡を送付しました。
書簡には、ウクライナ軍が民間人の居住地域に軍事拠点を置く
学校や病院などの場所についての、GPSの座標やその他の機密情報も含まれています。
この情報をプレスリリースの中で公表しなかったのは、
ウクライナ軍と聞き取りをした市民の双方の安全を脅かすからです。
アムネスティは、ウクライナ軍が取るべき作戦について詳細な指示を出するつもりはありません。
しかし関係当局には国際人道法を全面的に遵守するよう求めます。
アムネスティは、紛争時の民間人の生命と人権の保護が保障されることを、常に優先します。
2022年8月7日 アムネスティ国際ニュース
☆ウクラナイ調査報告
〜学校や病院を含む住宅地に軍事拠点を設置〜
ウクライナ軍は、ロシア軍の侵攻撃退にあたって、人口の多い住宅地に拠点を設置し攻撃を行うことで、
民間人を危険にさらしている。学校内や病院内に拠点を置いた事例もある。
こうした戦術は国際人道法違反であり、民用物を軍事目標にしてしまうため、
民間人を危険にさらすことになる。現実にロシア軍による人口密集地への攻撃では民間人が犠牲となり、
民間のインフラが破壊されている。
防衛的立場にあるからといって、ウクライナ軍が国際人道法の尊重を免れるわけではない。
ただし、アムネスティが確認したロシアの攻撃がすべてこのパターンに当てはまるわけではない。
アムネスティがロシアによる戦争犯罪だと結論づけた他の地域(ハルキウ市の一部地域含む)
での攻撃では、ロシア軍が違法に標的とした市街地にウクライナ軍がいたことを示す根拠はなかった。
アムネスティの調査員は4月から7月までの数週間にわたり、
ハリキウ、ドンバス、ミコライウでのロシアの空爆を調べた。
空爆を受けた地域を視察し、生存者、目撃者、犠牲者の親族に聞き取りをし、
リモートセンシングによる分析や武器の分析を行った。
これらの一連の調査の中で、ウクライナ軍が19の町や村で、人口が密集する住宅街に拠点を置き、
攻撃を行った証拠を得た。これらの証拠のいくつかについては、衛星画像の分析で裏付けを取った。
ウクライナ兵が拠点を置いた住宅街の多くは、前線から何キロも離れていた。
民間人を危険にさらさずに拠点として利用できる場所は、他にもあった。
例えば、近くの軍事基地や密集した森林地帯、あるいは住宅地からさらに
離れた場所にある他の建造物などだ。
アムネスティの調査では、住宅地の建物に拠点を置いたウクライナ軍が、
市民に近くの建物から退避するよう求め、
あるいは退避を支援した事実を確認することはできなかった。
民間人居住地域からの攻撃
ドンバス、ハルキウ、ミコライウへのロシア軍の空爆を受けた人たちの話では、
空爆の前後に自宅近くでウクライナ軍が活動し、
一帯をロシア軍からの報復攻撃にさらすことになったという。
アムネスティは、多くの地域でも同様の証言を得ている。
国際人道法は、すべての紛争当事者に対し人口密集地やその近隣に軍事目標を設置することを
可能な限り避けるよう求めている。また、民間人を保護する義務として、
軍事目標付近から民間人を排除すること、民間人に影響を与える可能性のある攻撃について
効果的に警告することなどを定めている。
ミコライウ南部の村で6月10日にロケット弾攻撃を受けて犠牲になった男性(50歳)の母親は
アムネスティにこう語った。
「わが家の隣には軍が駐留していて、息子はよく兵士に食べ物を持って行っていった。
息子のことが気がかりだったので、兵士に他の場所に移動するよう何度も頼んだ。
その日の午後、空爆があり、庭にいた息子が犠牲になった。息子の体はずたずたに引き裂かれていた」
この家の隣家には軍の装備や制服が残っていたことを、アムネスティの調査員は、確認した。
リシチャンスク(ドンバス)は、ロシア軍から何度も攻撃を受け、少なくとも1人が犠牲になった。
リシチャンスクにあるマンションに住むミコラさんは、
「なぜウクライナ軍は戦場ではなく街から砲撃するのかがわからない」とアムネスティに話した。
別の男性(50歳)は「近隣で軍事活動が行われているのは間違いない。
発砲音の後には、着弾の音が聞こえる」と話した。
アムネスティの調査員は、犠牲になった年配の男性が利用していた地下シェルターの
入り口から20メートルほど離れた住宅地にある建物を兵士が使っているのを目撃した。
ドンバスのある町で5月6日、ウクライナ兵が砲撃に使っていた民家の近所に
ロシア軍のクラスター弾が落とされた。
クラスター弾は本質的に無差別攻撃を引き起こす武器であり、広く使用が禁止されている。
母親のアンナさん(70歳)と息子、祖母(90歳)3人の自宅は、
クラスター弾の子弾を受け複数の壁に損傷が入った。
アンナさんはアムネスティに語った。「破片がドアを突き破って飛んできた。
私は家の中にいた。ウクライナ軍の大砲は家の畑近くにあった。
紛争が始まったときから兵士たちは畑の裏や家の裏にいた。
出入りするのを見た。母の体は麻痺しているので逃げることができなかった」
7月上旬、ミコライウにある農業用倉庫がロシア軍の攻撃を受け、農業従事者1人が負傷した。
攻撃があった数時間後、アムネスティの調査員は、
穀物倉庫にウクライナ軍の兵士がおり軍車両があるのを見た。
また、目撃証言から、民間人が生活し働いている農場から道を隔てた所にある
倉庫を軍が使用していたこともわかった。
アムネスティの調査員は、ハルキウやドンバス、ミコライウの東にある住宅や
近隣の公共施設の被害を調べている最中に、近くのウクライナ軍拠点から発射音を聞いた。
バフムートでは複数の住民が、ウクライナ軍は高層住宅から通りを隔てて
わずか20メートルほどの所にある建物を使っていたと、話した。
5月18日、ロシア軍のミサイルがこの高層住宅の正面部分を直撃し、
アパート5室がそれぞれ一部損壊し、近隣の建物も被害を受けた。
アパートの住民カトリーナさんがアムネスティに語った。
「何が起こったのかわからなかった。窓ガラスが割れ、家の中は埃でいっぱいになった。
母がここを離れたがらないのでここに残っていた。母は健康問題を抱えているから」
他の住民3人によると、攻撃を受ける前、ウクライナ軍は爆撃を受けた建物の
向かいの建物を使っており、ミサイル攻撃の被害を受けた別の家の前には
軍のトラック2台が止まっていたという。アムネスティの調査員は、
土嚢、窓を覆う黒ビニールシート、米国製の外傷用救急薬など、
建物の内外に軍がいたことを示す痕跡を発見した。
この攻撃で自宅が被害を受けた別の住民はアムネスティに
「軍が何をしようと私たちは何も言えない。だが代償を払っているのは私たちだ」と話した。
病院内の軍事拠点
アムネスティの調査員は、ウクライナ軍が5つの町で病院を
事実上の軍事拠点として使っていることも確認した。
そのうち2つの町では、兵士数十人が病院で休み、動き回り、食事をしていた。
別の町では、兵士が病院近くから攻撃していた。
ウクライナ軍はハリキウ郊外にある医学研究機関の敷地にも拠点を設けていたが、
4月28日、ロシアの空爆を受け研究機関の職員2人が負傷した。
病院を軍事利用することは、明らかに国際人道法に違反する。
学校内にも軍事基地
ウクライナ軍は、ドンバスやミコライウの町や村で学校にも拠点を置いている。
紛争開始以来、学校は閉鎖されていたが、ほとんどの学校は市民が住む住宅街に近いところにある。
アムネスティ調査員が訪れた29校のうち22校で、兵士が校内の敷地を使用している様子、
あるいは現在または過去の軍事活動の証拠(軍服、廃棄された弾薬、軍の配給品、軍用車両など)を目にした。
ロシア軍は、ウクライナ軍が使用していた学校の多くを攻撃した。
少なくとも3つの町では、ロシア軍による学校への砲撃を受けたウクライナ兵が
別の学校へ移動したため、移動した先の学校周辺の地域を同様の攻撃を受ける危険にさらした。
オデーサの東にある町では、市民が宿泊や移動の中継地として利用する所をウクライナ兵が使っていた。
住宅街にある樹木の下に装甲車を置き、人口が密集する地域の学校を利用するなどだ。
4月から6月下旬にかけロシア軍が学校付近を攻撃したことで、民間人数人が死傷した。
その中には、6月28日にロケット弾攻撃を受けた住宅に住む子ども1人と年配女性1人が含まれている。
バフムートでは、大学の建物を拠点としていたウクライナ軍が5月21日、
ロシア軍の攻撃を受け、兵士7人が死亡したと伝えられた。
アムネスティは、爆撃を受けた大学の建物の中庭で、軍用車両の残骸を確認した。
大学に近かった高層住宅も、50メートルほど離れたところにある住宅街とともに空爆の被害を受けた。
国際人道法は、授業が行われていない学校に戦闘拠点を置くことを特に禁じていない。
しかし、軍には、やむを得ない軍事的必要性がない限り、
民間人が多く住む住宅街やアパート近辺の学校を使用し住民の命を危険にさらすことを避ける義務がある。
どうしても使用する場合は、民間人に警告を発し、必要であれば退避を支援する必要がある。
アムネスティが調査した限りでは、警告や避難支援は確認できなかった。
武力紛争は子どもたちの教育を受ける権利を著しく損なう。
学校の軍事利用は建物の破壊につながり、紛争が終わっても子どもたちの学ぶ権利を奪うことになりかねない。
ウクライナは、武力紛争下で教育を保護する協定である「安全な学校宣言」に
署名・賛同した114カ国うちの一つである。
同宣言は、実現可能な代替手段がない場合においてのみ、放棄された、
あるいは生徒が避難した後の学校の利用を認めている。
ロシア軍による無差別攻撃
アムネスティの調査では、ロシア軍はここ数カ月間、多くの攻撃で、
国際的に禁止されているクラスター弾など無差別に殺傷し、
広範囲に影響を及ぼす爆弾を使用してきた。
また、さまざまなレベルの精度の誘導兵器を使い、
中には特定の対象を狙うことができるほど精度の高いもあった。
ウクライナ軍が人口密集地内に軍事拠点を置いていることは、
ロシアの無差別攻撃を決して正当化するものではない。
紛争当事者は、常に軍事目標と民用物を区別し、武器の選択を含め、
民間人への被害を最小限に抑える上でのあらゆる実行可能な予防措置を取る必要がある。
民間人を殺傷し、民用物を破壊する無差別攻撃は戦争犯罪にあたる。
ウクライナ政府は、軍を人口密集地から距離を置いた場所に移動させるか、
軍事活動地域からの民間人の退避を直ちに実行すべきだ。
軍は決して病院から攻撃をしてはならないし、同様に学校や民家の使用は、
代替手段がない場合の最後の手段でしかない。
アムネスティは、7月29日、ウクライナ国防省に今回の調査結果を送ったが、
記事公開時の8月4日時点で、同省から回答は得ていない。
2022年8月4日 アムネスティ国際ニュース
☆死刑執行に抗議
古川法務大臣は、歴代の法務大臣と同様に、死刑制度の存廃は我が国の刑事司法制度の
根幹に関わる重要な問題であり、国民世論に十分に配慮しつつ,
社会における正義の実現等の観点から慎重に検討すべき問題であると執行後の記者会見で述べました。
しかし、法務大臣が繰り返し強調する「慎重な態度」は制度によって裏付けされたものではありません。
国内法の内容が国際人権基準に反するものである場合に、
その法制度を改正すべく努力することは、政府、法務大臣および法務省に課せられた義務です。
成立の時点で国際人権基準に合致していた国内法であっても、
国際人権基準の進化に合わせた改正を行っていく必要があります。
日本政府は、国連の総会決議や人権理事会の普遍的定期審査によって、
また複数の国連人権機関から、死刑の執行停止と死刑廃止に向けた取り組みを行うよう、
繰り返し強く勧告されていることを忘れてはなりません。
国連の自由権規約委員会は「世論の動向にかかわりなく、締約国は死刑の廃止を考慮すべき」とし、
世論を口実として死刑廃止に向けた措置を一切とろうとしてこなかった日本政府の態度を強く批判しています。
死刑執行はすべての政府が遵守すべき国際人権基準を無視したものであり、
「人権という普遍的価値を守り抜く覚悟」を発足時に掲げた岸田内閣の基本方針とも矛盾するものです。
世界の7割以上の国が法律上あるいは事実上死刑を廃止しているという潮流に背を向け、
日本をますます孤立させることになるものといわざるをえません。
加藤智大さんは第二次再審請求中でした。再審請求中の死刑執行は自由権規約第6条に違反するものです。
国連自由権規約委員会の勧告に基づき、日本政府は再審あるいは恩赦の申請に執行停止効果を持たせたうえで、
死刑事件における義務的かつ効果的な再審査の制度を確立すべきです。
人為的に生命を奪う権利は、何人にも与えられておらず、どのような理由によっても正当化することはできません。
アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対します。
死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰です。
日本政府は、国際人権諸条約の締約国として、死刑にたよらない刑事司法制度を
構築する国際的な義務を負っています。アムネスティは、日本政府に対し、
死刑廃止に向けた第一歩を踏み出すために、死刑の執行停止措置の導入を
早急に法制化するようあらためて要請します。
2022年7月26日 アムネスティ・インターナショナル日本
☆難民を国境で追い返す
アムネスティはリトアニアのキバルタイとメディニカイにある収容所2カ所を訪ね、31人に話を聞いた。
カメルーン、コンゴ民主共和国、イラク、ナイジェリア、シリアなどから逃れてリトアニアに
入国し不当に拘束されている人たちだ。
その多くが、「不潔で医療も不十分な収容所で暴行や嫌がらせ、人種差別に基づく脅迫を受けている」と訴えた。
ヤジディ教徒の女性は、「イラクにいたときは、ヨーロッパの人権や女性の権利が尊重されると聞いていたのに、
ここではなんの権利もない」と嘆く。
庇護を求める人たちは誰しも公正な扱いを受けるべきだが、今回話を聞いた人たちは、
劣悪な施設に何カ月も収容され、虐待的な扱いを受けていると語る。
同国の移民制度に構造的な人種差別があるのではないかという懸念もある。
リトアニア当局は、収容者の拘束を解き、庇護を希望する人たちに公正な手続きの機会を与えるべきだ。
機械的に拘束し、庇護を拒否
昨年7月、ベラルーシ国境を超えてリトアニアに入国する人たちが増えたことを受け、
国会は違法入国者を機械的に拘束する新法を制定した。
恣意的な拘束を禁じるEUの法的保障を拘束者から奪いたいリトアニア当局は、
この機械的な拘束を「一時的な宿泊施設」と説明した。
非人道的な収容所
昨年9月まで刑務所だったキバルタイ収容所には、数百人の男性が収容されている。
周りは高い壁で囲まれ、窓には鉄格子がはまり、ドアには防犯装置が付いている。
収容者は施設内の移動も制限され、温かいシャワーは週2回しか利用できない。
施設内は収容者であふれ、何カ月も清掃されないため、
洗面所やトイレ、シャワーのいずれも不潔だ。
シリア人男性は、「リトアニアが受け入れてくれたことに感謝するが、
この扱いはひどい。周りは鉄条網だし、これでは刑務所同然で、難民施設とは言えない。
私は犯罪者ではない。避難民だ」と話した。
収容者への暴力
メディニカイ収容所には数百人が収容されているが、寝場所はサッカー場のコンテナ内だ。
トイレは外にあるため、冬なら雪の中を歩いてトイレへ行くことになる。
聞き取りをした人は、粗暴な係員に恐怖心を覚えると話した。
また、不当な拘束と劣悪な収容環境に抗議した収容者たちが「係員に警棒で殴られ、
唐辛子スプレーやスタンガンを向けられた」「手錠をかけられ、コンテナから引きずり出された」
「女性の中には、手を縛られ半裸の状態で極寒の戸外で性的屈辱を受けた」などと話した。
収容所に勤務する心理学者が、収容者に対し性暴力を加えた疑いで捜査を受けているという事例もあった。
また、主に黒人の男女らが、人種差別的な中傷を受けているという事例もある。
サハラ以南のアフリカから来た女性は、「お前を狩猟者の餌食として森に送ってやると脅されたし、
気分が悪い時に救急車を頼んでも、倒れて意識を失うまで呼んでくれなかった」などと話した。
難民申請手続きと法的支援制度の構造的欠陥
年8月、リトアニアは非正規入国者の難民申請受付を停止した。
それ以前に受けていた申請も反故にしかねなかった。
本来取るべき手続きを無視し、庇護申請に必要な情報収集を妨害し、しばしば通訳の提供もしなかった
同国がいう庇護希望者への法的支援制度は見せかけでしかない。
難民申請で代理人を務める弁護士の雇い主は、異議を申し立てる相手の移民局であり、
利益相反になるおそれがある。庇護申請をめぐるこのような不適切な体制は、庇護への障害を高くするだけだ。
今こそ、受け入れ体制の見直しを
リトアニア当局は最近、拘束期間について現在の12カ月の期限を超えることはないとの見解を示したが、
当局がこれまでに侵してきた違法行為にどう対応するのかはつまびらかにしていない。
緊急事態法や関連政策の導入から1年、同国は難民・移民の取り扱いを抜本的に見直す必要がある。
まずは、「一時的宿泊所」に拘束する人たちを直ちに解放し、庇護手続きを受けられるようにすべきだ。
さらに、心理的・身体的苦痛を味わった人たちが必要とする対応を取り、
虐待や暴力を加えた関係者を処罰しなければならない。
同時に2021年から2022年にかけて施行された有害な法律の廃止に向けた手続きを取るべきだ。
欧州の対応
欧州連合(EU)は、この数カ月の間に国外からの難民・移民の受け入れで、
2つの異なる対応を取ってきた。ウクライナ人は保護され庇護を受けられるのに、
他の国からの難民・移民は拘束され、劣悪な環境に置かれ、
人種的差別を受けるという結果になっている。
リトアニアが国境での押し戻し、機械的拘束、庇護の否定を合法化しようとしたとき、
欧州委員会内の反応は、賞賛から暗黙の承認までさまざまだった。
欧州委員会の幹部は欧州議会の議員に、「国境での押し戻しは明らかに違法だが、
押し戻しの確たる証拠はない」と語った。だが、実際にはその証拠は数多くあった。
アムネスティが今回公表した報告書でも、また、他の国際団体や地元団体が昨年来報告してきた文書でも
押し戻しを示す十二分な証拠を示している。
欧州司法裁判所はEU法違反と判断
6月30日、欧州司法裁判所は、非正規入国者の機械的拘束を命じ、
庇護を求める権利を事実上否定するリトアニアの国内法はEU法と相容れないという判決を下した。
庇護を求める権利を否定する慣行は、EU基本権憲章を含むEU法に違反しているとし、
「異常事態」や「外国人の大量流入」の際にはEU法を逸脱する権利があるというリトアニアの主張を覆したのだ。
この判決を受け、リトアニア当局は抑圧的な法律を直ちに撤廃すべきである。
リトアニアは、国際的な保護を受ける必要があると表明するすべての人に、
公正な庇護手続きが受けられるようにしなければならない。
2022年6月27日・6月30日 アムネスティ国際ニュース
☆女子学校再開認めず 生徒の将来を打ち砕く
3月23日、アフガニスタンの中等学校の女子生徒たちが、7カ月ぶりに教室に戻って来ていた。
待ちに待った授業の再開だ。だが、授業が始まるのを待っていた9時ごろ、
タリバンが、「アフガニスタンの慣例、文化、シャリア(イスラム法)に合った制服ができるまで、
女子学校を閉鎖する」と宣言し、女子生徒に帰宅するよう命じた。
女子生徒たちは、学校教育を再び禁じられたことで、「悲嘆に暮れ」「心に傷を負った」などとアムネスティに語った。
タリバンがシャリアと国の文化を引き合いに出すのは、女性や少女から権利を奪う昔からの手口で、
少女たちを学校から締め出すための言語道断の口実だ。
タリバンの主張は、明らかに教育を受ける権利の侵害であり、何百万人もの少女たちの将来に
暗い影を落とすことになる。
アムネスティは国際社会に対し、事実上の政権であるタリバンと交渉する際、
女性や少女の教育を受ける権利を絶対条件とするよう求める。
タリバンは、年齢を問わず少女の通学を認め、差別的な政策の推進に下手な口実を持ち出すのをやめるべきだ。
「私たちはみんな、打ちひしがれた」
昨年8月に実権を握って以来、タリバンは女子が教育を受ける権利を尊重すると公約してきた。
3月20日、タリバンの「教育省」は、冬休みが終わる3月23日に全学校を再開すると通達したが、
休みが明けても女子中等学校は、閉鎖されたままだった。
北西部へラト州では、中等学校は休み後の2日間だけ開校され、3日目から「女子校は閉鎖する」と告げられた。
バダクシャン州に住む12年生のナディアさん(17歳)は3月24日、アムネスティにこう話した。
「とてもワクワクし、希望を胸一杯に学校に行き、同級生や先生に会った。
みんな授業が再開されて、大喜びだった。
でも数分後、校長が来て『みんな、帰宅しないといけなくなった』と言われた。
女子学校に閉鎖命令が出たのだと。みんな、もう大変なショックだった。
泣き始める子もいれば、黙って立ち尽くす子もいたが、仕方なく出口へ行った。
いつ戻れるかわからないまま学校を離れるのは、胸が押しつぶされる思いだった」
3月23日以来、カーブル、ナンガルハール州、バダクシャン州の住民、学生、女性の権利活動家らは、
タリバンに女子中等学校の再開を求めるデモを何度か実施してきた。
カーブルの学校でも、戻ってきた女子生徒たちは、すぐに帰宅するよう命じられたという。
その一人、11年生のナキサさん(16歳)は、アムネスティにこう語った。
「恐怖と不安の中、学校に行った。授業が始まると思っていた9時ごろ、
タリバンがやってきて校長先生に女生徒全員の帰宅と学校閉鎖を命じた。校長先生は泣いていた」
ナキサさんら生徒たちは勇敢にも帰宅命令に抵抗し、タリバンから暴力をふるわれた。
抵抗の意思としてペンを持った手をタリバンに突き出し、「教育を受けるのは、私たちの権利だ」と訴えた。
また、「勉強したい」とシュプレヒコールを続けたという。
女性の権利活動家ナウィダ・コラサニさんは、国際社会に対しタリバンが女性の権利で約束したことを
責任もって実行するよう要求してほしいとして、こう求めた。
「昨今のタリバンの対応は、女性の権利を守るという約束を反故していることは明らかで、
国際社会はタリバンの責任を追及してほしい」
タリバンは90年代、女子の通学を禁止し、女性が公共の場に出ることを許さなかった。
今、当時の抑圧的政策がひたひたと押し寄せているようにみえる。
教育を受ける権利は、基本的人権であり、タリバンにはこれを保障する義務がある。
しかし、現行の政策は差別的で不公正で、国際法に違反している。
教育の権利とより良い未来を求めて抗議を続ける少女や女性たちの勇気には、身が引き締まる思いだ。
国際社会は、未来への希望のために闘う女子学生を決して見捨ててはならない。
2022年3月28日 アムネスティ国際ニュース
☆ロシアのウクライナ侵攻は戦争犯罪
ロシアのウクライナ侵略は国連憲章の明白な違反であり、国際法の犯罪である侵略にあたる。
アムネスティは、この犯罪に関与したすべての者に対して、違反行為の責任を負うよう求める。
侵略の罪においても、ウクライナ侵攻を際立たせる数多の犯罪においても、
関与した者はその個人的、組織的責任を問われるべきである。
アムネスティは、ウクライナ危機の深刻さを強調し、国連加盟国に対し、
いかなる国の領土保全および政治的独立に対する武力行使を禁止する国連憲章を支持し、擁護するよう求めた。
武力行使禁止の唯一の例外は、自衛と国連安全保障理事会が認めた場合だが、
今回の危機にはどちらもあてはまらない。
国際法の下では、すべての国が、平和的かつ、世界の平和、安全保障、正義が脅かされない手段で、
国際紛争を解決する義務があることも強調しておきたい。
ロシアのウクライナ侵攻は深刻かつ重大で、武力侵略以外の何物でもない。
ロシアは、ウクライナ中心部に侵攻しており、合法的に選出された政権を追放しようとしている。
民間人の生命、安全、福祉に対し、現実に、そして潜在的にも、大規模な影響を与えている。
その行為はロシアが提示したいかなる根拠に立っても、到底正当化できるものではない。
さらに問題は、ロシアが国連安保理の常任理事国だということである。
ロシアは明らかに国際的な義務に違反しており、その行動は、国連設立時の規則と原則にあからさまに反している。
国連の全加盟国は、この行為を明確に糾弾すべきだ。
ロシアの目にあまる対応が、他の国々に追随を促すようなことがあってはならず、
また、そのような行動を抑制する国連の能力が損なわれてはならない。
ウクライナへの侵攻を開始した2月24日以来、市街地やインフラを無差別に攻撃して民間人の死者を出すなど、
ロシアによる人道法と人権法の違反行為が増えている。アムネスティは、この事態を調査で明らかにしてきた。
病院や学校などの保護対象施設への攻撃、弾道ミサイルなどの無差別殺傷武器や
クラスター爆弾などの禁止兵器の使用は、すべて戦争犯罪に該当する可能性がある。
国連加盟国は、ロシアが犯した侵略という犯罪を糾弾するために、
また、避難民を含むウクライナの人びとの救済と支援のために、共に立ち上がらなければならない。
さらに、国連加盟国は、ロシアの武力侵略により、世界が、暴力、人権侵害、
不安に満ちた状況に追い込まれないようにしなければならない。
1週間足らずの間に、ロシアのウクライナ侵略は、大規模な人権と人道と難民の危機を引き起こした。
この危機は、近年の欧州で最悪の大惨事である。
ロシアは隣国とそこに住む人びとの主権を侵害しただけでなく、世界の安全保障構造に挑み、
機能不全に陥る国連安保理を含む、その脆弱性を不当に利用している。
この結果は、私たち全員に長期的な影響をもたらす。
私たちは、武力侵略と国際法違反がそのような事態を引き起こすようなことを決して許してはならない。
2月28日に、国際刑事裁判所(ICC)の検察官がウクライナで捜査を開始するつもりだと発表したことを、歓迎したい。
この捜査により、ウクライナで行われた戦争犯罪と人道に対する罪の加害者全員が、
上級職、最高責任者含め、個別に責任を問われることになる。
アムネスティは、ICCのすべての締約国と国際社会全体に対し、同裁判所の捜査への協力を求める。
捜査は、単独ではできない。ウクライナにおける今回の問題の包括的な責任を問うには、
国連とその機関の協調的かつ革新的な取り組みと、
普遍的管轄権の原則に基づく国レベルでの取り組みが欠かせない。
初期段階においての証拠の収集と保全は、今後捜査を進める上で極めて重要である。
とりわけ、戦争犯罪の犠牲者が増える中、被害や損害を必ず補償するという国際社会の決意を示さなければならない。
2022年3月11日 国際事務局ニュース
☆パレスチナ人に対するアパルトヘイトの罪でイスラエルの責任を問う
イスラエルがパレスチナ人を支配下に置くすべての地域で、
どのようにしてパレスチナ人の抑圧と支配を遂行してきたか、
アムネスティは、その実態を詳細に調査した。
ここで言うパレスチナ人には、イスラエルや被占領パレスチナ地域のパレスチナ人、
他国に逃れたパレスチナ難民が含まれる。
イスラエルによるパレスチナ人の土地や財産の大規模な没収、強制移送、徹底的な移動制限、
国籍と市民権の否定、国際法違反の殺害のすべてが、
国際法のアパルトヘイトに相当する体制を構成する要素になっている。
この体制は、国際刑事裁判所に関するローマ規程とアパルトヘイト犯罪の抑圧・処罰に関する国際条約
(アパルトヘイト条約)に定義されるように、人道に対する罪としての
アパルトヘイトを構成する人権侵害行為により維持されている。
アムネスティは国際刑事裁判所に対し、被占領パレスチナ地域の捜査に入る時には、
アパルトヘイトの罪を検討すること、また世界各国に、アパルトヘイト罪の加害者を裁くために
普遍的管轄権を行使することを求める。
イスラエルによるアパルトヘイト体制は徹底している。
ガザ地区、東エルサレム含むヨルダン川西岸地区、あるいはイスラエル国内など地域を問わず、
パレスチナ人は劣等的人種集団とみなされ、日常的に権利を奪われている。
アムネスティは、イスラエルが支配下に置く全地域で実施してきた隔離、没収、排除など、
残虐な施策は、明らかにアパルトヘイトにあたることを確認した。
この状況に対して、国際社会には行動を起こす義務がある。
長年にわたる数百万のパレスチナ人に対する差別と抑圧の体制を正当化することはできない。
アパルトヘイトは、私たちの世界に入り込む余地はないし、
イスラエルの行為を見てみぬふりをする国の政府は、
いずれ自国の歴史に汚点を残したことに気づくだろう。
イスラエルに武器を供与し、国連での説明責任からイスラエルを守り続けている国は、
アパルトヘイト体制を支援し、国際的法秩序を乱し、パレスチナ人の苦しみを悪化させている。
国際社会は、イスラエルで起きているアパルトヘイトの現実を直視し、
これまで放置してきた正義への道を追求しなければならない。
2022年2月1日 アムネスティ国際ニュース
copy right Agence Media Palestine
☆ミャンマーの国軍・抗議する市民への重大な人権侵害を続けている
〜国際社会の関与を求める〜
国際社会が、ミャンマーの事態に消極的姿勢を取り続けるなら国軍の暴力による犠牲者はさらに増え続け、
同国の人権状況は一層悪化することになる。
2月1日、国軍がクーデターで政権を奪ってから1年が経った。
国軍は、南東部地域での無差別空爆による市民の殺害、人道支援の妨害、
活動家や記者の拘束・殺害などの行為を繰り返してきた。
これらの残虐行為に対し、あまりにも多くの国が見て見ぬふりをしてきた。
ロヒンギャの人びとが国軍による人権侵害で土地を追われたときもそうだった。
ミャンマー市民5,500万人には、傍観する多くの国の行動をもう一年、待ち続ける余力は残っていない。
抗議する市民の一掃を狙う国軍は、罪に問われることもない暴力を平然と振るい続けている。
市民に暴力と投獄で恐怖心をあおる国軍の作戦に、歯止めをかける必要がある。
そのためには国際社会の的確な対応が求められる。
国連安保理は、消極的な姿勢を改め、世界各国による武器禁輸と国軍幹部への制裁を実施し、
さらに、ミャンマーの事案を国際刑事裁判所に速やかに付託しなければならない。
また、武器を調達する国軍の資金源を断つため、国軍系企業と提携する国内外の企業は、
提携関係を解消する必要がある。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は対ミャンマーで結束し、
国軍に市民への暴力を即刻停止するよう要求しなければならない。
また、人道支援活動を認めるよう国軍に圧力をかけ、昨年、採択した5項目の合意事項について、
期限を設定した上で各項目の実施に踏み切るべきだ。
今年こそ、ミャンマーの人たちの人権のための行動と責任追及を中心に置き、
人権侵害は決して許容しないという姿勢で事態に臨まなければならない。
背景情報
昨年2月1日、国軍がクーデターを起こし、全権を掌握した。それ以降、国軍は1,400人を超える市民を殺害し、
11,000人以上を拘束した。今も8,000人以上の拘束が続いている。
政治囚支援協会によると、国軍には、カチン、シャン、ロヒンギャなどの少数民族に、
国際法違反の迫害をしてきた歴史がある。
国連ミャンマー事実調査団は以前、戦争犯罪、人道に対する罪、大量虐殺が疑われるミンアウンライン上級大将と
複数の高官の捜査と起訴を求めた。
文民指導者だったアウンサンスーチーさんは、虚偽の罪で実刑6年を言い渡された。
他の容疑でも起訴されており、すべての容疑で有罪になれば、合わせた刑期が100年を超えるおそれがある。
ウィンミン大統領ら側近の多くも、でっち上げの罪で有罪判決を受けた。
デモに参加する市民が激しく弾圧される中、国軍に抵抗する人たちが結成した武装組織「国民防衛隊(PDF)」は、
数百人の国軍兵士を殺したと主張している。
クーデター後、国内の混乱は全土に及び、経済の低迷や食糧不足、新型コロナ禍の中、
数百万人が飢餓に瀕している。数十万の市民が国内避難民になり、数千人が国境を越えてタイへ逃れている。
2022年1月27日 アムネスティ国際ニュース
☆COP26:人類への裏切り
〜企業の利益に屈し保護すべき人びとを切り捨てる首脳たち〜
英国グラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が11月13日、閉幕した。
参加国は、気候変動の影響を最も受けている人びとの保護に与することができなかった上、
化石燃料企業を含む強大な業界に屈したことで、世界中の人びとを壊滅的なまでに裏切った。
会議では、地球や人びとを保護する対策で成果を打ち出すことはできなかった。
また、国連設立時の大原則、国家ではなく人びとを優先するという誓約に反いた。
会議開催中、参加国は、私たちの人としての権利を蔑ろにし、侵害し、
あるいは安売りするかのような選択をし、社会の隅に追いやられた世界中の人びとを、
犠牲にしてもいい巻き添え被害者かのように切り捨てた。
気温上昇を1.5度に抑える目標達成向けた具体策に乏しく、
主にグローバル・サウスの5億人以上を水不足に追いやり、
数億人を極度の熱波にさらすことになるだろう。
これほどに最悪のシナリオにもかかわらず、富める国々は、気候変動で被害を受ける国への
補償に向けた資金提供も約束しなかった。
また、途上国に対する補助金として気候関連資金援助を拠出する決議もなかった。
これでは、気候変動に最も脆弱な貧しい国々に、持続不可能なレベルの負債を背負わすことになりかねない。
人としての権利に寄り添うのではなく、化石燃料企業におもねった末の、
抜け穴ばかりが目に付く今回の合意には、激しい落胆を覚える。
今回の合意は、化石燃料とその補助金の段階的全廃を求めておらず、
危機的な現状に必要な情熱と大胆な行動の欠如を露わにした。
さらに、環境や人権に対する十分な保護措置もなく、
豊める国によるカーボンオフセット(植林や森林保護などで二酸化炭素を吸収したり
クリーンエネルギー事業に出資したりすることで、
温室効果ガス排出削減が困難な分を埋め合わせること)の取り組みは、
そのしわ寄せで先住民族が土地を追われるおそれがあることをまったく無視している。
このようなうわべだけの対策は真の排出ゼロの代わりにはならず、受け入れがたいことだ。
グラスゴーでの締約国合意は、地球上のすべての人びとに深刻な結果をもたらすだろう。
参加国は、最も配慮すべき人びとの存在を蔑ろにしたことが明らかであるだけに、
人びとは協力して、何が成し遂げられるかを各国政府に示さなければならない。
1年後のCOP27に向け、私たちは共に立ち上がり、自国政府に対し人と人権を
核に据えた野心的気候変動対策を取るよう呼びかける必要がある。
人類にとって脅威となっているこの問題の解決に向け、私たちは今こそ、
全力で取り組まなければならない。さもなければ、すべてを失うことになる。
2021年11月13日 アムネスティ国際ニュース
☆スパイウエアで人権侵害
米国商務省は、イスラエルの監視ソフト開発企業NSOグループを、悪質なサイバー活動に加担しているとして、
米国の安全保障・外交政策上の懸念がある取引制限対象リストに加えることを決定した。
アムネスティなどの活動団体が長年、NSOグループのスパイウェア(*)は抑圧の道具であると訴えてきたが、
今回米国政府がその指摘を認める形となった。
NSOグループのスパイウェア「ペガサス」は世界中で、ジャーナリストや活動家などを標的とした
違法な監視に利用されている。
商務省の決定は、「人権侵害に加担して利益を得ることはもはや許されない」という
NSOグループへの強いメッセージでもある。
また、人権侵害に利用される技術を販売する企業への投資を今後も継続するのか、
NSOに投資してきた人たちの行動も問われる。
監視技術が与える脅威は、一企業に留まらない。
監視技術の開発は、これまで野放しにされており、
今回、米国政府がブラックリストにNSOを加えたことが、
スパイウェア企業の免責に終止符を打つことにつながらなければならない。
また、人権に配慮した規制の枠組みが定着するまで、
各国は、監視技術の輸出・販売・移転・使用の停止措置を取る必要がある。
背景情報
NSOグループのスパイウェア「ペガサス」が、大規模な人権侵害を引き起こしていることが、
報道機関による調査「ペガサスプロジェクト」で明らかになった。
パリの非営利団体「フォービドゥン・ストーリーズ」がコーディネートした同プロジェクトには、
10カ国17の報道機関から80人以上の記者が参加した。
アムネスティは最先端の技術を使って、スパイウェアの携帯電話への侵入状況を解析し、
技術面でプロジェクトを支援した。
NSOグループは、今回の決定を納得できないとして、決定の取り消しを求めるとしている。
*スパイウェア:ユーザーに気づかれないよう秘密裏にスマートフォンやパソコンなどの端末に不正侵入し、
ユーザーの行動履歴や個人情報を盗み出すソフトウェア。