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パレスチナ人の土地没収は違憲、無効
 2017年にイスラエル国会で制定されたパレスチナ人の土地没収に関する法律は 6月9日にイスラエル高等裁判所において違憲であり、無効であるとの判決が くだされました。
この法律に対して、イスラエル国内の公民権協会、 人権NGO団体ピースナウ、イェッシュ・ディンなどが国際法違反、人間の尊厳と自由に 関する基本法に対する重大な違反であり、違憲であることを2017年に高等裁判所に 申し立てをしていたものです。

国際条約は占領地域の居住者の権利を保護することをイスラエルに義務付けており、 当面の治安目的のために土地を没収することを禁止している。また主権のない占領地域で その土地に関する法律を制定する権限はないと訴えていました。

この土地収用法に対する申し立てが起こされた後に土地収用手続きの大要に対して 司法長官が提案した暫定的差し止め命令を 有効として2017年8月17日に裁判所はこの法律の実施を凍結していました。


ジョージ・フロイドの犠牲
ミネアポリスで5月25日、ジョージ・フロイドさんが警官に取り押さえられ、 呼吸ができなくなり亡くなるという痛ましい事件があった。 首をひざで押さえ続けられている様子が、市民が撮った動画に写っていた。
警官に自分の命を断たれるかもしれない。朝目覚めたとき、 そんな不安に襲われるようなことがあってはならない。 しかし、米国では、肌の色が違う人、特に黒人の人びとは、 痛ましい事件の記憶を抱えて生きてきた。

ミネアポリスの警官の行為は、すでに多くを失った人びとを さらなる恐怖に陥れることになった。 エリック・ガーナーさんは6年前、ニューヨーク市警本部で 「息ができない」と訴えながら亡くなった。 この時、警官たちは、被疑者の悲痛な叫びに耳を 傾けなければならないという教訓を学んだはずだった。 しかし、そうではなかったようだ。
フロイドさんは、かけがえのない命を失った。 エリック・ガーナーさん、マイケル・ブラウンさん、アカイ・ガーリーさん、 タミール・ライスさん、ブレオンナ・テイラーさん......。名前を上げれば切りがない。

市民の生命を守るのが、警察である。この大原則が、 黒人の人間性を否定する警官たちに踏みにじられている。 死に至らしめるような過剰な力の行使は、必ず裁かれなければならない。
連邦捜査局(FBI)が事件の捜査に乗り出したことは、適切だ。 アムネスティは、迅速で徹底した真相解明と適切な捜査情報の遺族への開示を求める。 また、死に至るような力の行使を制限する法整備も不可欠だ。

2020年5月26日 アムネスティ国際ニュース


Take Action!香港・国家安全法阻止署名
アムネスティ・日本は中国政府よる香港への国家安全法の凍結を求めるオンライン署名を 実施しています。
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/hk_202005.html

※署名(名前のみ)はアムネスティで取りまとめて要請先に提出します。
※後日、メール、お電話にてアムネスティ日本から活動紹介のご連絡を差し上げる場合がございます。

アクションメッセージ
原文(English)
<下記のメッセージを要請先に提出します>

栗戦書全国人民代表大会常務委員長殿

香港へ国家安全法が導入されることに懸念を表明します。 同法は香港の人びとの権利を著しく侵害するおそれがあります。 昨年、警察は、平和的に抗議活動を行う人びとに対して、 不必要に行き過ぎた実力行使を行っています。 これは人びとの平和的な集会の権利を侵害する行為です。
香港の人びとはまたしても表現や集会、結社の自由を始めとする人権を 守るために危険を冒して抵抗しなくてはならなくなりました。
この法律がすべての点で国際人権法や基準に沿ったものであることが保証されるまで、 国家安全法を香港に導入することを凍結するよう要請します。


外国人長期収容者の人権を守る!
                     2020年5月8日
収容・送還に関する専門部会 委員各位

      (公社)アムネスティ・インターナショナル日本
                事務局長 中川 英明

              要請書

アムネスティ・インターナショナル日本は、長期収容の問題について 法務省及び出入国在留管理庁の下で行われているさまざまな議論が、 移民・難民の人権を軽視し、排除を強化する方向で進められているのではないかとの 懸念をもっています。
移住に関わる拘禁を正当化するためには、国際人権法に定められている合法性・ 必要性・相当性という3つの原則を満たすことが必要です。
さらに、国連の恣意的拘禁ワーキンググループは、本人の身元を確認するため、 逃亡を防ぐため、あるいは退去強制命令の順守を確保するためという3つの目的の いずれかを達成するために必要な場合にのみ、国家が拘禁という手段を用い得るとしています。

難民認定申請者を含む在留資格のない外国人を、入国管理上の収容および送還に 起因する人権侵害から守るために、次の3点を私たちは日本政府に要請します。

・抗議活動を行う収容者を仮放免で釈放し、短期間の後に再収容することはやめること
・ノン・ルフールマンの原則をいかなる場合でも遵守すること
・出入国管理上の収容は送還の準備に必要な短期間に限るよう、収容期間に上限を設けること

アムネスティ・インターナショナル日本は、「外国人の長期収容に終止符を!」 キャンペーンを今年1月に開始しました。5月8日までに、以上の3点の要請に賛同する方々から 10,423筆にのぼる署名が寄せられています。
収容・送還に関する専門部会委員のみなさまが最終報告をとりまとめるにあたっては、 外国人の人権保護を求める市民社会からの声に応え、私たちが要請する以上の3点と合致するものとしてください。 よろしくお願い申し上げます。

                           以上


レバノンの移住労働者の人権
 世界でウイルスが猛威を振るう中、レバノンの移住家事労働者はロックダウン(都市封鎖)により、 雇用主から人権侵害を受ける危険性がさらに高まっている。 政府には、移住家事労働者を保護するための緊急対策が求められている。

レバノンはじめ中東諸国特有の労働契約制度であるカファラ制度は、 移住労働者の保証人として雇用主に絶対的権限が与えられるため、 過酷な強制労働など労働者搾取と虐待の温床となっている。
カファラ制度に縛られ逃げ出せずにいる同国の移住家事労働者およそ25万人が、 新型コロナウイルス流行拡大の中で人権侵害はもちろん命の危険にさらされている。 外出自粛は感染拡大予防につながる一方、カファラ制度下の労働者にとっては、 雇い主による虐待やいじめを受ける危険性が高まる。
社会から疎外されている移住家事労働者に対して、政府は直ちに保護対策を取らなければならない。 また、雇い主には、家事労働者への人権侵害は、摘発の対象となることをはっきり警告すべきである。 移住家事労働者に対する虐待・搾取は、極端な長時間労働、無休、給料の減額・不払い、 通話やインターネットの制限、食事を与えないなど、枚挙にいとまがない。 労働省は、外国人家事労働者が、苦情申し立てができる窓口を設置し、 その開設を彼らに周知することが必要である。

非正規移民家事労働者
 労働ビザを持たない家事労働者は数千人いるが、無認可のまま働き続けるか、 収容センターに入れられて、強制送還を待つか、どちらかの選択肢しかない。 ビザがなければ、医療などのサービスを受けることは難しい。 保健省は、非正規移民を含む移住家事労働者が置かれている状況を理解し、 彼らの感染予防、検査、感染後の対応などで支援すべきである。

背景情報
 アムネスティは昨年、現地での聞き取り調査などで、強制労働から人身売買まで カファラ制度が抱える問題を確認し報告書にまとめた。
今年3月、アムネスティは、レバノンの「家事労働者のための標準統一雇用契約規定」 改正の協議に参加し、提言する機会があった。 労働省に対して、カファラ制度下で雇用主と労働者間に明らかな不平等性が存在し、 雇用主が労働者を支配している問題に対応した要件を改正案に盛り込む必要性を強調した。

2020年4月14日 アムネスティ国際ニュース



圧力に屈したフェイスブック
 4月21日、ロイターは、ベトナム当局から圧力をかけられていたフェイスブックが、 政府に批判的な投稿の検閲レベルを強化する方針を決めたと報じた。 同社の現地サーバーに対し国営通信企業が使用制限などを科していたようで、 しばらくフェイスブックが使えない状態が続いていた。
当局による表現の自由の抑圧はこれまでもあったことだが、今回のフェイスブックの決断で、 同国の表現の自由が、さらに強力に制限されるきっかけになるおそれがある。
フェイスブックは、コンテンツの規制にあたっては、国際人権基準に基づかなければならず、 法律を乱用し、恣意的に権利を制限する政府に従ってはならない。 同社は、検閲強化の決定をただちに取り消し、不当な投稿削除の要求を拒否しなければならない。

圧力に屈したフェイスブック
 ベトナム当局は長年、オンライン上の表現の自由を奪うさまざまな規制措置を取ってきた。 テクノロジー企業に対して個人情報の提供やユーザー投稿の検閲を義務付けるサイバーセキュリティ法も導入している。
フェイスブックの今回の決定は、政府批判の摘発を強化したい国の意向に足並みをそろえるものであり、 フェイスブックは検閲に協力する企業だと考える国も出てくるだろう。 またこの決定は、極めて危険な先例でもある。他のハイテク企業が、 抑圧的な政府の圧力に抵抗しづらくなる事態に追い込まれるだろう。

ソーシャルメディアは、ベトナムでの表現の自由に関して良い変化をもたらしてきた。 この変化は、インターネットの利用者が積極的にソーシャルメディアを使って批判的な意見を書き込み、 人権侵害の実態を暴いてきたからこそ、もたらされたものである。 ソーシャルメディアの投稿は、表現の自由に対する基本的権利であり、 利益や市場参入のためではない。いかなる場合でも保護されなければならない。
アムネスティの調べでは、昨年、人権を平和的に行使しただけで投獄された人のうち、 約1割が、フェイスブックの利用がらみだった。

取り締まりの強化
 ベトナム当局は1月、死者まで出した土地騒動を封じ込めるために、 ソーシャルメディアの書き込みにかつてないほど厳しい取り締まりを始めた。 新型コロナウイルス危機の感染拡大以来、取り締まりは強化されている。
1月から3月半ばの間に、フェイスブックの投稿がもとで市民654人が警察から出頭を求められ「研修」を受けさせられた。 その上、罰金を科されたり、投稿の削除を命じられたりした。
4月には、メディアコンテンツを恣意的に制限し、テクノロジー企業に検閲や 監視措置を強制する新法が施行された。
また、フェイスブック上での国家批判、ウイルス対策での当局の悪口、パンデミック情報の拡散など、 さまざまな書き込みによって、各地で市民の逮捕・勾留が続いている。

2020年4月22日 アムネスティ国際ニュース2020年4月22日



2019年の死刑執行状況
 アムネスティは、2019年の世界の死刑状況について調査結果をまとめた。 調査は、アムネスティが各国で得られた信頼できる情報にもとづく。

世界の死刑執行総数は減少傾向にあり、少なくとも657件、過去4年連続で減少し、 この10年では最低だった。死刑は、極めて残虐で非人道的な刑罰であり、 禁錮刑以上の犯罪抑止効果が死刑にあることを裏付ける根拠はない。 大半の国がこの点を認識し、執行を減らし続けているのである。 しかし一方で、一握りの国は卑劣で非人道的な死刑への依存度を強めた。 サウジアラビアは、死刑執行数で過去最多の184件を記録し、イラクは執行数を倍増させ、 イランは、中国に続く執行数を維持した。
死刑執行数の上位5カ国は、中国(数千件)、イラン(少なくとも251件)、サウジアラビア(184件)、 イラク(少なくとも100件)、エジプト(少なくとも32件)だった。
中国の執行数を「数千」とするのは、数千件の処刑があったことは確かだが、 死刑に関わる数値が国家機密扱いされているため、信頼できる数字を示すことができないからである。 執行大国と思われるイラン、北朝鮮、ベトナムも、死刑情報を開示しなかったため、数字を示すことができなかった。

一部の国で処刑が急増
 2019年に死刑執行が確認された国は、わずか20カ国である。この中で、サウジアラビア、 南スーダン、イエメンの3カ国は、執行件数を大幅に増やした。 サウジアラビアでは、前年149人から184人に増えた。対象となった犯罪の大半は、薬物か殺人だった。 件数急増の背景には、反体制派のシーア派イスラム教徒に対する政治的見せしめとして利用されたこともあった。 昨年4月23日、1日で37人の処刑が確認された。37人中32人はシーア派イスラム教徒で、 拷問で強要された自白に基づきテロ罪に問われ、死刑を宣告された。 その一人が、フセイン・アル・モサレムさんで、取り調べで鼻や脚などを骨折するほどの 暴行や電気棒による拷問を受けていた。
イラクでも、執行件数が、前年の少なくとも52件から100件に倍増した。 100件には、自称「イスラム国」のメンバーの処刑も含まれた。
南スーダンでは、少なくとも11人の死刑執行があり、2011年の独立以降で最も多かった。 イエメンでは、少なくとも7件(前年は少なくとも4件)の処刑があった。 前年、死刑執行を停止していたバーレーンでも、3人が処刑された。

死刑をめぐる閉鎖性
 多くの国が、死刑に関わる数字を公表も提供もせず、死刑をめぐる閉鎖性が際立った。 中国に続く死刑執行大国イランの処刑件数は、前年と変わらず、少なくとも251件が確認された。 実際は、251件を遥かに上回ると思われるが、信頼できる情報を得られないため 具体的な数字で示すことはできなかった。 イランでは、昨年4月、2人の少年、メフディソ・ラビファさんとアミン・セダハトさんが秘密裏に処刑された。 15才の時に逮捕され、複数件の強かん容疑で起訴され、不公正な裁判で有罪判決を受けた。 有罪判決が死刑であることを知らされたのは、処刑の直前だった。 2人の背中の痛々しい傷跡は、処刑直前に鞭打ちを受けたことを示している。
死刑の執行は、世界のあちこちで秘密裏に行われた。家族や弁護人だけでなく、 時に当人にも事前に知らされることがないまま死刑が執行された。
頑なな死刑支持国は、いずれの国も処刑の正当化に躍起になっている。正当化だけではない。 機密保持にも必死である。多くの国は、死刑をめぐる状況が国際的な監視に耐えられないと考え、 事実隠しに四苦八苦しているのである。

世界中の死刑廃止は近い
 アジア・太平洋地域での執行国数は7件で、2011年以降で初めて減少に転じた。 日本で前年15人から3人に、シンガポールでは前年13人から4人に減った。 アフガニスタンでは、2010年以降で初めて0件を記録、前年執行があった台湾とタイでは、執行が停止され、 カザフスタン、ロシア、タジキスタン、マレーシア、ガンビアでは、死刑停止措置が維持された。
世界全体では、法律で死刑を廃止する国は106カ国、事実上の廃止も含めると、死刑廃止国は142カ国である。 さらに、数カ国が、死刑廃止に向けた動きを見せた。
赤道ギニアでは、大統領が、死刑廃止法案の議会への提出を発表した。 死刑の廃止につながる前向きな動きは、中央アフリカ、ケニア、ガンビア、ジンバブエでもあった。 バルバドスも、憲法が定める絶対的法定刑としての死刑を廃止した。 米国では、全米で最多の死刑囚を抱えるカリフォルニア州知事が、死刑執行の一時停止を宣言し、 ニューハンプシャー州が、死刑を廃止し21番目の死刑廃止州になった。
一方、世界の死刑廃止の流れに水を差す国もあった。 フィリピンでは、違法薬物や強奪関連の凶悪犯罪に死刑を再導入する動きがあり、 スリランカは、約40年ぶりの死刑再開に向けて舵を切った。 ほぼ20年間、死刑を執行しなかった米国連邦政府が、執行再開に向けた作業に入った。
しかし、死刑廃止に向けた世界の勢いは止められないし、止めてはならない。 アムネスティは、すべての国に死刑廃止を求めている。 死刑制度という非人道的な慣行を永遠に葬り去るために、国際的な圧力は不可欠である。

2020年4月21日 アムネスティ国際ニュース



COVID-19と監視 人権への脅威
 世界で新型コロナウイルスが大流行し、人びとは、未曾有の健康の危機に直面している。
公衆衛生情報の提供や医療体制の強化など、技術が果たす役割は大きい。 しかし、国の中には、ウイルスと闘うという名目で、監視技術を利用し、 個人や市民全体の移動情報を収集する技術の開発を急ぐところもある。 国による監視が、何の制限や監督を受けることなく放置されると、 プライバシーをはじめとする人権の未来が、根底から変わってしまうおそれがある。

コロナ対策としての監視は合法か
 国は、健康に対する権利を保障し、疫病を予防・治療・制御する責任を負う。 新型コロナウイルスの大流行という緊急事態に素早く組織的に対応するために、 政府が、一時的に人びとの人権を制限せざるを得ないことは起こり得る。 しかし、位置情報による人の動きなどの監視は、厳しい基準を満たすことが前提であり、 そうでなければ、違法である。また、いかなる対応も、法令の遵守、期間の設定、 透明性の確保、第三者による監視が、保証されなければならない。
市民の生活に入り込む監視は、目的を達成する上で最小限でなければならず、 効果より害をなすものであってはならない。 米国や英国などの大規模監視から学んだ教訓は、人権の脅威となる監視は、 いずれ社会に根を張ってしまう危険性があるということである。
2001年9月11日の米同時多発襲撃事件以降、国による市民の監視は、著しく強化された。 そして、一旦、監視体制が整い、監視能力が備わると、監視体制が解かれることは、まずない。

個人の位置情報の利用
 ウイルスが猛威を振るう中、多数の国が、市民の移動状況の把握に携帯電話の位置情報を利用している。 オーストリア、ベルギー、イタリア、英国、ドイツはいずれも、感染者の感染経路の追跡に、 通信会社から匿名化された、あるいは集約された位置データの提供を受けているといわれている。
市民の隔離を徹底するために、GPSによる追跡を容認している。

イスラエルでは、治安当局に感染者の携帯電話情報の利用を許可しており、 プライバシーの侵害が大きく懸念されている。 当局が携帯情報を利用し始めたことはわかっており、400人ほどが、 「感染者との接触したおそれがある」と警告するショートメッセージを受け取った。

韓国では、テキストメッセージで当局が健康に関する注意喚起を行っているが、 そこに感染者情報も載っている。ハイパーリンクが張ってありその個人の移動情報を見ることができる。 医療上の守秘義務の明らかな違反であり、感染者への偏見や差別を助長するものだ。 この対策は、監視に関する法的要件を満たしているとは思えず、プライバシーの権利を侵害している。 こうした対策は、個人情報の収集・利用・共有の面で、深刻な問題をはらんでいる。 一度、個人データが収集されてしまうと、その情報は、他の機関や企業などと共有され、 健康管理以外の目的で使用される危険性がある。

人工知能(AI)とビッグデータ
 AIとビッグデータ技術を活用して、新型コロナウイルスに立ち向かう国もいくつかある。 中国は、最先端のサーモグラフィーと顔認識技術を公の場で利用して、 ウイルスの感染経路を追跡しているとされる。
中国のIT大手アリババは、 個人の健康情報を追跡するシステムの運用を開始した。個人の健康に関わるデータを収集し、 健康状態を色分けし、緑は「異常なし」、黄は「7日間の隔離」、 赤は「14日間の隔離」などと一目で判断できるようにした 。 この情報をもとに、公の場に出ていいかどうかを判断する。 懸念されるのは、こうした情報が治安当局でも共有されていることである。

ポーランドでは、隔離が必要な人が、自己隔離しているかを当局が確認できるアプリを導入した。 当局から携帯電話にプロンプト記号が届き、自撮りした写真を送って報告する。 当局側が、顔認証と位置情報で本人確認をした上で、隔離命令に違反していないかを把握する仕組みである。

他の国でも、例えばインドでは、自撮り写真にジオタグ(位置情報)を付けて送信することを求められているなど、 個人情報の収集にアプリの使用が始まっているという報告があった。
一方、AI技術は、違法な差別を助長しかねない。また、これまで疎外されてきた人びとが、 一層差別を受けるおそれがある。 導入されている技術の多くは、偏ったデータに基づく不可解なアルゴリズムを活用するため、 この技術を利用した意思決定は、特定のグループへの差別を助長するおそれがある。 国は、コロナ対策以外の目的での監視と個人情報の収集は、やめるべきである。 加えて、個人情報の保護や差別への市民の不安に誠実に対応する必要がある。

民間監視会社
 コロナ危機の中、国と民間企業が手を組むことで、革新的な解決策を作り出すことができる一方で、 多くの国が手を組むのは、人権侵害が懸念される企業である。 例えば、米国では、顔認識アプリを開発したクリアビューAI社とビッグデータを分析するパランティア社が、 米当局と協議に入っていると伝えられている。
強権国家との取引で知られるイスラエルのスパイウェア企業NSOグループは、 現在、人の移動を表示する地図から感染経路を追跡できるビッグデータ分析ツールを売り込んでいる。 NSOのようなIT・通信企業の多くは、闇ビジネスの過去があり、人権侵害を犯しても一向に責任を問われてこなかった。
コロナ危機との闘いに関わる企業は、その製品やサービスを利用することによる人権上の リスクの特定、軽減・回避、説明責任を果たすことが、強く求められている。 企業は、新型コロナウイルス危機に乗じて、人権に対する責任から逃れることはできない。

コロナ危機の後を見据えて
 今回の前例のない危機の対処には、長期的な視点が欠かせない。 新たな市民の監視体制は、危機が終息した後も存続するおそれがあり、 その後の社会が置かれる状況を決定づけるかもしれない。 世界一人ひとりの人権が、未来社会の中心にある。このことを忘れてはならない。

2020年4月3日 アムネスティ国際ニュース




憲法と人権ハガキ
 アムネスティ・日本の憲法と人権チームが憲法の中の人権条項を取り上げて 8枚のハガキシートを作りました。中学・高校生、若い人に憲法で護られている 自らの権利を知ってもらうために作りました。やさしい言葉で分かりやすく 人権を説明しています。
このシートを希望される学校、団体、一般の方に無償で配布します。
希望される方は住所・氏名又は学校名・電話番号・担当者名・希望枚数をamnesty.const.jpn@gmail.com までご連絡ください。








土地の日(パレスチナ)
 3月30日はパレスチナの「土地の日」です。1976年にガリラヤ地方でのイスラエルの土地収用に 抗議して6人のパレスチナ人が殺害された日です。毎年この日に「土地の日」として各地でデモが 行われています。今年はウイルス感染問題により現地ではデモは行わず、ソーシャルメディアでの 行動のみとなりました。(BDSjapanのサイト紹介https://www.facebook.com/BDSjapan/)

 COVID-19による外出禁止が出されている間に、イスラエルの入植者がイスラエル軍容認のもと パレスチナ人のオリーブ畑を破壊し、入植地を拡大しようとしています。
西岸のヨルダン渓谷に設置しようとしていた移動クリニック用のテントがイスラエル軍によって 破壊されました。イスラエルの封鎖政策のために必要な医療体制を整備できないため 感染者が増えつつあると伝えられています。







米国コロラド州死刑廃止
 米・コロラド州ジャレッド・ポリス州知事は3月23日、死刑廃止法案に署名した。 これにより、コロラド州は全米で22番目の死刑廃止州となり、米国は、死刑廃止国の仲間入りへ一歩前進した。 ポリス知事は、この国でかつてないほどに求められている人権視点のリーダーシップを示した。 知事は現死刑囚に対しても、減刑措置を取るとした。

死刑は、一旦執行されると取り返しがつかない上、犯罪を抑止する効果もない。 その執行は、痛みが伴い、暴力的で非人道的である。 米国では、死刑判決が黒人社会に過度に向けられてきたという問題もある。 罰としての死刑は時代遅れであり、死刑制度は根本的に破綻している。 きっぱりと廃止されるべきである。

世界では、3分の2以上の国が法律上あるいは事実上死刑を廃止している。 アムネスティは、犯罪の性格や犯罪者の特質、処刑方法にかかわらず、 いかなる死刑にも無条件で反対する。

2020年3月23日 アムネスティ国際ニュース



ガザでのコロナ対策の状況
26日の毎日新聞がパレスチナのガザ地区とバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプでの 新型ウイルスに対する状況を伝えています。

 パレスチナ自治区ガザ地区では22日に初めての感染者2人が確認された。ガザ地区は12年以上、 イスラエルによって封鎖されており、医療体制が不十分なうえに、衛生環境も悪い。 一旦感染が拡大すると手が付けられない事態になることが予想され、人権団体は「悪夢のシナリオ」と警戒を強める。
ガザ地区の保健当局によると、2人は19日にパキスタンからエジプト経由でガザ地区に入り、 教会近くの施設で隔離されていた。21日になって陽性反応を示した。住民とは接触していないという。

イスラエルの封鎖政策で、ガザ地区の経済状況は極度に悪化。インフラの整備状況も不十分で、 電気は1日数時間しか供給されず、上下水道も適切に機能していない。 イスラエルの人権団体「ベツェレム」は「ガザの医療システムは最初の新型コロナウイルス患者を 受け入れる前でさえ、崩壊の危機にひんしていた」と訴える。 ガザ当局は感染者が確認される前から、防疫態勢を敷いてきた。イスラエルとの境界にある ベイトハヌーンや、エジプトとの境界にあるラファ経由でガザに戻った人たちについては、 全員隔離措置をとっている。また、学校は大学まで全校休校とし、隔離施設として利用している。 また、ラファ近郊に隔離施設を突貫工事で建設中。
国連パレスチナ難民救済事業機関は、 運営する学校を病床として転用し、特に呼吸器疾患を持つ患者を移動させているという。 感染が確認された患者はまだ2人に過ぎないが、住民らは事態の推移を見守っている。

 ミャンマーからバングラデシュへ逃げているロヒンギャ難民も劣悪な難民キャンプ環境に置かれているため 新型ウイルス感染が非常に心配される。現在のところ感染者は確認されていないが、検査ができる施設は 首都のダッカにしかないため検査ができない状況である。症状がでた人を隔離する施設の増設を進める。

(注・紛争時にイスラエル軍により発電施設、水道施設が破壊されたが、封鎖により復旧が進んでいない)



国連が入植地で活動する企業リスト公表
 国連(UN)は2月12日、国際法で違法と見なされているイスラエル入植地に関わる企業112社のリストを公表した。 リストには、エアビーアンドビーやエクスペディア、 トリップアドバイザー、ゼネラルミルズ、モトローラなどが挙げられている。 モトローラはチェックポイント、集落、アパルトヘイトウオールに監視機器やその他の技術の提供契約を イスラエル国防省と契約している。

 このリストは、「パレスチナ占領地内のイスラエル入植地に関連する特定の活動に従事する全企業の データベース」作成を求める2016年国連人権理事会決議に基づき公表された。 国連人権理事会は、データベースへの企業名の記載は「司法手続きまたは準司法手続きに当たらず、 それを意図するものではない」と説明している。

 イスラエルはたびたび国連、とりわけ人権理事会を偏見があると非難しており、 今回のリスト公表にもすぐに反発した。 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は首相府を通じて発表した声明の中で、 「わが国をボイコットする者は何人であろうとボイコットする」 「この卑劣な試みは断じて受け入れられない」と述べ、報復をほのめかした。
一方、パレスチナ自治政府のリヤド・マルキ)外相は、リスト公表について、 「国際法と外交努力の勝利」と評価した。  イスラエル政府によるパレスチナ人への対応に抗議し、さまざまな活動を呼び掛けている BDS(ボイコット、投資引き揚げ、制裁)運動も、リスト公表を歓迎した。
国連は、データベースを毎年更新するよう推奨し、この業務に携わる独立した専門家グループの設置を 人権理事会に要請している。
(AFPニュース、その他参照)



パレスチナ:最悪の中東和平案
 米国のトランプ政権は1月28日、イスラエルとパレスチナの和平案を発表したが、 国際法を侵し、パレスチナ人の権利をさらに奪う散々な提案である。 その内容は、イスラエルとパレスチナとの間で、今後も悲劇と人権侵害を引き起こすための手引書といえる。

 トランプ大統領は、「繁栄への和平」と題する180ページからなる提案を示し、 「この和平案は、イスラエル側がすでに合意している現実的な2国家共存だ」と述べた。 ただ、和平案は、パレスチナとの協議を欠いたまま作成されている。
トランプ大統領が「世紀の取引」と呼ぶこの提案に盛り込まれた施策は、 国際法に違反するものばかりであり、国際社会はこの和平案に反対すべきである。 提案では、イスラエルの土地と引き換えに、ヨルダン川西岸地区にあるヨルダン渓谷と 違法入植地の大部分をイスラエルの統治権下に置くとしている。 米国は、この措置を土地交換の原則だと強調するが、 パレスチナ地域の併合の助長にほかならず、明らかな国際人道法違反である。

 半世紀を超える占領の中で、イスラエルのパレスチナ差別は日常化し、 パレスチナ人の権利は否定され、権利を奪われた被害者への補償の道は閉ざされてきた。 和平案は、こうしたイスラエルの冷酷で違法な政策をあらためて承認したに過ぎない。
土地交換では、パレスチナ人比率が高いイスラエルの地域を、 将来、パレスチナ国家となる地域に移転すると提案している。 しかし、これでは、イスラエルのパレスチナ市民の選挙権が、移転ではく奪される懸念が出てくる。
また、パレスチナ難民に対して、イスラエル領に帰還する権利を認めない代わりに、 補償制度の創設を提案する。 パレスチナ人難民は520万人を超え、世界的にも多い。 1948年のイスラエル建国により故郷を追われたパレスチナ人には、国際法にもとづき帰還する権利がある。 この帰還権は、政治交渉で奪うことができない個人の権利である。

 昨年12月、国際刑事裁判所の検察官は、パレスチナでの予備審査の結果、 被占領パレスチナ地域(ヨルダン川西岸とガザ地区)において戦争犯罪があったとする結論に至ったとして、 国際刑事裁判所の確認が取れ次第、捜査を開始すると発表した。
しかし、トランプ政権の和平案は、提案の交渉中はいかなる場合も、 パレスチナはイスラエルと米国の国や人を相手取って国際司法機関に訴訟を起こしてはならないと主張し、 現在係争中の訴訟に関しては、その取り下げを求めている。 国際刑事裁判所の取り組みに横槍を入れた形である。

 公正で持続可能な和平の実現には、双方の市民の人権に配慮した和平提案が不可欠である。 戦争犯罪などの重大な人権侵害の被害者のために、加害者側の責任を問い、 被害者への補償が盛り込まれなければならない。
トランプ政権の提案は、こうした基本原則を満たしていないばかりか、 現在、進行中のパレスチナ人とイスラエル人双方のための正義に向けた努力を 無にしようとするものである。

2020年1月28日 アムネスティ国際ニュース



外国人の長期収容に終止符を!
 出入国在留管理庁(入管庁)の収容施設では、オーバーステイなどの外国籍の人たちの収容が長期化しています。 長期収容されている人たちの中には、人生のほとんどを家族と一緒に日本で暮らしている人や、 自国に戻ると迫害のおそれや命の危険がある難民認定申請者など、 帰国できない理由がある人たちが多いと言われています。

長期収容は、身体の自由を奪う扱いであるだけでなく、いつ釈放されるのか分からない 収容者に多大な不安を与えるものであり、心身に過度のストレスを生じさせます。
このような扱いに耐えかねた収容者が抗議のためハンガーストライキを決行するケースが急増し、 2019年6月には餓死者が出る事態に至りました。 入管庁は、ハンストをやめさせるために仮放免(一時的に収容を停止して収容者を釈放する)措置をとりましたが、 対象者は短期間で再収容されています。問題の解決につながらない入管庁の対応は、 身体の自由と表現の自由を侵害する行為に他なりません。

さらに入管庁は、収容者の送還を促進するために、難民認定申請者を強制的に出国させることを 禁止している法規定の改変までも検討しています。このままでは、日本に逃げてきた難民や庇護希望者が 日本から追い出され、本国で命の危険にさらされる事態になりかねません。

 自国で受けた迫害や生命の危険からやっとのことで逃れた難民を本国に送還することは、 国際法上で明確に禁止されています。「ノン・ルフールマンの原則」と呼ばれるこのルールは、 いかなる場合でも遵守する義務があります。日本も批准している難民条約の基本原則の一つでもあります。

 移民・難民の基本的人権を守るため、次の3点を法務大臣に要請する署名に参加してください!

・抗議活動を行う入管施設収容者を仮放免で釈放し、短期間の後に再収容するのはやめること
・ノン・ルフールマンの原則をいかなる場合でも遵守すること
・出入国管理上の収容は送還の準備に必要な短期間に限るよう、収容期間に上限を設けること
現在、アムネスティ・日本のウエブサイトにて、上記のオンライン署名を行っています。
https://www.amnesty.or.jp/


ICCイスラエルの戦争犯罪捜査
 12月20日、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のベンソーダ主任検察官は イスラエルに占領されているパレスチナ自治区のヨルダン川西岸とガザでの戦争犯罪の容疑について、 正式捜査を始める考えを明らかにしました。2015年から予備調査は始められていました。

検察局は予備調査の結果、ヨルダン川西岸とガザで、イスラエルにより戦争犯罪が行なわれたと判断しました。 パレスチナがICCにイスラエルによる戦争犯罪の訴追を求めていたものです。 しかし、検察局はパレスチナが独立国家であると認められるか、ICCの管轄権が及ぶ地域かの判断を裁判部に求めました。 イスラエルはパレスチナは国家ではないとICCの判断に反発しています。




難民支援は人道支援
 フランス・グルノーブルの裁判所は、難民を支援して有罪判決を受けていた 山岳ガイド、ピエール・マンベールさんの控訴審で、無罪の判決を言い渡した。
マンベールさんは、アルプス山中で難民に熱いお茶と温かい衣服を提供して、 不法入国ほう助などの罪に問われ、一審では執行猶予3カ月の有罪判決を受けていた。 (昨年1月、マンベールさんは、イタリアとの国境に近いブリアンソン郡にある町モンジュネーヴルで、 ナイジェリア人の男女2名、カメルーン人男性1人、ギニア人男性1人に温かい衣服と熱いお茶を提供した)

難民を支援したことで多くの人びとが、当局から嫌がらせ、脅しを受けたり逮捕・起訴されたりしている。 マンベールさんもその一人だが、幸いにして無罪となった。 (イタリアから冬のアルプスを越えてフランスに入るのは、雪深い山岳地帯で道に迷ったり 命を落とすなどのリスクと背中合わせだ。そうした危険を冒して入国した人びとを 支援するボランティアたちがいる。彼らは、定期的に雪道を巡回し、庇護希望者に手を差し伸べる)

 法廷が今回、こうした法律の乱用を明確に指摘して無罪判決を出したことは、画期的であり、 支援活動をする人びとへの大きな励みでもある。判決は、良識の勝利であり、 何の罪も犯していない善人の勝利でもある。
この判決が出されたからには、フランスとイタリアの国境で、 支え合いの精神で行動して犯罪者扱いされている他の人たちも、処罰ではなく賞賛の対象となることを望みたい。
* 米国では同様の罪に問われていたアリゾナ州の人道支援ボランティア、スコット・ウオレンさんが、 先日、無罪判決を受けた。

2019年11月21日 国際事務局発表ニュース




香港警察のデモ弾圧
 香港理工大学での警察と抗議する学生との衝突は、かつてない激しさを増し、 見物人らかも負傷者を出すなど、深刻な事態になっている。
大学を包囲する警察は、退去する学生に催涙ガスやゴム弾を使用するなど、 強硬姿勢を強め、学生の怒りに油を注いでいる。 ひっ迫した事態を打開する責任は、警察側にある。しかし、 警察は、学内の負傷者の手当てをせず、けが人の対応にあたる医療ボランティアを 拘束するなど違法な対応を取っている。 今、求められるのは、冷静で人道的な対応である。 にもかかわらず、当局はデモ参加者を殴打し催涙ガスを使い、 あまつさえ、実弾の使用をちらつかせている。

 11月18日の早朝、警察の広報官は、「殺傷力のある武器を警官に使う抗議者には、 実弾で対処する用意がある」と警告する動画をフェイスブックに投稿した。 報道によれば、その後警察は威嚇射撃を行っている。 ここ数カ月間、香港警察は、大方は平和的だったデモ隊に対して過剰な力を行使してきた。 この強硬姿勢こそが、事態の悪化の背景にある。
実弾使用という警告は、当局がさらなる強硬策に出るおそれがあるということであり、 香港の街角で悲劇が起きる可能性が高まっているということだ。

2019年11月18日 国際事務局発表ニュース




同性間の性的関係を犯罪とする韓国軍法の廃止を!
2017年、韓国の軍人23人が合意に基づく同性間の性的関係を理由に起訴されました。 韓国には、同性間の性的関係を処罰する刑法はありませんが、軍刑法では犯罪とみなされています。
この軍刑法の存在は、LGBTIの人びとに対する差別的かつ敵対的な環境を作り出し、 結果的に軍隊内部ではゲイ男性への嫌がらせや暴力、性的暴行が発生しています。 また、性的指向や性自認にかかわらず、歩き方や声の高さなどが「男らしく」なければ、 暴力の対象にされてしまう可能性があります。
韓国では、すべての男性に兵役義務が課せられています。 韓国当局は、すべての軍人が差別やハラスメントのない環境で服務できるよう、 時代遅れで差別的なこの法律を改めるべきです。 同性間の合意に基づく性的関係を犯罪と定めた軍法の条項を廃止するよう、 今すぐ韓国国防部長官に要請してください!
署名サイト https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/kr_201908.html 11月末まで


香港で半世紀ぶり緊急条例発動 徹底弾圧へ
 香港政府は10月4日、公共の場で顔を隠すことを禁止するために、 「緊急状況規制条例」を発動すると発表した。英国植民地時代にできたこの緊急条例の復活で、 行政府は、身柄拘束や表現・集会の自由を規制する強大な権限を得ることになる。
条例に基づき、顔の一部または全面を隠すことを禁止する「覆面禁止法」が、10月5日から施行された。 香港政府は、警察の無用で過剰な力にもひるまなかったデモ参加者を 徹底的に封じ込める新たな作戦に出た。
そもそも抗議する市民がマスクを着用せざるを得ない状況を作り出したのは、政府だった。 恣意的逮捕や監視、催涙ガスなどによる無差別攻撃から身を守るためだ。 抗議する人たちにとって、マスクの禁止は、厄介な問題となる。 違反すると、1年以下の刑を受ける。医療目的や宗教上の理由で顔を覆うのは、例外とされる。
 10月1日の抗議では、高校生に実弾が発砲され、催涙ガス1400発以上、ゴム弾約900発が発射された。 この日以来、抗議する市民は香港各地で連日、怒りの声を上げてきた。 今回、香港政府は、市民との融和ではなく、強大な権限の発動による抑圧を選択、 平和的集会の自由への不寛容さの拡大を鮮明にした。
アムネスティは香港政府に対して、表現の自由を尊重し、抗議の声を封殺するために 過剰で強権的な手段を取らないよう、繰り返し求めていく。 デモの規制強化に、緊急事態のための特別法を使うなど、あってはならない。

2019年10月4日 アムネスティ国際ニュース



日本の入管施設で長期収容に抗議のハンスト198人
 非正規移民や庇護希望者らを収容する日本の入管施設で、過去4カ月間で延べ198人が 長期に渡る無期限の収容および施設における処遇に抗議するハンガーストライキに参加した。 9月25日現在、36人は依然としてハンガーストライキを行っている。
多くの非正規移民や庇護希望者が収容されており、その多くの収容期間は1年以上に渡っている。 法務省・出入国在留管理庁によると、収容されている人たちのうち、今年6月末時点で 退去強制令を受けている人が1,147人、うち858人が国外への送還を拒否していた。 この中には、難民認定申請が不認定となった人や、退去強制令を受けた後に難民認定申請をした人もいる。 5月8日現在、東京入国管理局に収容されている465人のうち179人が庇護を求めて難民認定に関わる手続き中だった。

 国連人種差別撤廃委員会は、日本政府に対して、すべての難民認定申請への十分な配慮、 移民の収容期間の上限設置、収容以外の代替措置を優先する努力を求める勧告をした。
 今年の5月、全国の入管施設で長期収容に抗議して自然発生的に被収容者によるハンストが始まった。 6月24日に、長崎の大村入国管理センターに収容されていた ナイジェリア人男性の死亡を受け、ハンスト参加者は増え続けた。 10月1日、出入国在留管理庁は、そのナイジェリア人男性はハンストの結果死亡したとする報告を公表した。

 入国管理上のいかなる収容も、その目的を達成する上で、法に則り、必要かつ相当なものでなければならない。 国は入国管理上の収容の必要性と相当性を検討する際、個々人の状況も考慮に入れるべきである。
日本の出入国管理及び難民認定法上、非正規在留者の収容は、一時的に、送還が可能になるまでの期間、 かつ、逃亡するおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるときに限られる。
入国管理上の収容は、すでに送還の手続きが開始されており、かつその手続きが進行中であり、 かつ短期間で実行されるという妥当な見込みがあるときに限り正当化され、 その手続きを直ちに実行するために必要な数時間に限られる。 ここでいう送還の手続きとは、バス、船や飛行機による移民の物理的な国外への移送である。 しかし、東京弁護士会によると、日本政府は、退去強制令を受けたすべての外国人を、 その必要性を個別に評価することなく収容できるとする「全件収容主義」を採っている。
また、出入国管理及び難民認定法の第52条第5項において、「(国外への)送還可能のときまで」 収容が可能と定められているため、退去強制令を受けた非正規滞在者の法律上無期限の収容が 可能となっていると東京弁護士会は指摘する。そのため、運用上、送還の目途が立たない 非正規移民や難民認定申請者を何年も収容することが可能なのだ。
国内法に定めのない、または国際人権基準に沿わない目的や手続きで拘束する行為は、 恣意的拘禁であり、日本に対しても法的拘束力のある市民的政治的権利に関する 国際規約第9条などの国際法に違反する。

 6月にナイジェリア人男性が亡くなった数日後、同じくハンスト中のイラン人4人が、2週間の仮放免許可を得た。 東京入国管理局は7月22日、4人中2人に対し、仮放免期間の延長を認めず、再収容した。 こうした行為は、表現の自由の権利の侵害であり、国際人権法や国際人権基準が禁止する残虐な、 非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いや刑罰に相当しかねない。
アムネスティは、このような手段を用いて被収容者のハンストをやめるよう強要することに反対する。 庇護希望者・移民に対する自由の制限は、その制限が法に則り、必要かつ適切な範囲であることが大前提である。 入管庁は、短期間の仮放免後の再収容をやめるべきである。 こうした措置は、すでに長期に収容されてきた者に、さらなる精神的なダメージを与えかねない。

背景情報
アムネスティは、日本での難民認定件数が極めて少ないことへの懸念を示してきた。 先の国連人種差別撤廃委員会も、同様の懸念を表明している。 今年3月の法務省の発表によれば、昨年、難民申請件数10,493件のうち難民として認められたのはわずか42件だった。

2019年10月4日 アムネスティ国際ニュース


拡大する世界の武器取引
  
 武器貿易条約(ATT)が発効してほぼ5年が経過するが、世界の武器貿易はいまだに拡大傾向にある。 各国首脳がジュネーブに会し、ATTを議論するこの機会をとらえ、各国に対し、 取り組むべき課題がまだあることを再認識させる必要がある。
武器貿易条約は、アムネスティなどのNGOが連携した国際キャンペーン 「コントロール・アームズ」による20年以上にもわたる取り組みから議論が開始され、 2013年4月の国連総会で成立、2014年12月に発効した。
ATTは、武器や弾薬などが、ジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪、戦争犯罪に使用される、 あるいは助長することが明らかな場合に、国家間の武器移転を禁じる国際条約だ。 予測される武器輸出が、国際人権法や国際人道法の重大な違反を助長するリスクがどれだけあるのか、 その分析と評価が毎年、行われている。
しかし、主要締約国の多くは、武器取引規制を守ると言いながら、 重大な人権侵害に関わる国への武器売却を続けてきた。 以下に紹介する武器輸出入をめぐる数字や状況は、救いようのない事実を突きつける。 数字は、ストックホルム国際平和研究所、スモール・アームズ・サーベイ、 ウプサラ紛争データプログラムの各団体が収集したデータに基づく。
・世界の武器関連金額
 2017年の世界の武器貿易総額は、少なくとも950億ドル(約10兆円)。
軍需関連企業の上位100社で、3,982憶ドル(約42兆円)の売上を記録。
2018年の米国の軍事費は、世界全体の36%を占める。
・主要な通常兵器の輸出入
 米国は、武器輸出国として突出する。主な輸出先はサウジアラビアで、 2014年から2018年までの5年間では、総輸出量の22%を占める。
2003年以降、世界の輸出量は毎年着実に増加し、冷戦終結後、最高水準に達した。 2014年から5年間の武器輸出上位5カ国は、米国、ロシア、フランス、ドイツ、中国。 5カ国の総輸出量は、世界全体の75%を占める。
同期間の武器輸入国は、上位からサウジアラビア、インド、エジプト、 オーストラリア、アルジェリアである。5カ国の輸入総量は、世界全体の35%を占めた。
・輸出上位5カ国
 国別輸出先(調査期間は2014/2018年。括弧内の数字は総輸出量に占める割合)
米国:サウジアラビア(22%)、オーストラリア(7.7%)、アラブ首長国連邦(6.7%)
ロシア:インド(27%)、中国(14%)、アルジェリア(14%)
フランス:エジプト(28%)、インド(9.8%)、サウジアラビア(7.4%)
ドイツ:韓国(19%)、ギリシャ(10%)、イスラエル(8.3%)
中国:パキスタン(37%)、バングラデシュ(16%)、アルジェリア(11%)
・中東への武器移転(2014/2018年)
 その前の5年に比べ87%増加。
米国の総輸出の半分以上は中東向け。
英国は59%。その大部分は、サウジアラビアとオマーン向けの戦闘機。
・サウジアラビアとイエメン
 2014/2018年は、サウジアラビアが世界最大の輸入国で、米国と英国からの輸入が圧倒的だった。 サウジアラビアの武器輸入は、2013/2017年で225%拡大。
2014/2018年、サウジアラビアは、米国から戦車338両、オーストラリア、カナダ、フランス、 ジョージア、南アフリカ、トルコの6カ国から装甲車など4千両以上を輸入した。
・小型武器と軽兵器
 世界には10億丁を超える銃が出回り、その大部分を市民が所有する。 市民100人当たり、米国ではおよそ21丁を所持する。イエメンでは53丁、 モンテネグロとセルビアで39丁、カナダとウルグアイで35丁だ。
2017年、ベネズエラとエルサルバドルでは、銃による死亡率が世界で最も高かった。 今後50年以内に軍用ライフル、カービン銃、ピストル、軽・重機関銃の生産が、 世界で3,600万から4,600万丁に達するとみられる。
・人的損失
 この10年間の武力紛争での死者は、2,436,351人だった。昨年1年では、77,320人だった。 2017年、世界中で銃による犠牲者が急増し、およそ589,000人の死者を出した。 特に中南米とカリブ海の国々で顕著で、深刻な社会問題化した。

2019年8月23日 アムネスティ国際ニュース



アマゾンを襲う大規模火災 政府の責任
  
 アマゾンの熱帯雨林でこの数週間、大規模火災が発生していることが報じられた。 森林火災を止める責任がボルソナロ政権にあることは明白であり、同政権は、真正面から消火対策に取り組むべきである。 そして、今日のアマゾンの危機を引き起こした熱帯雨林の開発政策を変えなければならない。

年初、アムネスティは、今回特に火災が大規模なロンドニア州を含むアマゾンの先住民族の 居住地周辺で起こった伐採や侵入、放火などの違法行為の実態を調査し、報告した。 調査地域の森林破壊は、昨年の同時期に比べ2倍のスピードで進んでいる。
アマゾンから数千キロ離れたサンパウロの街でも、森林火災から立ち上る煙で空が覆われ、日中でも薄暗い。 森林破壊は、違法な森の侵入者により引き起こされている。 彼らは、木々を伐採し、火をつけて山火事を起こし、先住民族の村を襲撃する。

 事態の深刻化にも関わらず、ボルソナロ大統領は、熱帯雨林の保護規制を緩め、 100万人もの先住民族の権利を侵害している。また、火災の原因はNGOにあるなどとも非難している。 言語道断の嘘を拡散したり、森林火災の規模を矮小化するのではなく、 火災の拡大を止める行動を直ちに起こすべきである。
これは、先住民族の人びとが、安全で健康的な環境で生活する権利を守る上で、不可欠である。 さらに、大気汚染が地域・国境を越えることを考えると、ブラジルの全市民や 近隣諸国の人びとの健康の権利を守る義務がある。
そして、アマゾンを守るために何ができるのかを考える国々にとっては、 先住民族の人権保護に向け取り組むことが、さらなる森林破壊を防ぐ鍵となる。 私たちは、アマゾンの先住民族の人びとやリーダーたちのために、共に立ち上がらなければならない。 彼らにとって、アマゾンは「地球の肺」であるだけではない。生きる場所なのである。

2019年8月22日 アムネスティ国際ニュース



国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』「表現の不自由展・その後」
  〜表現の自由と歴史的事実否定の公人発言に政府は措置を〜
 開催三日で中止に追い込まれた国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画展「表現の不自由展・その後」は、 いまだ再開の見通しがたっていない。アムネスティ・インターナショナル日本は、 公人による発言や匿名の脅迫者による圧力によって市民の表現の自由が侵害され続けていることに、 あらためて深刻な懸念を表明する。

 今回の企画展では、特に「平和の碑(平和の少女像)」が、攻撃の対象となっている。 この「平和の碑」は、日本軍性奴隷制(日本軍「慰安婦」制度)の被害を受けた少女たちをモチーフとし、 戦時性暴力の被害女性たちの歴史と人権をテーマに作成された芸術作品であり、 日本軍性奴隷制の国際法上の責任を問う象徴として世界各地に設置されているものである。

今回、政治的圧力をかけた複数の公人が、「平和の碑」について「日本人の心を踏みにじるもの」、 「我々の先祖がけだもの的に取り扱われるような展示物」などと発言している。 8月3日に企画展の中止が発表された後も、大阪府知事が「平和の碑」を含む展示内容について、 「反日プロパガンダ」であり愛知県知事は辞職相当だとの発言を行うなど、 公人による「平和の碑」を攻撃する発言が続いている。
こうした状況の中で、 芸術祭実行委員会には脅迫メールが770通も届いており、愛知県が警察に被害届を出したことが報じられた。 さらに、『あいちトリエンナーレ』芸術監督を招き18日に開催予定だった別のシンポジウムも中止に追い込まれた。
これらの公人の発言は、日本軍性奴隷制について、その歴史的事実のみならず、 人権侵害に対する国家責任や被害者の尊厳などをも否定する言動である。 これまでにも、こうした言動が公人によって繰り返されてきたため、 国際的な人権条約機関は、日本軍性奴隷制の被害者たちが再被害を受けているとの懸念を表明するとともに、 「被害者を侮辱し又は事件を否定するあらゆる試みの糾弾」を日本政府は行うべきであり、 そのために効果的な立法や行政上の措置を直ちにとるべきである、と日本政府に対して勧告している (自由権規約委員会の2014年日本政府報告書審査総括所見など)。

日本政府は、「平和の碑」の展示を攻撃する今回の公人の言動に対して、 これを是認することなく公式に反駁し、日本軍性奴隷制の被害者の尊厳を傷つける発言をくい止めるための 具体的な措置を取らねばならない。

 「表現の不自由展・その後」中止から2週間がたった。 企画展の実行委員会は展示再開を求め続けており、『あいちトリエンナーレ』の他の展示作品の作者からは、 企画展の出品作家に対する連帯と展示中止に対する抗議の意を表すとして、展示の一時中止等が相次いでいる。 企画展の再開を求める市民の署名活動も行われている。

 アムネスティ日本は、「表現の不自由展・その後」における表現の自由の侵害を助長した 複数の公人の言動にあらためて強く抗議するとともに、日本政府に対して、同展が再開できる環境を早期に 整えるために必要な具体的措置をただちに取ることで、表現の自由を保障する政府の責任を果たすよう強く求める。

                        以上
2019年8月21日 日本支部声明



国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の中止
    〜表現の自由の侵害〜
日本支部声明

 国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画として8月1日より開催されていた 「表現の不自由展・その後」が、数々の政治的な圧力や匿名の脅迫行為などの攻撃によって中止に追い込まれた。 アムネスティ・インターナショナル日本は、公人による発言や匿名の脅迫者による圧力によって 市民の表現の自由が侵害されたことに深刻な懸念を表明する。

 この企画展における展示に「慰安婦」問題や天皇制などを題材とした作品が含まれていることが明らかになると、 それらの展示を問題視する発言がインターネット上に現れた。
8月2日には、菅官房長官と柴山文科大臣が同展を問題視して、芸術祭に対する補助金支出の見直しに言及した。 河村たかし名古屋市長は同展を視察した上で、展示中止を求める「抗議文」を愛知県知事に提出した。 自民党の国会議員らも展示は政治的プロパガンダであるとの意見を表明した。
あいちトリエンナーレ実行委員会事務局には、メールや電話で多数の抗議が寄せられ、 中にはテロ予告や脅迫もあったとされる。
こうした状況下で、実行委員長の大村秀章知事と津田大介芸術監督は、8月3日に同展の中止を発表した。

 自由権規約(国際連合 市民的及び政治的権利に関する国際規約:日本は1979年に批准)第19条は、 締約国に対して、表現の自由の権利を保障すべき法的義務を課しており、 特に公人は、表現の自由を保障し尊重する法的義務を負っている。 しかし、官房長官、大臣、国会議員、市長らの今回の言動は、この法的義務に違反して 同展中止に政治的圧力をかけるものであり、同展企画者および出展者の表現の自由を侵害するものである。

 国連自由権規約委員会の一般的意見34(2011年)は、 「締約国は、表現の自由についての権利を行使する人々を封じることを目的とした 攻撃に対し有効な措置を講じなければならない」と述べており、 日本政府には、同展への攻撃に対して、関係者の安全を保障し、脅迫行為については捜査を行うなど、 表現の自由を守るための具体的かつ有効な措置を取る責任がある。
日本政府は、「表現の不自由展・その後」に向けられた脅迫や攻撃に対して、 同展関係者および『あいちトリエンナーレ』全体の安全を保障し、 表現の自由を守るために具体的な措置を講じるべきである。 「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれて以来、実行委員会メンバーや、 同展参加者を含む『あいちトリエンナーレ』参加アーティストらから、 同展の再開や安全の確保を求める声が上がっている。

 アムネスティ日本は、「表現の不自由展・その後」における表現の自由の侵害を 助長した複数の公人の言動に強く抗議するとともに、日本政府に対して、 同展が再開できる環境を早期に整えるために必要な具体的措置をただちに取り、 表現の自由を守るための有効な措置を取る責任を果たすよう強く求める。

                               以上
2019年8月8日 日本支部声明



ロマの人びとの居住権
 欧州社会権委員会は、イタリア政府に対してロマの人びとの居住権を 保護する措置を早急に取るよう要請した。
ロマの人びとは現代社会にいながら、長らく、社会から疎外され、 劣悪な生活環境に置かれ、日常的な差別を受けてきた。

 アムネスティは 今年3月、同委員会に対して、ロマの人びとが悲惨な居住環境に 置かれている問題について申し立てていた。 アムネスティは、委員会のこの対応を歓迎するとともに、イタリア政府には、委員会の要請を受け入れ、 ロマの人びとに対する家屋破壊や強制立ち退きの即時執行停止を強く求める。
保護措置を蔑ろにしたこれらの対応は、欧州社会憲章違反にあたる。 何よりも、ロマの人びとを強制的に排除し、適切な代替え家屋を提供しないのは、許されない。 委員会は、団体として初めてアムネスティの申し立てを受理したばかりか、 イタリア政府に対して、差別や暴力などの排除を求めるという思い切った対応を取ったのは、大変意義深い。

 強制退去が違法であるにもかかわらず、イタリアは、ロマを強制的に排除し続け、 ロマ社会全体をホームレスにしてしまった。 欧州社会権委員会の要請が、イタリアの恥ずべき慣行に終止符を打つことを期待したい。

2019年7月5日 アムネスティ国際ニュース



移民収容所空爆は戦争犯罪のおそれ
 首都トリポリ東部のタジュラにある入国管理収容施設が7月2日夜、空爆を受け、 少なくとも40人が死亡し、80人以上が負傷した。死者は、さらに増えるおそれがある。 国際刑事裁判所は、この事態を早急に調査するよう命じるべきだ。

施設には、難民や移民600人以上が収容されているが、出入り口は施錠されているため、 自力で脱出できない。このことは、紛争当事者たちに周知のことであり、 今回の攻撃は戦争犯罪にあたるおそれがある。
残忍な攻撃は、欧州とリビアによる冷淡な移民政策が生み出したものといえる。 両者が、欧州への難民・移民の流入を食い止めるために結託したことで、 数千人もの人びとが地中海からリビア国内の収容施設に送られてきた。

 首都トリポリの奪還を目指す反政府武装組織「リビア国民軍」と 国際的に承認されている国民合意政府との間で戦闘が続いてきたが、 今回の死者数は、これまでの戦闘による市民死者数の2倍にのぼる。 犠牲者のほとんどは、自国の紛争や迫害、貧困を逃れて欧州を目指したが、 紛争下にある施設に収容されてしまった難民や移民だ。 同様に危険な他の収容施設に入れられている人びとを、直ちに安全な場所に移動させるべきだ。

アムネスティが7月3日に接触した移民・難民の話では、最初に施設付近が空爆を受け、 その直後の攻撃で、男性収容棟が直撃を受けた。 撮影された写真には、爆弾でできたと思われる直径数メートルにわたり陥没した地面が写っていた。 空爆後、300人ほどが欧州を目指したが、地中海で追い返され、 リビアにもどり、タジュラで路上生活を送っている。

攻撃を加えたのはどちらの陣営なのか、今後の調査が待たれるが、複数のメディアによると、 リビア国民軍が最近、F16戦闘機を入手したという。F16並みの戦闘機であれば、 夜間の空爆も、この大きさの陥没ができる爆弾を落とすことも可能だ。 アムネスティはこれまで、紛争当事者たちに、移民・難民が戦闘に巻き込まないように、 彼らの安全な場所への移動を繰り返し要請してきた。

タジュラの収容施設の敷地内には、武器庫があり、 5月初旬、施設から100メートルほどのところにあった軍車両が空爆を受けた。 これを受け、アムネスティは当局に対して、施設内の移民・難民の命を危険にさらしていると警告していた。 国連難民高等弁務官事務所は、彼らを大至急移動するように求めた。
国際人道法は、紛争の全当事者に、民間人の被害を最小限にするため、 攻撃中止を含む最大限の対応を義務付けている。 たとえ攻撃目標が兵站施設であったとしても、近隣に住民が大勢いる場合は違法となる。 紛争当事者たちは、民間人から犠牲者を出さないために攻撃目標の変更を含む措置を取らなければならない。
アムネスティの調査で、収容施設にいる人びとの中には、 タジュラの軍事施設で強制的に働かされている人たちがいることがわかったが、これも国際法違反である。
 今回、難民・移民が攻撃を受け犠牲者を出した事態を受け、欧州連合(EU)は、 難民をリビアに委託する合意を停止すべきだ。 EUは今こそ、難民・移民が置かれている非人道的な状況に目を向け、 彼らの安全確保のために再定住地を提供すべきである。 また、彼らがリビア国外に逃れる安全なルートを即刻、確保するとともに、 地中海で救助された人びとをリビアに送ってはならない。

 アムネスティはこれまで、国連によるリビアへの武器禁輸措置が守られていないことが、 トリポリの紛争を激化させ、戦争犯罪など人権侵害を助長していると警告してきた。 その結果、リビア市民10万人以上が、国外に脱出している。

2019年7月3日 アムネスティ国際ニュース



イスラエル入植地の観光案内掲載
 ネット上で民泊情報を提供するエアビーアンドビー社は4月9日、ヨルダン川西岸地区の イスラエル入植地にある宿泊施設の掲載をめぐり、一旦は削除するとした方針を転換し、 掲載を続行すると発表した。

 過去50年以上にわたるイスラエルによる入植で、数千ものパレスチナ人が自宅を追われ、 生計手段や資源を奪われてきた。この入植は、ジュネーブ諸条約違反であり、 国際刑事裁判所ローマ規定が定める戦争犯罪に当たる。
アムネスティをはじめとする人権団体は、入植地の宿泊施設の掲載は、 人権侵害に加担していることだと繰り返し指摘してきた。
 同社は昨年11月、入植地の宿泊施設の掲載を削除するとしたが、 この決定を不当とする集団訴訟がイスラエルで起こされ、掲載削除の方針を撤回した。 人権擁護で業界の先鞭をつける機会を放棄する一方で、宿泊施設の掲載で得た収益を 慈善団体に寄付すると発表した。罪滅ぼしのつもりだろうが、 掲載による観光客の呼び込みが人権侵害への加担であり、 入植地の経済を後押しするという事実は、なんら変わらない。
国際人道法、国際人権法を尊重すべき企業による責任放棄は、恥ずかしい限りであり、 人権尊重を標榜するという同社の言葉が、空しい。
この方針転換は、企業には人権を尊重する上で大きな決断は期待できないということである。 各国は、法的措置で企業にその義務を果たさせるしかない。

2019年4月10日 アムネスティ国際ニュース



ブルネイの残虐な刑罰
 同性間の性行為には石打ちの死刑、強盗には手足切断などという極めて残虐な刑罰が、 ブルネイで4月3日から施行される。
石打ちと手足の切断は、とりわけ残虐で非人道的、品位をおとしめる刑罰だが、 新条項には、他にも凄まじい刑罰がいくつも盛り込まれている。
同国は、直ちにこれらの刑罰の導入計画を反故にし、国際人権法に沿った内容に改めるべきである。 また国際社会は、ブルネイに対してこの改正法の実施を強く非難しなければならない。

新たな刑罰はシャリア刑法で未施行だった条項で規定されており、 検事総長のウェブサイトによれば4月から適用されることになっている。 新たな刑罰の対象となる行為には、同意のもとでの成人同性間の性行為などのように、 そもそも罪にはならない行為も含まれている。
同国の刑法には、人権侵害にあたる多数の規定が含まれており、重大な問題をはらむ。 表現、宗教、信条の自由の権利のあからさまな制限や女性差別も看過できない。

背景情報

 ブルネイは、拷問等禁止条約(拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約)に 署名はしたが、批准はしていない。また、2014年の同条約機関による審査での勧告を、ことごとく退けている。
国際人権法は、石打ち、四肢切断、むち打ちなどすべての身体刑は、 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける刑罰にあたるとして、いかなる状況でも禁止している。 さらに、この禁止は、慣習国際法の基本原則として捉えられているため、当該の条約の批准国か否かを問わず、 すべての国が、この禁止規定に拘束される。国際法の下では、いかなる拷問も犯罪である。
ブルネイは、死刑を存置するが事実上、廃止している。最後の死刑判決は2017年に下され、罪は薬物犯罪だった。

2019年3月27日 アムネスティ国際ニュース



イスラエルの占領地への入植は戦争犯罪
  〜占領地は観光地じゃない!〜
 イスラエルが占領するパレスチナへのイスラエル人の入植は、国際人道法に違反し、戦争犯罪にあたる。 入植地はパレスチナ人から奪った土地であり、入植者によるパレスチナ人への度重なる攻撃も報告されている。

違法な入植地で利益を得ているのが、旅行サイトだ。大手旅行サイト4社、エアビーアンドビー(米国)、 Booking.com(オランダ)、エクスペディア(米国)、トリップアドバイザー(米国)は、 入植地にあるホテルや観光スポットを紹介し、観光客を送り込み、パレスチナ人に対する人権侵害を 助長する結果となっている。

アムネスティは、4社による入植地の施設案内やイスラエルの人権侵害について、 現地での聞き取りを含む調査を実施し、報告書にまとめた。
アムネスティの調査員は昨年2月から10月にかけて、ヨルダン西岸の被占領パレスチナ地区にある 4つのパレスチナの村と東エルサレムのシルワン地区、ヘブロンのパレスチナ人居住区に入った。 いずれの取材地も、その近くにはイスラエル入植者が運営する観光名所がある。

入植地での事業を宣伝

 アムネスティの調べでは、入植地の宿泊施設や観光スポットの各社掲載件数は、エアビーアンドビー300件以上、 トリップアドバイザー70件以上、Booking.com 45件、エクスペディア9件だった(いずれも調査時点)。 それぞれが、ホテルや観光地をつぶさに紹介するが、その観光地がイスラエルによる入植地にあることを 説明する文言は載せていない。
近年、イスラエルは、観光産業の育成に多額の資金を投じてきた。 観光客を呼び込むことで、パレスチナの土地への入植を既成事実化し、正当化している。 また、ユダヤ人と地域との歴史的つながりをアピールするために、 あえて遺跡近くにイスラエル人を入植させてきた。 さらに入植者には、パレスチナの土地や資源を活用するよう働きかけた。
そして、旅行サイトは、入植地周辺の自然保護区や遊歩道、砂漠のサファリにウェブサイト訪問者をいざなう。 その結果、入植地の観光客は、非日常体験を楽しむ一方で、 地元のパレスチナ人は、日常的に人権侵害に直面するという、異様な事態が現れている。

人権侵害からの利益

 エルサレムの北40キロほどにあるシロに近い2つのパレスチナの村は、 1990年代後半以降で5,500ヘクタール(55平方キロメートル)を超える土地を失った。 多くのパレスチナ人が村を去り、わずかに残った人たちは、入植者からしばしば攻撃を受けている。 4社とも、シロの観光施設を掲載するが、同地が入植地であることを説明するのは、Booking.comだけだ。

ベドウィンも観光開発で住み慣れた土地を追われ、生活の糧を失っている。 その地域に近い砂漠での体験は旅行サイトで「砂漠の静けさと心温まるイスラエルのおもてなし」などと紹介され、 1泊235米ドル(約26,000円)で販売されている。 古代遺跡で知られるスシャでも入植が進み、多くの村人が土地を奪われてきた。 遺跡は、周辺のオリーブ畑、ワイナリー、ブドウ畑などとともに エアビーアンドビーとトリップアドバイザーで写真付きで紹介されている。

イスラエルは、パレスチナ人の土地を観光地に仕立て、拡大のためにさらに土地を奪っているが、 その恩恵にあずかるのは、入植者と彼らと事業を行っている旅行サイト企業だけだ。
4社は、イスラエルの人権侵害を直視し、違法な入植地にあるホテルや観光地の紹介を 自社サイトから削除すべきである。「共有と相互信頼」をうたい文句にする4社が、人権侵害の片棒を担いではならない。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、企業には、国際人道法および人権法を尊重する責任がある。 4社は、被占領パレスチナ地域のホテルや観光地の案内をすべて削除しない限り、 国際法に違反し自社の企業理念にも反する事態が続く。

 アムネスティは、調査報告書を公表するにあたり、4社には事前に調査結果を伝え、意見を求めた。 Booking.comとエクスペディアからは回答があったが、他の2社からは無回答だった。 届いた回答は、報告書の巻末に掲載している。

入植地生産物の輸入規制を

 入植地が利益を生む構図は、観光業だけではない。 入植地で生産された農産物や製品が海外に輸出され、数百億円もの収益を生んでいる。 アムネスティは、これらの生産物についても、各国政府と関係企業に対し、取り扱い禁止を求めている。

2019年1月30日 アムネスティ国際ニュース



イスラエル軍の行為は戦争犯罪
 
  国連調査委員会は1月28日、昨年のガザでの抗議行動で、パレスチナ市民を銃撃するなどの イスラエル軍の行為は、戦争犯罪にあたる可能性があるとする報告書を発表した。 この調査報告は、アムネスティの見方と一致する。
イスラエルの建国により土地を追われたパレスチナ難民数百万人の帰還する権利を求める、 昨年の「帰還大行進」のデモでは、イスラエル軍が多数の市民を殺害したが、 アムネスティはこの殺害を戦争犯罪にあたるとみていた。

報告書は、イスラエル軍が、パレスチナの子どもや医療従事者、ジャーナリスト、障がい者と 認識しながら発砲したと指摘し、国際人道法をないがしろにした残酷で無慈悲な行動であるとしている。
ガザでは、6,000を超える人びとが銃撃で負傷し、すでに疲弊したその医療体制は、 さらに大きな負担を強いられた。負傷者の多くが、治療のためにガザの外に出ることを認められなかった。

国連は勧告に従い、国内の司法機関や国際刑事裁判所などの国際的な司法機関へ渡すことを念頭に、 戦争犯罪の加害者に関わる情報を収集しなければならない。 加害者が、罰せられないままであってはならない。
国連の報告を機に、被占領パレスチナ地域でのイスラエル軍による戦争犯罪の犠牲者に 正義の道を切り開き、犯罪と不処罰の長きにわたる連鎖を断ち切らなければならない。

2019年2月28日 アムネスティ国際ニュース



同意のない性行為は強かんではないのか?
 
 欧州各国では、同意のない性行為は強かんではないとする旧態依然とした法律が、いまだまかり通っている。 その結果、加害者の罪は問われず、逆に被害者が非難されるという風潮が続いている。

 11月24日の女性に対する暴力撤廃の国際デーを前に、アムネスティは、31カ国の強かん関連の法律を調査した。 その結果、31カ国のうち8カ国のみが、同意がない性行為を強かんとして処罰の対象としているが、 大多数の国は、身体的暴力や脅しなどにもとづく場合のみを強かんと定めている。
#MeToo(SNSで「私も」と呼びかける運動)に触発される形で、多数の女性が、 封印していた自分たちの体験を話すようになった。表沙汰になっていない強かんがいかに多いかを物語る。 意を決して刑事告発しても、時代錯誤の法律の壁にぶつかり、 対応した警察官や検察官らにまともに相手にされずに愕然とする。泣き寝入りするしかないのである。
 
 法律とは、本来、正義を果たし、人びとの行動を変える力を持つ。しかし、各種調査によると、 酔っ払って服装が露わだったり、抵抗がなければ、その相手との性行為は、 強かんではないとする回答者が、相変わらず多い。 相手の同意がない性行為は、れっきとした「強かん」である。 各国が、この単純な事実に向き合った法整備をするまで、強かんの加害者は、世にはびこり続けることになる。
欧州の人権機関の調査では、欧州の女性20人に1人、約900万人が強かんされた体験を持つ。 一方で、アムネスティが欧州31カ国を対象に実施した調査では、 同意のない性行為を強かんと定義する国は、アイルランド、英国、ベルギー、キプロス、 ドイツ、アイスランド、ルクセンブルグ、スウェーデンの8カ国に過ぎない。 他の23カ国は、暴力や脅しなどの強要がなければ、強かんとみなさない。 23カ国の中には、同意なき性行為を強かんと区別してより軽い罪とする国もあり、 暴力が伴うのが強かんだという、間違った認識を助長している。

 法改正は、強かん犯罪に対処する上で不可欠な第一歩だ。しかし、強かんを無くすには、それだけでは不十分だ。 多くの被害者は、社会の偏見や非難にさらされる。その非難の言葉はしばしば、 被害者に手を差し伸べるべき警察や検察官から浴びせられる。

変化の波

 強かんの加害者がはびこり、泣き寝入りするしかなかった社会に変化が起きている。、 欧州全域で性暴力に勇気をもって立ち上がる人たちがいるのだ。 この1年間、欧州各地で女性たちが集い、注目を集めた強かん事件に怒りの声を上げ、 国に対策の強化を訴えてきた。
4月にはスペインで、集団強かん犯5人が有罪になったものの、 より罪の軽い性的虐待だったことに抗議の声が噴出した。
アイルランドでは、17才の女性から強かんを訴えられた加害者の弁護人が、 女性に落ち度があったとして被害女性の下着を陪審員に示した。 これを知った女性たちが、自分の下着姿を#ThisIsNotConsent(これは同意ではない)で投稿した。
強かんは、重大な人権侵害であり、重い犯罪である。 欧州各国は、法を改正し、被害者への批判や当局の女性軽視に、断固立ち向かうべきである。 さもなければ、被害女性が後ろめたい思いをせず、加害者は必ず処罰されると信じられる社会は実現しない。

2018年11月24日 アムネスティ国際ニュース


アウンサンスーチー氏への『良心の大使賞』を取り下げる
  〜人権を擁護する象徴的存在からの離脱〜
 アムネスティ事務総長クミ・ナイドゥは11月11日アウンサンスーチー氏に書簡を送る。
事務総長は書簡の中で、就任して2年半、国軍による虐殺や表現の自由の制限に対して同氏が無関心を装い、 ミャンマーの人権・正義・平等の擁護にその政治的、道徳的権威を行使しなかったことに遺憾の意を表した。

 「アムネスティが、『良心の大使』として貴殿に期待したことは、いかなる不正義に対しても 道徳的権威をふるって声を上げ続けることでした。ところが昨今の貴殿は、 希望と勇気と人権を擁護する象徴的存在では、もはやなくなりました。これは、痛恨の極みです。 よって、アムネスティは、貴殿を良心の大使賞に足る人物と認めることができなくなったと判断し、 誠に遺憾ながら、授与した賞を撤回せていただく次第です」

終わりなき人権侵害

 2016年4月に文民政権の事実上の最高指導者となって以来、アウンサンスーチー氏は、 不作為によりさまざまな人権侵害に加担し、その拡大を助長してきた。 昨年8月下旬から始まった国軍主導のロヒンギャ掃討作戦では、治安部隊が、殺戮、強かん、拷問、 家屋の焼き討ちなど残虐の限りを尽くした。数千人が死亡し、72万人以上が隣国バングラデシュに逃れた。

アムネスティは、アウンサンスーチー氏が、この残虐行為に向き合わないことを繰り返し非難した。 国連も、大量虐殺の捜査と軍幹部の告発を求めた。 文民政権は軍を統制する力を持たないとはえ、アウンサンスーチー氏率いる政府は、 人権侵害の申し立てをはねつけ、国際調査団の受け入れも拒否するなど、軍を責任追及からかばってきた。 それどころか、ロヒンギャへの敵意を積極的に煽り、彼らをテロリスト呼ばわりし、 放火は自作自演で、強かんはでっちあげだと決めつけた。
そんなこともあり、政府系メディアは、ロヒンギャを暗にほのめかしながら 「忌まわしい人間のクズやトゲは、排除せよ」などという記事を書きたて、ロヒンギャへの憎悪を煽った。

 「アウンサンスーチー氏がロヒンギャの人びとのために何もしてこなかったことが、 同氏の『良心の大使賞』を取り下げる理由の一つだ。 政府が、重大で広範囲な残虐行為があったことを認めない限り、 ロヒンギャの人びとの保護を国に期待することはできず、 ロヒンギャの人権状況が改善される目処が立たない」と事務総長は言う。 さらに問題がある。政権が、掃討作戦で国内で避難生活を送る10万人以上の人びとに 人道支援を認めないため、彼らの状況は悪化するばかりだ。

言論の自由を弾圧

 国軍が強大な権力を維持しているとはいえ、文民政権は、人権状況、とりわけ表現の自由や集会の自由など、 改革に取り組める分野もある。しかしこの2年、政権は、人権擁護活動家や国の政策に批判的な記者を投獄したり、 嫌がらせをしたりしてきた。 活動家や記者の弾圧で使われる法律は、民主化運動を推進していたアウンサンスーチー氏自身が当時、 逮捕された時にも適用されたものだが、その種の法律を廃止することもなかった。 それどころか、アウンサンスーチー氏は、軍の虐殺を報じたロイター記者を告発する際、 同様の法律の適用を積極的に支持した。

 アムネスティは2009年、長年、非暴力民主化運動と人権擁護に取り組んできたアウンサンスーチー氏を讃え、 団体の最高の賞である「良心の大使賞」を授与した。その当時、同氏は自宅軟禁中だった。 11月12日は、その軟禁が解かれて丸8年にあたる。 2013年になってようやく賞を受け取れたアウンサンスーチー氏は、 アムネスティに対して「我が国を常に注視し、希望が歴史を彩る国になるよう支援をしてほしい」と要請していた。
アムネスティは、この要請を真摯に受け止め、取り組んできた。今後も同国の人権侵害から目をそらすことはない。 同氏がどうであれ、アムネスティは、ミャンマーの正義と人権のために闘い続ける。

2018年11月12日 アムネスティ国際ニュース



世界死刑廃止デー
今年もまた世界死刑廃止デー(10月10日)を迎えた。
死刑囚は、国際人権法と国際人権基準に沿って、人道と尊厳をもった扱いを受けなければならない。 罪の軽重を問わず、何人も非人道的な扱いは許されない。
しかし現実には、死刑を存置する国の多くで、死刑囚は独房に隔離され、長年の隔離で深刻な疾患を 抱えても満足な治療がままならず、いつ執行されるかもしれないという恐怖の中に置かれている。 このあまりにも過酷な環境に置かないためにも、死刑存置国は、死刑そのものを廃止するべきである。

アムネスティは、長年、死刑囚をめぐる残忍な人権状況を明らかにし、死刑の廃止を訴える活動を続けてきた。 ここでは特に、ベラルーシ、ガーナ、イラン、日本、マレーシアの状況を取り上げる。 これらの国では、非人道的な状況が常態化している。
ベラルーシの死刑執行をめぐる閉鎖性は際立っており、執行情報は一切公開されず、 死刑囚や家族も執行の事前通告を受けない。
ガーナでは、死刑囚はしばしば、長期間、病気の治療を受けることができない。
イランのモハマド・レザ・ハダディさんは、15才で死刑を宣告されてから14年間、 少なくとも6回、執行日を告げられては延期されてきた。精神的拷問ともいえる取り扱いだ。
日本では、松本健次さんが、長期にわたる拘禁による影響で妄想性障がいを患っている。
マレーシアのフー・ユー・ワーさんは、2014年に恩赦の嘆願を提出したが、これまで何の回答も受けていない。

アムネスティの調べでは、昨年の死刑執行は、23カ国で993件あった。 前年2016年の1,032件から4%減、2015年39%減少した。(2015年は1989年以降で最多を記録。) これらの数値には、死刑に関する情報が国家機密扱いである中国の数千件ともいわれる数値は含まれない。 その中国を除けば、ほとんどの死刑執行は、イラン、サウジアラビア、イラク、パキスタンに集中していた。

アムネスティは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、 例外なく死刑に反対する。死刑は、世界人権宣言にうたわれている生きる権利の侵害である。 非人道的で品位を傷つける最も残虐な刑罰である。

2018年10月10日 アムネスティ国際ニュース


ウイグル族など対する弾圧をやめろ
中国は、新疆ウイグル自治区のウイグル族など少数派に対する弾圧をやめ、 推定100万人にのぼる人たちの拘束を解くべきである。
同自治区ではこの1年間、多くがイスラム教徒のウイグル族やカザフ族の住民多数が 「再教育施設」に収容され、教化、同化などを受けてきた。 残された家族は、突然連行された夫あるいは妻や子どもが どこでどういう扱いを受けているのか、知る由もない。 どこかに訴えたくとも、報復を恐れてそれもできない。家族の苦悩は、増すばかりだ。
国際社会は、この事態を静観せず、中国政府に対し、説明責任を果たすように迫るべきである。 アムネスティは、新疆自治区在住の家族や知人が行方不明になったという100人あまりの国外在留者、 さらに再教育施設で過酷な扱いを受けたという元被収容者たちに、聞き取りをした。

大規模な拘束
新疆ウイグル自治区での弾圧が強化されたのは、昨年3月、同自治区に「反過激主義規則」 なるものが適用されたことが契機だった。宗教的あるいは文化的な表現が公私の場を問わずに 「過激主義」と見なされ、「普通でない」あごひげを生やす、ベールやヘッドスカーフを着用する、 イスラム教やウイグルに関する本や記事の所持、定期的な祈り、断食、禁酒などが、摘発の対象となっている。
海外、特にイスラム系の国での勉学、仕事、あるいは国外の人たちとの接触は、疑いの目を向けられ、 老若男女問わず誰もが拘束対象となる。
顔認証ソフトやメールや通話の検閲など、監視の目はいたるところに張り巡らされ、 プライバシー保護の技術を使ったメッセージアプリを使うだけでも、拘束理由になる。
中国当局は、被拘束者を留め置く施設を「教育による転向」のための施設と呼ぶ。 罪を問われ裁判にかけられるわけではないため、弁護士はつかず、異議申し立てもできない。 転向に抵抗すれば、罵声を浴びせられたり、暴行されたり、食事を与えらなかったり、 個室に閉じ込められたりするという。いつ「転向」できたかの判断が当局次第のため、 被収容者には、先が見えない日々が何カ月も続く。
中国当局は、テロ対策や治安確保のため非常手段もやむなしとするが、 その手段は、特定の脅威を念頭に、極力、対象者を絞った限定的なものでなければならない。 ところが、収容施設は、洗脳、拷問、処罰の場と化している。

引き裂かれる家族
新疆ウイグル自治区の家族の誰かが連行されると、国外在留者は、当初は事態の悪化を怖れて口外することをためらう。 しかし、改善が一向に見えないため、進んで口を開くようになっている。
ある男性は、隣国カザフスタンに短期間滞在後、帰国した昨年10月、二重国籍を保持したなどとして拘束され、 5カ月近く施設に入れられた。 拘束当初、目隠しをされ、体を器具で固定され、半日以上も身動きできなかった。 6,000人ほどもいた被収容者全員で、中国共産党の歌や習近平氏賞賛の言葉を唱和させられた。 私語は許されず、孤独と虐待の日々で、自殺への思いもよぎったという。

当局は国外在留者が、過激な宗教思想やテロ活動に関係するとみられる 国外の組織とつながっていると批判する。 そのため、新疆ウイグル自治区にいる家族は、余計な疑いを持たれないように 国外にいる家族や親戚、友人などとの 連絡をすべて断ち切っているという。電話はもちろん、SNSも使わない。 その結果、連絡が絶たれた国外の人たちの不安は、尋常ではない。 また、両親が施設送りになると、残された子どもは、経済的にも追い詰められる。 そのため、子どもが大きければ、国営の職業訓練所に入れられ、 小さければ、昨年建設された福祉施設に収容される。

スパイ行為を迫られる
国外在住者をさらに追い詰めるのが、治安当局から働きかけられるスパイ行為だ。 色よい返事をすれば、故郷の家族には寛大な措置が保証されるが、拒否でもしようものなら、 「故郷の家族を拘束するぞ」と脅される。
さらにスパイの存在は、国外在留社会全体に猜疑心を広めることになり、 孤立感や恐怖心に拍車をかける。 このように、中国当局は、国を挙げての弾圧により、 新疆ウイグル自治区の住民数百万を深刻な状況に追い込んでいる。 当局は、収容施設の実態を明らかにし、収容されている人たちを家族の元に、速やかに送り返すべきである。

2018年9月24日 アムネスティ国際ニュース


処刑は正義の実現にはなりえない
 今朝、オウム真理教元代表を含む元幹部7人の死刑が執行されたが、処刑は正義の実現にはなりえない。
オウム真理教は、1995年の地下鉄サリン事件のほか松本サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件などの 凶悪事件を引き起こし、元幹部ら13人が死刑判決を受けた。一連のオウム事件の死刑確定者に対して、 今回が初の死刑執行となった。地下鉄サリン事件では神経ガスにさらされて13人が死亡、 数千人が被害に苦しんでいる。

1日に7人の大量処刑は、近年類を見ない。彼らの犯行は卑劣で、罪を償うのは当然である。 しかし、処刑されたところで、決して償いにはならない。 正義の実現には、真相究明が欠かせない。また、すべての人の人権を尊重してこその正義である。 人権を否定し、真相究明の機会を奪う死刑は、正義とは程遠い。 今朝、処刑されたのは、松本智津夫さん、中川智正さん、新実智光さん、早川紀代秀さん、 井上嘉浩さん、遠藤誠一さん、土谷正実さんの7人。執行は、全国の拘置所で行われた。 数人が、再審請求をしているものとみられる。

各国の人権状況を審査する国連の普遍的定期審査で、日本は死刑制度の改革を迫られてきたが、 この3月、またもや勧告受け入れを拒否した。 日本政府は「世論が望む」から死刑執行は避けられない、と繰り返し主張してきた。 しかし、本来、国がすべきことは、一歩踏み出して、人権尊重を主導することである。 アムネスティは、犯罪の性格や犯罪者の特質、処刑方法にかかわらず、いかなる死刑にも反対する。 過去40年以上にわたり、終始一貫して死刑の廃止に取り組んでいる。

2018年7月6日 アムネスティ国際ニュース


日本政府は「慰安婦」女性への誠実な対応を
アムネスティ・インターナショナル日本は安倍晋三内閣総理大臣へ3月8日付きで公開書簡送りました。

 日本政府に対し、旧日本軍性奴隷制の被害者であり、正義を求める女性たちに誠実に対応するよう、 あらためて要請します。

 日本政府は軍の性奴隷に関する賠償責任について、1951年サンフランシスコ条約及びその後の 二国間平和条約や協定によっての解決済みだと主張しています。しかしアムネスティ・インターナショナルは、 これらの条約や協定には性奴隷が含まれておらず、また個人が賠償を求める権利を排除していないことから、 日本政府の立場を支持することはできないと考えます。

 アムネスティ・インターナショナルは、日本政府の高官や公人が1932年から第二次世界大戦終戦までの 旧日本軍による性奴隷制度の存在を否定する、あるいは同制度を許容範囲であるかのように 正当化する言動続けていることに抗議します。

 「慰安婦」に対する組織的な戦争犯罪を葬ろうとする相も変らぬ姿勢が、被害者の屈辱と苦悩を 長引かせ、彼女たちの尊厳の回復の妨げとなっています。性奴隷制が国際法上の犯罪であることを 認め、後世にむけて歴史的事実として記録していくことは、将来決して同じ過ちを 繰り返さないため、そして紛争下における性的暴力犯罪を不処罰ににしないための重要な一歩となります。

・国籍に関わらず、生存する被害者、故被害者、その家族を含め、日本軍性奴隷制の直接的な結果として 被害を被ったあらゆる個人への十分かつ中身のある賠償を提供すること。
・金銭賠償に加え、尊厳回復、社会復帰、無条件の謝罪、再発防止など、被害者が求める物心両面での 賠償を提供すること。
・賠償請求や裁判所への申し立てなどの権利を損なう施策は、すべて排除すること。
・韓国政府その他の被害国の政府と協力し、これらの賠償措置を実施する実効性ある制度を設置すること。
・歴史や公文書、日本の教育制度で使用される教科書に旧日本軍による性奴隷制度の正確な記載を行い、 再発防止に努めること。
・軍性奴隷制度の事実を否定または正当化しようとする政府関係者および公人の発言に反駁すること。
(以上抜粋)


ロヒンギャに対する民族浄化
ミャンマーは、依然としてロヒンギャに対する民族浄化を続けている。 食糧補給の道を断つ「強制的飢餓」もその一つだ。国連が発表した この卑劣な民族浄化作戦は、アムネスティがロヒンギャの人びとへの聞き取りで 確認した事実とも一致し、疑いようもない事実である。

ロヒンギャの難民たちは口々に、真綿で首を締めるような兵糧攻めで、 住み慣れた土地から追い出されている様子をアムネスティに語った。
この状況では、バングラデシュのロヒンギャ難民の本国送還は、はなはだ時期尚早だ。 安全が確保され、安心して自主的に帰国できるようになるまで待つべきだ。 ミャンマー当局は、武力であろうと強制的飢餓であろうと、 ロヒンギャの人びとを追い出すいかなる作戦も停止すべきである。
また、国際社会は今こそ、武器の禁輸や特定の制裁など実効性ある対応を取らなければならない。

2018年3月13日 アムネスティ国際ニュース


袴田巖さんの再審の早期実現を求める
アムネスティ・インターナショナル日本は2月8日、東京高等検察庁検事長に 袴田巖さんの再審の早期実現を求める要請の公開書簡を提出しました。


                  *
                         2018年2月8日

東京高等検察庁 稲田伸夫検事長殿
               (公社)アムネスティ・インターナショナル日本
                       理事長 庄司 香


      袴田巖さんの再審の早期実現を求める要請書

 アムネスティ・インターナショナル日本は、東京高等検察庁に対し、 袴田事件の再審実現に協力し、袴田巌さんと彼の家族の長期にわたる苦痛を 一刻も早く終わらせるよう強く求めます。

DNA鑑定や提出された新たな証拠にも基づき、今こそ司法の正義を実現すべきです。 袴田巖さんは、逮捕時から数えて実に47年以上も拘禁され、現在81歳の高齢です。 独居房の中で来る日も処刑の恐怖にさらされてきた心理的苦痛は、想像に余るものです。 また、長期間の身体拘束による心身への影響は釈放後の言動からも明らかであり、 これ以上再審の開始を先延ばしにしてはなりません。

本事件は、取調べでの不公正な手続きや、証拠の妥当性などが問題となってきました。 加えて、即時抗告審では新たに取調べ録音テープも開示されました。 検察庁はこれらの客観的な事実にもとづき、再審開始を受け入れた上で、 再審の実質的な審理の中でその主張を立証すべきです。
また日本政府は、静岡地裁が指摘した証拠のねつ造や違法捜査の疑いを重く受け止め、 国連の勧告に沿った司法制度の改革をすすめなければなりません。 そのための第一歩として、事実の検証を求めます。

アムネスティは、2008年に袴田巖さんを「危機にある個人」と認定し、 公正な裁判を受ける権利の保障などを求めて支援を続けきました。 袴田さんの再審実現を求める声は、広く国内外から届いています。 私たちはあらためて、再審の早期実現に協力することを強く求めます。

以上


パレスチナの少女へ不当な刑罰の恐れ
 12月、被占領ヨルダン川西岸地区でイスラエル軍兵士との諍いで暴力をふるい、 逮捕・勾留された16才のパレスチナ人活動家が、最大10年の実刑を受ける可能性がある。 弁護士によると、彼女は長時間、時には深夜におよぶ過酷な尋問を何回か受けたという。 イスラエル当局は、直ちに彼女を釈放すべきである。

被占領ヨルダン川西岸地区のナビ・サレ村に住むアヘド・タミーミさんは、 12月15日、自宅入口にいた兵士2人に、突き、平手打ち、蹴りなどを加えた。 その様子を撮った動画がフェイスブックで拡散された。 動画を見る限り、兵士2人が、アヘドさんが繰り出した手や足を払いのけるのは、容易だった。 一方、動画を見た多くのイスラエル人が激怒し、ナフタリ・ベネット教育相は軍のラジオ放送で、 「死ぬまで監獄暮らしだ」と言い放った。

4日後、タミーミさんは、米トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と 認めことに対する抗議デモに参加し、逮捕された。 その日、従弟のムハンマド・タミーミさん(15才)が、 兵士により至近距離から放たれたゴム弾を頭部に受け、重傷を負うという事件があった。

1月1日、タミーミさんは12件の容疑で起訴された。兵士に対する「悪質な暴行」や公務執行妨害のほか、 ソーシャルメディアでの煽動、過去の兵士とのトラブル5件に関わる容疑などである。
イスラエル当局の激しい抑圧を前に果敢に抵抗した少女に長期の刑を下すならば、受け入れがたい司法の茶番である。 そもそも裁判を行う軍事法廷は、公平な裁判基準の基本を満たしていない。
毎年、未成年者対象の軍事法廷でパレスチナの子どもたち数百人が起訴され、 地元の人権組織によると、刑務所や拘置所に現在、約350人が収監されている。
タミーミさんの兵士に対する行為で、何日も勾留するのは不当である。 当局は、直ちに釈放すべきである。武装した兵士に、少女が素手で対抗したのは、 兵士の脅威にはなっておらず、罪を問うのは不当である。


2018年1月15日 アムネスティ国際ニュース


またもや死刑執行
 12月19日、2人が死刑執行された。またもや、生きる権利を顧みない日本政府の姿勢が鮮明になった。
処刑されたのは、関光彦さん(44才、強盗殺人)と松井喜代司さん(69才、殺人)で、 執行場所は、東京拘置所だった。2人とも、再審請求中で、関光彦さんは犯行当時19才だった。 2人の執行は、日本の人権状況にまた汚点を残すことになった。

 2007年12月、国連総会は死刑執行の停止を求める初の決議を採択した。 それからちょうど10年が経ち、世界の潮流は確実に死刑廃止に向かっているが、 日本はこの動きに背を向け続けている。
もし日本政府が、死刑は司法としての役割を果たす手段であると考えているならば、大きな勘違いである。 死刑は、残虐で非人道的で品位をおとしめる刑罰であり、国際社会の多くの国が、このことを認めている。 今回の2人の執行で、2017年に処刑された人は4人となった。 死刑確定者は通常、数時間前に執行を告げられ、直前に告げられることもある。 家族や弁護人、一般市民が執行を知るのは、行われた後である。

 アムネスティは、犯罪の性格や犯罪者の特質、執行方法にかかわらず、例外なくすべての死刑に反対する。 アムネスティは40年以上、死刑廃止を求める運動を続けている。

2017年12月19日 アムネスティ国際ニュース


ミャンマー(ビルマ)治安部隊が周到なロヒンギャ民族浄化作戦
 8月25日にロヒンギャの武装集団が警察施設などを襲撃して以来、治安部隊による報復で、 37万以上のロヒンギャの人たちが、自宅を追われ、隣国のバングラデシュに逃れた。
アムネスティが入手した証言や情報などから、ラカイン州での治安部隊の作戦は、 周到に準備されたロヒンギャの民族浄化作戦であることが明らかになってきた。

アムネスティは、衛星画像、現場の写真と映像、火災探知データなどを入手し、 またビルマとバングラデシュの国境付近で目撃者数10人に聞き取りをした。 それらの情報を分析した結果、治安部隊がほぼ3週間にわたり、ラカイン州北部一帯のロヒンギャの村々を 狙った大規模な焦土作戦を展開していたことがわかった。

治安部隊と自警団のような集団がロヒンギャの村々に火を放ち、逃げまどう人びとを手当たりしだいに撃ち殺していった。 間違いなく民族浄化である。

 大規模な焼き討ち情報分析によると、8月25日以降、州北部一帯の居住地域で、 375メートル以上にもわたる大規模な火災が、少なくとも80地区で確認された。 過去4年の同時期のデータも調べたが、この規模の火災は一切認められなかった。 それぞれの地区が焼け野原と化し、焼き出された人たちは、数万人に及ぶと見られる。 そして、火災は、ロヒンギャが多く住む地域に集中していた。

 現地に入ることが認められないため、それぞれの地区の火災の規模は特定できないが、 アムネスティは、火災を示す衛星画像を住民の証言と焼き討ちされた家屋の画像を突き合わせた。 雨期であるため衛星画像からは放火を正確に把握できないため、放火の実態を特定する作業は困難を極めたが、 実際の件数も規模も、分析結果よりも多いものと思われる。
ただし、バングラデシュとの国境に近いマウンドー地区で複数の民族が住むインディン村では、 ロヒンギャの家屋が焼き尽くされる一方、隣接する他の民族の地域は、焼き討ちを免れていたことは、わかっている。

周到に計画された襲撃

 襲撃を受けたロヒンギャ住民が必死の思いで逃げる中、治安部隊は、ガソリンを撒いたり、 ロケット砲を使って家屋を焼き討ちにした。
9月8日、マウンドー地区のヤエ・ツイン・キュン村を追われた男性(48才)は、 襲撃を目のあたりにした。「彼らは、家々を次々に焼き払った。900軒あった家が、今は80軒しか残っていない。 もう誰もいないので、遺体の埋葬すらできない」と嘆いた。
また、衛星がとらえた火災のデータからは、8月26日にマウンドー地区のミョ・トゥ・ギ村の一帯も、 焼き尽くされたことがわかった。
複数の地区では、地元の役人が前もって村民に焼き討ちがあることを伝えていたという。 何とも衝撃的である。一連の襲撃と焼き討ちが、周到に計画されたものであることがわかる。 マウンドー地区ケイン・チャウン村の男性(47才)の話も悲惨だった。 「50人ほどの兵士が2方向から村にやってきて、手当たり次第に銃撃を始めた。 みんな、パニックになって逃げだし、必死に川を泳いで渡った。渡れなかった人の中で男たちは、 至近距離から撃たれたり、刺し殺された」
ラテダウン地区パン・キアン村の村民は、9月4日早朝、部隊に同行してきた地元の役人から、 「午前10時までに村を出たほうがいい。全部焼かれてしまうぞ」と警告されたという。 警告通り、家族が身のまわりの品々を荷造しているとき、火の玉のようなものが家を直撃した。 恐怖の中、着の身着のままで逃げたという。

ビルマ当局は、治安部隊が焼き討ちに加担していることを頑なに否定している。 それだけではない。「ロヒンギャの人たちが、自分たちの家に火をつけている」などと、 信じ難い主張を展開した。

数十万人が国を追われる

 昨年後半から今年初めにかけて、軍の大規模な軍事作戦の影響で、 およそ87,000人が国を追われてバングラデシュに逃げ出した。
国連の推定によると、今回の焦土化作戦により、37万人以上がバングラデシュに逃れた。 さらに、今後も数万人が家を失い、国内避難民になる可能性があるという。

 ロヒンギャをめぐる問題は、数日以内に国連人権理事会で議論されることになる。 これは、国際社会が、今も進行中のこの問題の深刻さをしっかり把握し、 その重大さを反映した強力な打開策を採択する機会となる。 理事会はまた、国際調査団の任務を拡大しなければならない。 そして、ビルマ当局は、全面的にその受け入れに協力すべきである。
2017年9月15日 アムネスティ国際ニュース


フロリダ州が死刑執行再開か
 フロリダ州が8月24日、18カ月ぶりに死刑を執行しようとしている。
8月24日午後6時に執行が予定されている死刑囚は、マーク・アセイさんで、 1987年に2人を殺害した罪で1988年に死刑判決を受けた。
米連邦最高裁判所は昨年1月、フロリダ州の死刑の法律は憲法違反だとの判断を示した。 また、2017年3月には、アラミス・アヤラ州検事が、死刑には明白な欠陥があるため死刑を求刑しないと表明した。
これに対しスコット州知事は即座に同検事を罷免し、死刑派の検事を任命した。 知事は、これまでに26件の裁判を、同氏が好む別の検事に担当させている。 アラヤ検事が指摘した欠陥は、人種差別、費用、誤判のリスク、犯罪抑止力への疑問などである。 彼女はフロリダ州で初めてのアフリカ系アメリカ人の検事だった。

 死刑制度が破たんしていることを示す圧倒的な根拠に対する知事と検事の考え方は、あまりにも異なる。 1人は、「廃止すべきだ。差別、恣意性、誤判に陥りやすいし、費用や人員の無駄だ」と話す。 もう1人は「死刑制度を推し進めよ」としている。 1人は、一貫して国際的な人権の原則に沿って行動している。もう一方は違う。

2017年8月21日 アムネスティ国際ニュース


イスラエル軍、病院を襲撃
 イスラエルの軍兵士と警察は7月17日と21日、東エルサレムにあるパレスチナの病院を襲撃し、 当局との衝突で重軽傷を負った患者や医療スタッフを恐怖に陥れるという事件があった。 アル=マカッセド病院への襲撃は、エルサレムとヨルダン川西岸地区で緊張が高まっていた最中の出来事であった。

 7月14日にイスラエルの警官2人がアル=アクサ・モスク入口で射殺された事件を受け、 イスラエル当局がモスクの入口にボディーチェック用の金属探知機を設置したことで、 金属探知機の設置に対する広範な抗議行動を起こしたパレスチナ人とイスラエル当局との間で衝突が起こり、 この10日間で、イスラエルの軍・警察により少なくともパレスチナ市民4人が殺され、1,090人あまりが負傷した。 病院には、当局の催涙ガスや殴打、ゴム弾などで負傷した人たちが次々と運ばれていた。

 ラフィック・フッセイニ院長やバッセム・アブ・リブデ医長ら関係者が、アムネスティに語ったところによると、 7月17日の夜遅く、マシンガンや閃光弾を携えた重武装の兵士や警官20、30人が、何の根拠も示さず院内に突入し、 患者や職員らを恐怖に陥れた。兵士らは院内を駆け回り、通路などに人があふれる中、重体患者らを探しまわった。 兵士らは太ももを撃たれて動脈が損傷し、激しく出血していた若い男性(19才)を、人垣をかき分けながら追い回した。 手術室にいた別の重症患者に襲いかかろうとした兵士らの前に、医師数人が立ちはだかる場面もあった。 院内を回りながら、患者や病院関係者に出くわすたびに、罵るなど嫌がらせをしたという。

 21日には、兵士ら約200人が院内に突入し、通路にいた人たちを拘束し、催涙ガスを使った。 胸に重傷を負った患者を手術室まで追って来て、立ちはだかる医師を押しのけた。 その騒ぎの中、その若者、ムハンマド・アブ・ガンナムさんは、亡くなった。

 エルサレム旧市街での抗議行動は、総じて平和的に始まった。 やがて、アル=アクサ・モスクの外にいた礼拝の人たちも抗議に加わった。 しかし、イスラエル軍が、抗議する人たちに向けて催涙ガスやゴム弾を使い出してから、状況は一転した。 当局の力の行使に対して、抗議する人たちは、瓶を投げて対抗した。 この衝突で、1,000人あまりのパレスチナ人が負傷した。

 今回の衝突をきっかけに、殺人事件がさらに増えていく懸念が高まっている。 7月21日には、被占領西岸地区のイスラエル人入植地で、イスラエルの市民3人がパレスチナ人に刺殺される事件が起きた。 市民への暴力は、決して許されない。しかし、その裁きとしてパレスチナ市民に対する集団的懲罰を与えるのは、筋違いだ。 イスラエルは占領する側として、パレスチナ市民の身を守る責任を負う。 市民の平和的抗議の権利も尊重しなければならない。また、国際法に沿って、力の行使を自制しなければならない。

2017年7月25日 アムネスティ国際ニュース


トルコ政府の人権NGO弾圧に抗議する
 私たちは、人権活動家10人が逮捕・拘禁されていることに大きな衝撃を受け、驚きを禁じ得ない。
彼らは、非暴力の人権活動を行っていたことが理由で、武装テロ組織のメンバーだとして取り調べを受けている。 逮捕と取り調べは、逮捕された人たちが所属する、同国で最も知られた人権NGO6団体への弾圧であり、 市民社会へのさらなる一撃である。そして、トルコが今後向かおうとする不気味な前途を暗示している。

 逮捕された10人は次の人たちである。ヴェリ・アジュさん、オズレム・ダルクランさん、 イディル・エセルさん、ナラン・エルケムさん、ギュナル・クルシュンさん、 シェイフムズ・オズベクリさん、ネジャット・タシュタンさん、イルクヌール・ユスチュンさん(以上トルコ人)、 スウェーデン人のアリ・ガラビさん、ドイツ人のピーター・スチュッドナーさん。
その一人、エセルさんは、アムネスティ・トルコ支部の事務局長を務める。 1カ月前には、同じアムネスティのクルチュ理事長が逮捕された。一国で同時期に、 アムネスティの事務局長と理事長が逮捕されるのは、初めてのことだ。 私たちはトルコ当局に、全員を即時かつ無条件に釈放するように求める。

 1年前、暴力的なクーデター未遂で249人が死亡した。この事件で亡くなった人たちを悼み敬うべきであり、 クーデターの首謀者は厳しい裁きを受けるべきである。 しかしトルコでのクーデター未遂事件以降の1年にわたる弾圧は、あまりに大規模で容赦ないものである。 これまでに公務員10万人以上が解雇され、数万人が恣意的に逮捕され、数百の報道機関とNGOが閉鎖された。 これは、世界的に広がっている憂慮すべき動きの一部である。 世界では昨年1年で、人権を擁護して立ち上がった人たちが、少なくとも22カ国で殺害され、 68カ国で逮捕あるいは拘束された。議論をやめさせ、批判的な声を封じる関係当局は、 自分たちが権勢を振りかざすことに自信を深めている。

  この状況の中で、各国がどう対応するかは、非常に重要である。 先の主要20カ国首脳会議で数カ国の首脳は、トルコの人権活動家の逮捕に懸念を表明したが、 それだけでは不十分だ。今こそ、各国は立ち上がり、断固とした姿勢で、人権・尊厳・正義を支持し、 この3つの価値の守護者としての市民団体が力強く活動する必要性を説くべきである。

アムネスティ・インターナショナル事務総長 サリル・シェティ
アバーズ事務局長 リッケン・パテル
ヒューマンライツ・ウォッチ事務局長 ケネス・ロス
国際労働組合総連合書記長 シャラン・バロウ
トランスペアレンシー・インターナショナル組織担当責任者 ロビン・ホデス

2017年7月14日


アムネスティ死刑執行に抗議声明
 アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、大阪拘置所の西川正勝さんと広島 拘置所の住田紘一さんに死刑が執行されたことに対して強く抗議する。
今回の執行により、安倍政権下での処刑は2006年の第一次安倍内閣と合わせて、29人 となる。金田勝年法務大臣にとっては昨年の就任後1人の死刑執行に続く2回目の死刑 執行となった。
 西川正勝さんは、これまで何度か再審請求を行っており、今回再審請求中の執行で あったという。国家が国民の命を奪う死刑制度では、慎重な審理を尽くす必要があ る。公正な裁判のためには、再審の機会を保障しなければならない。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の第14条では、公正な裁判を 受ける権利として、防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられることを定め ている(3条b)。裁判所による公正な審理が尽くされることなどを含め、日本政府 は自由権規約を批准した国として、こうした裁判手続きの保障を遵守しなければなら ない。
 また、住田紘一さんは、裁判員裁判ののち控訴を取り下げたため、死刑が確定してい る。現行の仕組みでは、捜査段階や訴訟段階で問題があったとしても本人が取り下げ れば、その点について見過ごされてしまうおそれがある。本人の意思に関わりなく必 ず最高裁の判断を求める必要的上訴の手続きなど、国民の生命の権利をより積極的に 守る方法について、政府は検討すべきである。
今回の死刑執行においては、こうした公正な裁判を受ける権利を確保するという観点 が欠けており、人権を軽視する現政権の姿勢の表れであるとの誹りは免れない。
 死刑は生きる権利の侵害であり、残虐で非人道的な、人の尊厳を損なう刑罰である。 アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として公式に死刑の執行停止措 置を導入し、全社会的な議論を速やかに開始することを要請する。

2017年7月13日 公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本 


アムネスティ・トルコの事務局長逮捕される
 アムネスティ・トルコ支部長がいわれなき理由で逮捕されたことに続き、 アムネスティ・トルコ事務局長とその他一緒にデジタルセキュリティの 研修を受けていた人権活動家(HRD)が逮捕されていたことがわかりました。 何の根拠もなくテロ組織に参加しているという容疑をかけられています。
抗議と釈放を求めるオンラインアクション。
https://www.amnesty.org/en/get-involved/take-action/tell-erdogan-free-amnesty-turkey-idil-Eser-and-nine-others


共謀罪強行採決に対する日本支部声明
 組織的犯罪処罰法等の一部を改正する法案が、6月15日朝、参議院本会議において、 自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。 法案は通常、法務委員会の審議・採決を経て、本会議で採決されるが、 今回、「特に緊急を要するものは議院の議決で委員会の審査を省略することができる」とする 国会法を適用して法務委員会の審議を打ち切っての採決だった。

 アムネスティ・インターナショナル日本は、審議を尽くすことなく、 また懸念や反対の声を誠実に受け止めることなく採決を強行したことを、強く非難する。 この法改正で新設された「テロ等準備罪(共謀罪)」は、犯罪の実行を準備した段階で処罰を可能とするもので、 「準備行為」の概念があいまいかつ広範すぎる、監視社会を招くなど、 多くの報道機関、弁護士会、研究者や市民団体から、人権侵害の可能性が高いと反対の声が上げられていた。 アムネスティ日本も、準備行為特定のために日常的、組織的な監視行為が導入される危険性を指摘し、 個人のプライバシーが侵害され、市民活動が委縮し、市民の表現の自由が抑圧される懸念を、繰り返し表明してきた。

 参議院本会議の審議では、金田法務大臣が、環境や人権の保護を掲げる団体でも、 実態が組織的犯罪集団と認められれば構成員が処罰対象になる可能性があると認めた。 だが組織的犯罪集団かどうかを判断するのはあくまでも捜査機関であり、恣意的な運用への危惧は拭えない。
人権は普遍的なものであり、どんな政府であっても尊重しなければならない。 表現の自由は、その人権を尊重するためにも、必ず保障すべき権利である。 日本政府はこのことを十分に認識し、問題点を改善すべきである。

 アムネスティ日本は、改正法の今後の運用状況を注視し、人権を守る市民団体として、 市民の権利が侵害されるようなことがあれば、断固として抗議していく。

2017年6月15日 公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本


アムネスティのトルコ支部長逮捕される

 「テロリスト組織」のメンバーであったという理由をつけて、アムネスティのトルコ支部長、 Taner Kilic(タネル・キリッチ)が逮捕・拘束されました。
これはトルコにおける先のクーデター失敗後に起きているエルドアン大統領による 公務員、メディア関係者、教員等の大量逮捕の一環であり、トルコ政府による人権活動家 への弾圧です。
アムネスティは緊急行動で、アムネスティのトルコ支部長タネル・キリッチの釈放を求めています。
詳細は
https://www.amnesty.org/en/documents/eur44/6475/2017/en/
オンラインアクションは
https://www.amnesty.org/en/get-involved/take-action/free-taner/

2017年6月10日


市民社会の自由を奪う「共謀罪」に反対する国際NGO共同声明


 5月17日、アムネスティ・日本はグリーンピース・ジャパンと共謀罪反対の 共同声明を発表しました。

  アムネスティ・インターナショナル日本およびグリーンピース・ジャパンは、国際的 に市民の立場で活動する団体として、これまで三度上程して廃案となった、いわゆる 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法等の一 部を改正する法律案に対し、反対します。

 今国会で議論されている「共謀罪」法案は、これまで与野党をはじめ強い反対を受け 採択に至らなかったものです。今回政府は、これをテロ対策であるとし、国際組織犯 罪防止条約のために必要な法案であると説明しています。しかし法律家の中には、こ の条約のためにテロ等準備罪を設ける必要はないという意見もあります。この法案が 成立すれば、犯罪行為を行う前の段階の準備行為だけで処罰することができるように なります。対象となる犯罪は、277と絞り切れておらず、さまざまな行為が準備行為 とされるおそれがあります。

 私たちは、環境を守り、人権が尊重される、より良い社会を創っていくため、国際的 な市民運動を展開しています。こうした社会の実現には、政府と市民団体や活動家 が、健全な関係を保ちつつ、それぞれの立場から対話を進めていくことが必要です。 市民団体として、政府の市民社会に対する制約を注視し、批判や政策提言を行うこと も重要な活動に含まれます。

「共謀罪」法案の説明にあたって政府は、市民団体の性質が「組織的犯罪集団」に変 容すれば、対象となる可能性があると述べています。この変容の判断は、捜査機関に よって恣意的に行われる可能性があり、各国で、例えば民主化運動を行ったために犯 罪者とみなされてしまった活動家の支援が「犯罪」と解釈され、この法律が適用され てしまうおそれは否定できません。そうなれば、国際社会と共に声を上げる運動への 大きな打撃となります。市民団体として政府の政策を批判するだけでも、組織的犯罪 の準備行為とみなされかねません。

 また、この法案が成立することで、準備行為を把握するために当局がメールや電話で のやりとりなどを監視していくようになることも懸念されます。私たちのような市民 団体だけでなく支援者・支持者も監視対象となる可能性もあります。そうなれば、市 民活動そのものが委縮しかねません。

 私たちは、以上の理由から、本法案が民主主義の根幹である表現の自由を脅かすおそ れのあるものだと考え、強く懸念を表明し、本法案の成立に強く反対します。

 2017年5月17日 NGO共同声明

自由の女神、トランプ大統領に抗議


(C) Marie-Anne Ventoura/Amnesty UK
 トランプ大統領就任から100日目を迎える4月29日を前に、米国の象徴である「自由の女神」100人が、 4月27日、ロンドンの米国大使館前で抗議活動を行った。 この「自由の女神」に扮して抗議活動を行ったのは、薄緑の衣装に同色のフェイスペイントを施し、 松明を掲げたアムネスティ活動家だ。この100日間でトランプ大統領が引き起こした数多くの人権問題に、 世界の注目を集めることが狙いである。
これまでアムネスティは、イスラム圏7カ国からの入国禁止措置、120日間の難民受け入れ停止措置、 メキシコ国境の壁建設など、トランプ政権による数々の政策を強く批判してきた。 この100人の自由の女神たちは、ロンドンにある米国大使館前に並び、重苦しい表情で沈黙することにより、 これまでトランプ政権が侵してきた人権侵害に対する抗議の意を表した。 沈黙の抗議に続き、自由の女神像の台座に刻まれたエマ・ラザラスの詩「新しい巨像」の有名な一節が、格式高く朗読された。
「だがその疲れた者たちを、貧しい者たちを、
自由の空気にこがれひしめく人々を、ここへ寄こしなさい、
あふれかえる岸であわれにも拒まれた者たちを。
これら、寄る辺ない、嵐に打たれた者たちを、ここに来させなさい、
わたしは掲げる、金色の扉に、この、灯かりを!」と。
(訳きむらしんいちさん)
 トランプ大統領は就任後わずか100日間で、元々不評だった人権に関する米国の評判を計り知れないほど悪化させた。 トランプ政権が、米国の象徴である自由の女神が表してきた自由をほとんど顧みないのは、まことに残念である。 同様の抗議行動は、北アイルランドとスコットランドでも行われた。

2017年4月27日 アムネスティ国際ニュース


パレスチナ囚人の日にハンストを計画
 イスラエルは数十年間、被占領ヨルダン川西岸地区とガザ地区のパレスチナ人を自国内の刑務所で拘禁し、 家族との面会機会を奪ってきた。露骨な国際法違反であるこの政策に抗議して、パレスチナの囚人の日 である4月17日の週に、囚人たちが大規模なハンストを計画している。

 アムネスティは、パレスチナ人の囚人とその家族に聞き取りをした。得られた証言からは、 囚われている身内に会う機会を、時には何年も奪われてきた家族たちの苦悩が浮かび上がった。 被占領パレスチナ地域で逮捕したパレスチナ人の囚人をイスラエルに移送して、 同国内に収監する政策は、ジュネーブ第4条約の明らかな違反である。
ハンストを予定する囚人たちは、家族との面会や連絡を認めることなどを求めている。 ハンストは、囚人のリーダーであるマルワン・バルグーティさんにより公表された。 多くの囚人が、政治的な立場の違いを超えてストに参加する意思を声明した。 国際法の下では、容疑者は占領側の領地ではなく、その容疑者が住む被占領地域で 収監しなければならない。また、囚人は、定期的かつ可能な限り頻繁に、 (特に近親者との)面会の機会を与えられなければならない。

 非政府組織パレスチナ囚人クラブによると、現在イスラエルが運営する刑務所や拘置所など 17の施設に、6,500人(うち女性57人)のパレスチナ人が治安関連で収監されている。 17のうち16施設は、イスラエル国内にある。少なくとも500人が、起訴も裁判もない行政拘禁で収監されている。 パレスチナ人の囚人問題委員会の広報担当ハサン・アベド・ラッボさんによると、 少なくとも1,000人が「治安上の理由」で家族との面会を認められていない。 さらに、現在およそ15から20人が隔離拘禁されており、他の囚人との接触や家族との面会を 一切認められていないという。
イスラエル監獄局の規則によると、囚人は2週間に1回、家族と面会できることになっている。 しかし実際は、被占領パレスチナ地域の家族がイスラエルで収監されている身内に面会するには、 同国への入国許可を申請しなければならないため、面会できる頻度は、極めて限られてしまう。 イスラエルで拘禁されている、ガザ出身の囚人約365人への対応はさらに悪く、 家族との面会を許可するのは、2カ月に1回にしかすぎない。
イスラエルは、パレスチナ人を違法に国内へ移送するのではなく、 被占領パレスチナ地域内の刑務所や拘置所に収監すべきである。 また、イスラエル当局は、囚人とその家族への懲罰的な手段と化している面会する権利の 過剰な制限をやめ、国際基準に十分合致した処遇としなければならない。

2017年4月13日 アムネスティ国際ニュース


ハンガリー:NGOの信頼失墜を狙った法案
ハンガリー政府は、NGOの「資金の透明性の強化」の名目で新法を成立させようとしている。
これが導入されれば、外国からの資金を受けているNGOの信頼性は失墜し、弱体化につながるおそれがある。 外国から年間24,000ユーロ以上を受け取っているNGOは、「外国資金受け取り団体」となり、 この呼称を全出版物に表示することが義務づけられる。
政府はこの法律を、マネーロンダリングと国際的なテロを防止する対策の一環だと主張している。 「外国から資金を受けているNGOは外国の利益に配慮した活動をする可能性があり、結果として 国の主権と治安が脅かされるおそれがある」という論法のようだ。しかし、当局の真の狙いは、 「外国からの資金を得ている」というレッテルを貼ることにより、NGOの働きをおとしめ、 市民にNGOに対する反感を持たせることにある。市民社会の批判的な声を抑え込み、信用を失わせたいのだ。
「透明性の強化」を謳っているが、現在の法律でもNGOは外国から得た資金の届け出を義務づけられており、 当局はいつでも監査できることになっている。
ハンガリーのNGOは、法の支配の促進、難民や移民、社会から疎外されている人びとの擁護など 様々な分野で活発に活動し、国に代わって社会的、法的サービスを提供してきた。
法案はロシアで2012年に発効した「外国エージェント法」を想起させる。発効以来ロシアのNGOは、 さまざまな制約に苦しめられてきた。 多くの団体の評価は下がり、煩雑な手続きに疲弊して仕事が行き詰っている。
ハンガリーの数百のNGOは、団結して声を上げ、表現の自由と結社の自由の権利に対する 周到に計画された圧力をはね返すべきだ。法案は、ヴィクトル・オルバーン首相が進める 非自由主義的民主主義への大きな一手であり、EU加盟諸国は強く反対すべきだ。 首相は熟慮し、この法案が二度と審議されないよう適切な措置を講じなければならない。

2017年4月7日 アムネスティ国際ニュース


アムネスティ共謀罪反対
 アムネスティ・インターナショナル日本は、組織的犯罪処罰法等の一部を改正する法 律案は市民を抑圧するおそれがあるとの理由から、本法案の成立に強く反対する。

 この法案は、いわゆる「共謀罪」法案として、犯罪の実行を準備した段階で処罰を可 能にするものである。国際組織犯罪防止条約(通称パレルモ条約)の批准にむけて国 内法を整備するために成立が必要と政府は主張している。しかし、多くの報道機関、 弁護士会、研究者や市民団体から、共謀の定義、犯罪集団の定義が曖昧であるため適 用範囲が拡大解釈されかねず、健全な市民活動が萎縮すると批判されている。

 犯罪の成立には構成要件として実行行為が必要である。しかし、法案では、実行に着 手する前の準備行為を「実行準備行為」とし、犯罪の構成要件としている。「計画に 基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するため の準備行為」(同法案6条の2第1項)と定め、単に私用である場所に訪れた場合や、 私物の購入だけでも、準備行為とみなされるおそれがある。条文の定めだけでは何を もって準備行為を特定するのか明確でなく、捜査機関が法を恣意的に運用すれば特定 の市民を狙い撃ちにすることが可能となる。

 また、共謀の現場を偶然見つけることは不可能に近い。共謀の事実を把握するため、 日常的な監視行為が必要となるであろう。盗聴やインターネット経由による情報が集 約され、個人のプライバシーはなくなり、警察権力の拡大によって市民活動が委縮 し、市民の表現の自由が抑圧されるおそれがある。

 さらに、組織的犯罪集団の特定が明確でなければ、個人の表現の自由だけでなく団体 の表現や結社の自由にも侵害が生じる危険性がある。そもそも、パレルモ条約は反社 会的組織の資金源を断つなど国際的に暗躍する組織犯罪の取り締まりが目的であっ て、市民団体が対象となることは想定されていない。法案においても、団体として共 同の目的が犯罪の実行にあるものが想定されている(同法案6条の2第1項)。これま での政府の見解によれば、正当な目的で設立された団体であっても、共謀が行われた 時点で犯罪を実行する団体へと変容すれば該当するという。
確かに、法を犯す組織集団は取り締まり対象とすべきだ。しかし同法案のもとでは、 市民の人権のために政府を批判する人権活動家やそれを支援する団体も、政府の一方 的な判断によって組織的犯罪集団とみなされる懸念は拭えない。人権尊重のために立 ち上がる市民の活動や、それを支援する団体の活動は、たとえそれが政府への抗議行 動であっても表現の自由・結社の自由によって保障されなければならない。

   政府に対し、声を上げることが許される社会が、表現の自由を守る健全な民主主義社 会の在り方である。パレルモ条約を批准するためという理由でこの「共謀罪」法案が 成立すれば、すでに批准している自由権規約第19条の表現の自由や第22条の結社の自 由を侵害することにつながると、アムネスティは強く懸念する。本法案が市民を抑圧 する道具とならないよう、成立に対し強く反対する。

2017年3月28日 アムネスティ・インターナショナル日本支部声明




 
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Q1 拷問を行っている国は何ヶ国?
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  • Q2 拷問禁止条約の成立年は?
  • A 1852年 B 1984年
     C 2001年
  • Q3 日本は拷問禁止条約に加入していますか?
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  • A はい B いいえ
     











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