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ワクチンの大手企業独占から共有へ
   
 ワクチンの普及を目指す団体「民衆のワクチン連盟」の調べでは、G7各国の市民の圧倒的多数が、 製薬企業がワクチンの製法と技術を広く共有するよう政府が動くべきだと考えていることがわかった。 また、製薬企業はワクチン開発に伴うコストの正当な対価を受けるべきだが、製法の独占は問題だとみている。

5月5日、ロンドンでG7外務・開発大臣会議が2年ぶりに対面形式で開催され、 世界貿易機関総会がオンラインで開かれる一方で、インドでは新型コロナウイルス感染による死者が 急増している。
「民衆のワクチン連盟」によると、G7諸国では、市民の70%が、ワクチンの製法と技術の共有を国に 求めている。ワクチン共有に向けた政府の対応について、国は企業に介入すべきだとの意見は、 イタリアでは回答者の82%と最も多く、2番目に多いカナダでは76%だった。
英国ではジョンソン首相が、国内でのワクチン開発が首尾よく進んだ要因として「貪欲と資本主義」を あげた一方で、市民の74%は、国は大手製薬企業による製法や技術の独占をやめさせるべきだと 考えている。国の介入への支持は、支持政党の枠を越え、保守党支持層73%、労働党83%、 自由民主党79%だ。また、EU残留派83%、離脱派72%が国の介入に賛成する。

米国ではバイデン大統領がワクチンの製法の共有に対して、「希望と期待」を表明し、 国民の69%も同じ意見を持つ。昨年の大統領選での投票別では、バイデン氏に投票した人の89%、 トランプ支持者の65%が賛成する。日本では58%だ。EU加盟国でも賛成派が多数を占め、 ドイツでは70%、フランスでは63%だ。

 グローバル・ジャスティス・ナウのハイジ・チョウ・キャンペーン・政策部長は次のように語る。 「市民は、大手製薬企業の独占をいいとは思っていない。開発にはかなりの公的資金が 注ぎ込まれおり、開発されたワクチンは世界の公共財であり、 誰でもどこでも利用できるようにすべきだ。この考え方は、G7国の人びとにはかなり浸透する一方で、 各国首脳は、周辺地域で大勢が亡くなっているのを見て見ぬふりをしている」
ワクチン製法のノウハウ共有を支持する市民が多いにもかかわらず、 G7国は、依然として企業によるワクチン独占を擁護している。 世界貿易機関では、インドと南アフリカほか100カ国以上が、 ワクチンの知的財産権の一時放棄に賛成するが、米国、英国、日本、カナダ、EUなどが反対した。 その後バイデン政権は、特許放棄に反対する立場を考え直す方針を打ち出した。
これまでのところ製薬企業も、ワクチン製造に関わるノウハウの共有を拒否している。 開発に成功した製薬企業は、ワクチンと治療に関する技術の共有促進を目指して設立された 「新型コロナウイルス感染症に関わるテクノロジー・アクセス・プール(C-TAP)」 には参加していない。
ストップエイズのサーシャ・フィッツパトリック推進部長はこう話す。
「(感染拡大が)ひどい状況にあるインドを見れば、G7首脳は震え上がるはずだ。 今は、特許保護がどうとかと言っている場合ではない。製薬企業間の調整はうまくいっていない。 国が介入し、企業がワクチンの特許とノウハウを世界で共有するよう強く働きかける必要がある」
直近のG7大臣会合で、議長国英国の提案でパンデミック(感染大流行)対策が議論されたが、 ワクチンの独占と知的財産の問題には触れられなかった。ファイザーなどの製薬企業は 知財問題の提案準備作業に参加したが、新興国や他のワクチンメーカーには 参加の声はかからなかった。
アムネスティのスティーヴ・コックバーン経済・社会正義部長はこう語る。
「G7各国は、資金を提供した製薬企業の利益より、世界の数百万人の命を優先する義務がある。 命を救う技術を共有しないのは、国の指導者として大失敗。 パンデミックで多数の市民が苦しんでいる状況を長引かせるだけだ」
4月、ゴードン・ブラウン元英国首相、エレン・ジョンソン・サーリーフ元リベリア大統領、 フランソワ・オランド元フランス大統領など各国の元リーダーやノーベル賞受賞者ら175人が、 バイデン大統領に書簡を送り、ワクチンの特許権の一時放棄を支持するよう訴えた。 また、ローワン・ウィリアムズ前カンタベリー大司教、 ケープタウンのタボ・マクゴバ英国国教会大司教、ローマカトリック教会の ピーター・タークソン枢機卿など宗教指導者150人はG7各国に対し、 ワクチンを「世界の共通財」と捉えるよう求めた。
オックスファムのアンナ・マリオット健康政策部長は次のように語る。
「富裕国が、ワクチン接種を待つ国々を尻目に接種を進める一方で、 低中所得国では何千もの人びとが亡くなっている。 G7の首脳は、現実を直視する必要がある。全員に行き渡るほどのワクチンがない。 ワクチンの供給を拡大する上で最大の障壁は、利益に飢えた製薬数社が、 ワクチン製造の特許保護に頑ななことだ。企業は自社の利益より人命を優先し、 特許を放棄し生産増を進めるべきだ。今こそ、『民衆のワクチン』が求められているのだ」
聞き取りをした世界的疫学者の3人に2人が、新型コロナウイルスのまん延がこのまま続くと、 1年以内に現在のワクチンが効かなくなるおそれがあると指摘した。 公衆衛生で国に助言する英国の緊急時科学助言グループ(SAGE)は、 ワクチン問題に対応するために特許放棄を求めた。
モデルナ、ファイザー/ビオンテック、ジョンソン・エンド・ジョンソン、 ノババックス、オックスフォード大/アストラゼネカは、 複数の国から数10億ドル、米国からは120億ドルの資金援助を受け、 それぞれの国にワクチンの供給を約束している。 オックスフォード大/アストラゼネカのワクチン開発費のおよそ97%は、公的資金だ。
各企業は今年、総額260億ドルの配当や自社株買いを行ったが、 この額は、アフリカ大陸の人口と同じ13億人分以上のワクチン費用にあたる。

2021年5月5日 アムネスティ国際ニュース

                                   以上


拷問器具取引撲滅に向け断固たる措置
   
 欧州評議会は、拷問・処刑具の取引を阻止する上で大きな一歩を踏み出した。 閣僚委員会が、死刑、拷問、その他の残酷で非人道的または屈辱的な扱いに 使用される可能性がある器具の取引を加盟国が適切に規制する枠組みを 盛り込んだ勧告を正式に採択したのだ。 閣僚委員会は、欧州評議会の意思決定機関であり、47の加盟国の代表からなる。
アムネスティとオメガリサーチ財団は欧州評議会加盟国に対し、 今回合意された勧告に従って行動するよう求める。
アムネスティ欧州地域ディレクターのニルス・ムイズニックスは次のように述べた。
「アムネスティは、欧州評議会の断固とした行動を歓迎する。 拷問器具の取引を止めることなくして拷問をなくすことはできない。 47カ国の欧州評議会加盟国は、苦痛を引き起こす器具の取引に関与しないことを確約するためにも、 勧告内容を迅速に実行すべきだ」
欧州評議会の拷問器具の取引規制は、世界中の警察機関の暴力的な取り締まりを抑制する上でも欠かせない。 勧告は、「特定の警察装備品の取引は、人権の尊重が前提だ」という明確なメッセージを各国に送っている。
画期的勧告
 勧告には、スパイク警棒、重り付き足かせ、装着型電気ショック兵器など、 虐待目的の器具の取引禁止規定が盛り込まれている。 また、拷問や虐待に悪用されるおそれがある唐辛子スプレー、催涙ガス、 電気ショック銃など、標準的な法執行用装備品の取引を厳格に管理する狙いもある。 また、勧告は、薬殺刑の執行に悪用されるおそれがある特定の医薬品の取引を 規制する上での指針も示している。
アムネスティとオメガリサーチ財団は長年にわたり、法執行機関向け装備品の取引を規制し、 拷問器具取引の全面的禁止を各国政府に働きかけてきた。 そして国や地域機関と協力して、国や地域内での取引の基準・仕組みの導入と その後の強化を推進してきた。それらの取り組みには、画期的なEU拷問禁止規則の2020年度の見直し、 拷問取引の阻止に向けた世界初の法的拘束力を伴う地域的施策の後押し、 人および人民の権利に関するアフリカ人権委員会によるアフリカ全土を 対象とする施策の継続的支援などもある。
一方、世界の60を超える国が集結した「拷問に関与しない貿易のための国際的提携」 の協力を受けた国連は現在、拷問器具取引を世界的に規制する国際基準を 模索する手続きに入っている。
オメガリサーチ財団の研究員マイケル・クロウリー博士は、次のように述べている。
「欧州評議会の画期的な勧告採択は、ヨーロッパ圏以外の国々にも重要な基準を提供し、 それぞれの地域での同様の規制に向けた各国の奮起につながることを願う。 国連で進行中の手続きに、今、最も必要な弾みがつくことにもなる。 拷問器具や処刑器具の取引に対処する法的拘束力のある国際的制度の設置に向け、 協議の道が開かれることを期待したい」

2021年3月31日 アムネスティ国際ニュース


出入国管理に関する特例法改正案に強い懸念
   2021年2月19日 [日本支部声明]
在留資格がないものの、本国で人権侵害を受けるおそれがある等の理由で帰国できない外国人が 入管施設に長期間収容されている問題に対応するため、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との 平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」 (以下、改正法案)が2021年2月19日に閣議決定されました。 アムネスティ・インターナショナル日本は、この改正法案が 国際人権基準を十分に満たしていないことに、強い懸念を表明します。

日本の入管収容および難民認定制度は、国連の人権条約機関から再三にわたる勧告を受けてきました。 最近では2020年8月に、日本においては難民認定申請者に対して差別的な対応をとることが常態化している、 また、入管収容は恣意的拘禁にあたり国際法違反である、という厳しい指摘を国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会が行い、 「出入国管理及び難民認定法」(入管法)を国際人権基準に則って見直すよう日本政府に求めました。
アムネスティ・インターナショナル日本は、今回の法改正が、 国際人権基準に則ったものとなるよう、次の4点を提言します。

1. 収容の目的を限定し、法律に明記すること
収容する場合には、その必要性と合理性はきちんと法律で規定されていなければなりません。 日本の入管収容の実態はこの原則に反しており、国際法違反の状態にあります。 収容の目的は以下の2つのいずれかに限るべきです。 恣意的拘禁作業部会も、個別の事情を評価せずに収容していることを問題視しています。

・身元を確認するための収容
入国時パスポート不所持などの場合に、身元を確認したり、 入国を記録したりするために必要な、可能な限り短い時間に限られた収容
・逃亡を防ぐための収容
すでに送還手続きが開始され、すぐに送還が実行されるという妥当な見込みがある 送還対象者の逃亡を防ぐための収容
改正法案では「送還時まで収容すること」を原則とする現在の制度を維持しつつも、 収容に代わる「監理措置」の新設提案がなされています(44条の2、52条の2)。 逃亡や証拠隠滅のおそれが低いことや、「その他の事情」といった要件を満たせば、 300万円以下の保証金を納付することで、収容所を出て監理人の監督の下に生活することが認められます。 しかし、要件を満たさなければ個人の身体の自由を行政が制限できる仕組みとなっており、 収容を原則とすることは変わらないまま、監理措置を例外として適用できることになったというだけです。
身体の自由を保障することが国際人権基準の基本姿勢であることを確認し、 収容は目的を達成するための例外的かつ最後の手段であると位置付けるべきです
・出入国管理における収容は、適法性、必要性、比例性、無差別の原則 に則って行われた場合に限り正当化されます。
収容の正当性をこれらの原則に照らして評価するためには、 収容する目的が法律で明確に規定されていることが前提となります。 収容を原則としている現行の制度を改善するためには、収容する目的を明確に定めた上で、 これらの原則に照らして個別に評価しなくてはなりません。

2.収容の期間に上限を設けること
上限期間を定めない出入国管理上の収容は、恣意的拘禁であり、国際法違反であるため、 退去強制令書に基づく収容期間の上限を法律で明確に規定することが求められます。 送還を目的とした収容は、送還手続きをすぐに実行するために必要な数時間 (例えば、移送のための飛行機や船を待つ時間)といった可能な限り短い時間に限るべきです。 また、収容期間が法で定める上限に達した場合は、すぐに釈放しなれければなりません。
出入国管理上の収容期間の上限を入管法に明記する
期間は収容の目的を達成するために必要な、可能な限り短い時間に設定する 収容期間の上限に達した場合はすぐに釈放することを入管法に明記する
現行制度の下では、退去強制事由に該当する場合、送還されるまで入管施設に収容されることになります。 国外への「送還が可能なときまで」収容ができると入管法に定められているため、 実質的には無期限に収容されてしまう仕組みになっているのです。 例えば、帰国すると本国で人権侵害や迫害を受けるおそれがあるために帰国できない人は、無期限に収容されてしまいます。 改正法案でも、この「送還可能なときまで」収容できるという規定が維持されており(52条8項)、 無期限収容が可能だとする法律の欠点は是正されていません。
収容期間に上限が定められていないことが国際法違反であると、日本政府は国連諸機関から再三の勧告を受けており、 2020年8月には恣意的拘禁作業部会からも指摘を受けました。 無期限に収容できる現行法の規定は国際法違反であり、今回の改正を期に改めるべきです。
3.収容の開始・継続について司法審査を導入すること
自由権規約9条4項は、収容される者の司法へのアクセスを保障しています。 ですから、収容の是非を判断する機関と収容を執行する機関は同一であってはなりません。
身体の自由を制限する決定は裁判所が行うべきものです。効果的で独立公正な審査の機会を担保するためにも、 収容の決定に司法審査を導入し、次の点を法律に明記するべきです。
収容を開始する際の適法性、収容を継続する必要性および比例性に関して、裁判所が遅延なく決定を行う 裁判所が違法と判断した場合は収容からの釈放を裁判所が命じる このような司法審査は定期的もしくは被収容者の要求に応じて実施する
収容という手段を用いて「身体の自由」を制限する措置については、出入国在留管理庁(入管庁)という 一行政機関に無制限の裁量が与えられています。また、収容を一時的に解く措置として、 「仮放免」という制度がありますが、仮放免を許可する権限も入管庁にあり、 収容からの釈放も一行政機関の判断で行われています。しかも、仮放免で一時的に釈放されたとしても、 理由の説明なしに入管庁の判断で繰り返し再収容されることがあります。 このように、収容したり釈放したりする決定を行う権限が司法機関ではなく行政機関にあるため、 司法審査が保障されておらず国際法違反にあたるとの指摘を、恣意的拘禁作業部会もおこなっています。
しかし、改正法案では依然として収容・釈放の決定権限が入管庁に委ねられています。 収容所外で監理人の監督の下で生活できる監理措置制度を収容に代わる措置として適用するとしていますが、 収容からの釈放の決定や取り消しは入管庁が行うこととされています(44条の2、44条の4、52条の2、52条の4)。 その判断の際は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、「その他の事情」を考慮するとしていますが、 要件を網羅的に明記しないまま「その他の事情」という曖昧な要件が付されており、 仮放免制度と同様に、収容を決定する裁量が入管庁に残ってしまうことが懸念されます。
4.ノン・ルフールマン原則を遵守するこ
迫害を受けるおそれがある国への追放や送還は、国際的に禁止されています(ノン・ルフールマン原則)。 しかし、改正法案では難民認定申請者の送還を禁ずる条項に例外が設けられました。 例外の対象となるのは、原則として3回目以上の申請者(61条の2の9第4項1号)、 無期若しくは3年以上の実刑判決に処せられた者又は暴力的破壊主義者等(61条の2の9第4項2号)です。 アムネスティ・インターナショナル日本は、改正法案が「ノン・ルフールマン原則」に反するものであると危惧しています
。 ノン・ルフールマン原則は、難民条約だけでなく、拷問禁止条約や強制失踪条約などの国際人権法に規定されています。
日本はこうした条約の締約国ですが、ノン・ルフールマン原則はたとえ条約に加入していない場合でも 遵守しなくてはならない国際慣習法です。帰国すると人権侵害を受けるおそれがある人は、 いかなる場合であっても強制送還してはならないのです。
深刻な人権侵害に直面する可能性のある国または管轄区域へ移送されることがないよう、 送還停止の例外(61条の2の9第4項)は設けるべきではありません。 特に、帰国すると深刻な人権侵害に直面するという相当な根拠が認められる場合には、 個人を送還するという決定において効果的かつ独立公正な審査の機会を保障すべきです。
外国人排除ではなく基本的人権の尊重を
身体の自由は、人が尊厳をもって生きていくために最も重要な基本的人権の一つです。 また、ノン・ルフールマン原則は難民保護の礎となる国際慣習法であり、いかなる場合でも遵守することが求められます。
収容・送還に関する専門部会が設置された当初から、入管庁は「長期収容の問題は送還の促進で解決していくべき」 との立場をとっています。
改正法案の立案プロセスが、移民・難民を日本社会から排除する方針を強化することを 念頭に進められているのではないかと、この問題に携わっている弁護士、支援団体、国際人権NGOなどは危惧してきました。
国籍や在留資格に関係なく、すべての人の基本的人権を平等に尊重し、国際人権基準に則った 出入国管理及び難民認定法の改正が行われるよう、日本政府および全ての国会議員に向けて、 アムネスティ・インターナショナル日本は上述の4点を提言します。

                                   以上


ミャンマー軍クーデター
 アウンサンスーチーさんが自宅に無線機を所持していたとして輸出入法違反で訴追された。 この訴追が確かであるとすれば、軍が魔女狩りに乗り出す口実探しに躍起になっており、 楯突く者に恐怖を植え付けようとしていることを示している。
2月3日に与党・国民民主連合(NLD)の報道官が記者団に語ったところによれば、 党首アウンサンスーチーさんは違法に輸入された無線機の所持で起訴された。 有罪となれば最高で禁錮3年が科される可能性がある。勾留は2月15日まで続く。
またウィンミン大統領も、自然災害管理法第25条に定められた新型コロナウイルス危機下の 選挙運動ガイドライン違反の容疑で訴追されたと報じられている。 こちらも有罪の場合は最高で3年の禁錮刑が科される。
当局は、アウンサンスーチーさんはじめクーデター以来、恣意的に拘束されている数十人の他の人びとに対する でっち上げの容疑を取り下げ、彼らを直ちに釈放すべきである。
2月1日以来、軍は総司令官ミンアウンフライン将軍の権限で非常事態を課し、 選挙で選ばれた数多くの文官、政治家、政治活動家、人権活動家を拘束してきた。 アムネスティは2018年の報告書でミンアウンフライン総司令官を、 国軍によるロヒンギャの人びとへの人道に対する罪の主導者の1人として名指し、責任追及を求めた。 ラカイン州北部のロヒンギャの村々では、殺人、強かん、拷問、焼き討ちなどの暴力や 襲撃が繰り広げられたが、これらは、国軍の一部の部隊や兵士による単独の仕業ではなく、 上層部の指示に基づく、周到に計画された極めて組織的なものだった。
2018年のミャンマーに関する国連の事実調査団も、大量虐殺、人道に対する罪、戦争犯罪の罪で ミンアウンフライン司令官を調査し、起訴するよう求めた。

2021年2月4日 アムネスティ国際ニュース


感染症法の刑事罰への懸念
2021年1月21日 日本支部声明

アムネスティ・インターナショナル日本は、今国会で示されている 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する 法律(以下、感染症法)」の 改正案概要の一部に、新型コロナウイルス感染症の患者・感染者が入院措置や調査を 拒否した場合などに刑事罰を科す内容が含まれていることに、強い懸念を表明します。

 特に、懲役刑が含まれており、身体の自由という基本的人権を 脅かすものになっていることに危機感を禁じえません。 新型コロナウイルスの感染急拡大という緊急事態に素早く組織的に対応するために、 一時的に一定の人権を制限せざるを得ないのであれば、その場合に設けられる罰則は、 あくまで目的を達成するために必要最小限のものであることに加え、 人権を保障する相当な手段がなければならず、透明性の確保や第三者による監視などが、 事前に設定されなければなりません。
今回提案されている法改正では、刑事罰の導入が感染拡大予防に資するかどうかという点について 十分な検証もないまま議論が進められており、人権を制限する必要相当性が見出せません。 日本医学連合、公衆衛生学会、日本疫学会は、刑事罰の導入により、検査結果を隠す、 検査に行かないなど、感染コントロールをかえって難しくするような状況を 誘発するおそれがあると警鐘を鳴らしています。

 入院措置や調査を拒否する理由としては、生計手段を失うことに対する不安や 周囲からの偏見・差別などがあると報じられています。 これらの事態に対処せずに患者・感染者に責任を押し付けるような拙速な法改正の提案は、 国民を守る国家の義務をはき違えた政府による、人権を軽んじた政策であるように思えてなりません。
また、人権侵害を受けた個人を救済する独立した人権機関が設けられていない日本で、 人権を制限するような刑事罰を導入するのであれば、 恣意的な運用や警察権行使の乱用を防ぐための第三者機関による監視機能を同時に導入する必要があります。
かつて結核・ハンセン病で患者・感染者の強制収容が法律のもとで行われ、 科学的根拠が乏しい中、蔓延防止の名目で著しい人権侵害が行われてきたという 歴史の反省に立って成立したのが感染症法です。 今回の改正案は、新型コロナウイルス感染症だけではなく、その他の一部指定感染症、 将来発生しうる新しい感染症の患者・感染者も刑事罰の対象としており、 過去の悲劇が繰り返されるのではという懸念が拭えません。

感染症法の改正においては
・法の主旨に立ち返って感染者の人権が守られることを第一に考えること
・患者・感染者の入院強制や調査の強要において、刑事罰に頼らないものにすること
・法が恣意的に運用されないよう、第三者機関による監視などの保護措置を講じること
  を求めます。
                               以上


パレスチナ人へのワクチン拒否
 イスラエルでは、昨年12月23日に新型コロナワクチンの接種が始まり、 これまでに全人口の1割以上の住民が1回目の接種を終えている。 どの国よりも高い人口比の接種率が評価されている。 しかし、接種対象は、イスラエル人とエルサレムのパレスチナ人だけだ。 西岸地区とガザ地区に住む約500万のパレスチナ人は、対象になっていない。

 新型コロナ感染対策においても、イスラエルは、パレスチナに対する露骨な差別的政策を変えようとしていない。 イスラエル人には、記録的な速さでワクチン接種が進められ、500万人のパレスチナ人は除外されている。 イスラエル人の命がパレスチナ人の命よりも重いという姿勢が、これほど鮮明になるのもまれだ。
イスラエル当局は、国際法に従い、支配下に置くパレスチナ人にもワクチンを等しく配布すべきだ。 また、ワクチンをはじめとする医療品が、被占領パレスチナ地域に滞りなく届けられるようにすべきだ。
イスラエルの保健省は、被占領地域のパレスチナ人向けを含むワクチンの具体的な配布計画を明らかにしていないし、 パレスチナの保健当局が負担するワクチン費用の支払についても何も決めていない。

 新型コロナウイルス感染拡大が続く中、イスラエルはパレスチナ人への差別をやめ、 パレスチナ人がワクチン接種を含む医療的措置を受けられるようにすべきだ。 イスラエルは、ジュネーブ第4条約に基づき占領地域に医療機関や病院を設置し、医療サービスの提供、 公衆衛生の実施などの義務を負っており、感染症や伝染病の拡大対策も例外ではない。
西岸地区のパレスチナ当局とガザ地区を事実上統治するハマス政権は、 パレスチナ住民へのワクチンを独自に購入する資金がない。 そのため、国連などが主導する「COVAX (コバックス)」に期待を寄せる。 COVAXは、新型コロナウイルスのワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的枠組みで、 参加国には公平にワクチンが配布される。しかし、この枠組みでのワクチン配布は、まだ始まっていない。 そのため、パレスチナ人が迅速にワクチン接種を受けられるよう、 イスラエルが十分な財政的支援をする必要がある。

 同時にイスラエルは、ガザ地区の人や物の出入りを著しく制限する軍事封鎖も解除するべきだ。 新型コロナウイルス感染が拡大する中、封鎖による医療体制への影響は計り知れない。 半世紀にわたる占領と10年超の封鎖により、ガザの住民は、必要な医療を受けられなくなっている。 感染拡大と差別的ワクチン政策により、パレスチナ住民に対する差別と不平等は、深刻になるばかりだ。
イスラエルは、国際人道法と国際人権法の下、占領国としての義務を果たさなければならない。 義務とは、被占領パレスチナ地域における住民の心身の健康を極力維持することだ。 ワクチン配布政策には、排除や差別があってはならず、いかなる意思決定も虐げられている人びとへの配慮を 最優先しなければならない。人権や健康を擁護する10の団体が昨年12月22日、 イスラエルに対してワクチンが占領下のパレスチナ人にも行き渡るよう求める声明を出している。

2021年1月6日 アムネスティ国際ニュース2021年1月6日


袴田事件、高裁へ差し戻し
 特別抗告中の袴田事件について、最高裁は22日、東京高裁に審理を差し戻す決定をしました。 再審請求ではみそタンクの中から見つかったみそづけの衣類に付着した血液の色合いが、 不自然かどうかが争点の一つになっていました。袴田さんは引き続き釈放されている状態が続きますが 無罪になったわけではありません。


袴田巖さんの再収監を許さない
 12月11日(金)に「袴田巖さんの再収監を許さない」として1日行動が行われました。 2014年に静岡地裁において、再審と拘置の停止が決定され袴田さんは48年ぶりに自由の身となりましたが、 東京高裁による取り消し決定で再収監の恐れがあります。
袴田巖さんの再審無罪を求める実行委員会が、 街頭行動、最高裁・法務省への要請、国会内集会を行いました。この実行委員会には アムネスティ・インターナショナル日本も加わっています。

     銀座マリオン前で日本プロボクシング協会新田渉世さんのアピール
 


イスラエル入植地での民泊仲介
 数10億ドル(1,000億円)規模の調達を目指して10日に新規株式公開を果たした民泊仲介会社エアビーアンドビーは、 イスラエルによるパレスチナ被占領地の違法な入植地に建てられた宿泊施設の紹介をやめるべきだ。

イスラエルの入植活動は、パレスチナ人に対する人権侵害の象徴だ。 パレスチナ人の土地を奪って作られた入植地にある家屋や施設の宿泊を仲介することは、 イスラエルの人権侵害を拡大し、パレスチナの人びとの苦悩を増幅させることにつながる。

同社は2年前、イスラエルの入植地にある施設をウェブサイトの紹介欄から削除すると約束したが、その後判断を翻した。 しかし、イスラエルによるパレスチナ人の土地への入植は、国際法では戦争犯罪だ。 エアビーアンドビーは、上場を機に襟を正し、パレスチナ人から奪った土地に 違法に建てられた家屋や施設の掲載をやめるべきだ。

株式公開における不透明性
 国連は今年初め、イスラエルの入植地に関りのある事業を行う企業100社以上を 載せたデータベースを公表したが、その中の1社がエアビーアンドビーだった。
しかし、エアビーアンドビーが株式公開に先立ち米国証券取引委員会に提出した有価証券届出書には、 入植地を対象とする事業や国連のデータベースに掲載されている事実が、触れられていなかった。 また、法律上や世評上のリスクを株主に告知する「リスク要因」欄にも記載されていなかった。
エアビーアンドビーの株式は、投資信託や年金基金の運用先として世界で購入されることが予想されるが、 多くの人は、そうとは知らないまま間接的にエアビーアンドビーの株を長期間保有することになる。 また、エアビーアンドビーの株式を引き受ける証券会社は、 株主向け企業情報に虚偽がないことを確認する責任がある。

エアビーアンドビーの恥ずべき心変わり
 エアビーアンドビー、トリップアドバイザー、エクスペディア、ブッキングドットコムの4社は、 パレスチナ被占領地の宿泊施設や観光名所を旅行者に紹介し、パレスチナ人への人権侵害を増長している。 アムネスティは2019年1月、このことを調査で明らかにした。
その前年、エアビーアンドビーは、東エルサレムを除くヨルダン川西岸地区のイスラエルの入植地を パレスチナとの紛争の舞台とみなし、入植地の物件の紹介をやめると発表していた。 「決定基準の一つは、掲載が人的苦痛をもたらしているかどうかだ」と説明した。 しかし、2019年4月、度重なる訴訟を受けて、この決定を覆し、 「掲載を継続する。ただし、手数料は受け取らない」と釈明した。 同社はその後、この地域での仲介で得た利益を寄付すると言い出した。 しかし、仲介行為自体が、被占領地域の観光事業を促進し、 パレスチナ人の権利と生活を踏みにじることになることを、同社は認識すべきだ。

入植地拡大の懸念
 現在、イスラエルの入植地は拡大しつつあり、今年中には、数千戸の住宅が新たに建設される予定だ。 イスラエルが住宅数を拡大する背景には、米国という強力な後ろ盾があるというのがもっぱらの見方だ。
先月、ポンペオ国務長官が、イスラエル入植地のワイナリーを訪問した。 同氏は1年前、「米国はイスラエル入植地を国際法違反と考えていない」と語っており、 訪問は、その主張を自らの行動で示したものと思われる。

イスラエル軍は、半世紀以上にも渡り、現在の被占領パレスチナ地区を占領している。 この間、5万戸以上の家屋が破壊され、何万人ものパレスチナ人が自宅を追われた。 一方で、60万人以上のイスラエル人が、パレスチナから奪った土地に 開拓された約250の入植地に移住した。多くの入植地には、入植者専用道路が走り、軍が警備についている。

イスラエルが収奪した土地は、過去50年間で約1,000平方キロメートルにもなる。 土地を追われたパレスチナ人は、住居、生活、仕事、教育などの権利を著しく損なわれ、 パレスチナの経済も活力を失う一方だ。

いかなる企業も、人権侵害の片棒を担いではならない。 エアビーアンドビーは、イスラエル入植地とのビジネス関係を断ち切らない限り、 評判をひどく落とすことになる。

2020年12月10日 アムネスティ国際ニュース


外国人の長期収容に終止符を
 12月9日アムネスティ・インターナショナル日本は法務大臣と出入国在留管理庁長官に 外国人の長期収容に対する要請書を提出し、佐々木出入国在留管理庁長官と意見交換をしました。

                         2020年12月9日

法務大臣 上川 陽子 殿
出入国在留管理庁長官 佐々木 聖子 殿
              公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
                        事務局長 中川 英明
「外国人の長期収容に終止符を!」要請書

法務省および出入国在留管理庁の下で行われている長期収容・送還の問題においては、 国際人権基準と人権に関する国際法体系が軽視されているのではないかとの懸念を アムネスティ・インターナショナル日本はもっています。 国際人権基準と人権に関する国際法体系は、日本に対しても法的拘束力のあるものです。

国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会に対して申し立てを行った外国人2人を 長期にわたり繰り返し収容した入管庁の対応について、同部会は2020年9月23日付の意見書の中で 「恣意的拘禁を禁止する国際法に違反する」との見解を示しました。 さらに、この意見書は、出入国管理及び難民認定法を国際人権基準に則って改正することを求めています。

私たちは、難民認定申請者を含む在留資格のない外国人を入国管理上の収容および 送還に起因する人権侵害から守るために、次の3点を日本政府に要請します。

1 ノン・ルフールマンの原則をいかなる場合でも遵守すること
2 出入国管理上の収容は必要な短期間に限るよう、収容期間に上限を設けること
3 抗議活動を行う収容者を仮放免で釈放し、短期間の後に再収容することはやめること

アムネスティ・インターナショナル日本は、2016年に「IWELCOME」キャンペーン、 2020年に「外国人の長期収容に終止符を!」キャンペーンを開始しました。
このキャンペーンを通じて、難民の受け入れを求める署名に5,001筆、 上記3点を求める署名に12,570筆の署名が寄せられました。
移民・難民の人権保護を求める計17,571筆の賛同署名をお届けいたします。 市民社会の声を聞き入れ、国際人権基準に則った法改正をしてくださいますようお願いします。
                                    以上


あいまいな法律で不当に処罰されるデモ参加者
 フランスで、犯罪要件があいまいな法律が乱用され、平和的なデモ参加者多数が逮捕・起訴されている。 アムネスティは新たな調査報告書で、新型コロナウイルス対策で抗議活動が全面的に禁止され、 違反した人たち数百人が罰金を科せられてきたことを明らかにした。 報告書ではまた、2018年から広がっている抗議運動の中、あいまいな法律の下で、救急隊員やジャーナリスト、 人権活動をする人たちが標的にされてきたことも指摘している。

何千人もの人たちが犯罪とみなされるべきではない行為によって、不当に逮捕、勾留、起訴されてきたのだ。 風船を放とうとしたり、横断幕を持ったりしただけで拘束された人もいる。 フランスでは、ここ数年、「黄色いベスト運動」、地球温暖化をめぐるデモ、 米国でのジョージ・フロイドさん殺害に触発された警官の不処罰と 人種差別への反対運動など、全国的な抗議活動が急増している。

≪あいまいな法律≫
 2018年11月からの9カ月間で、黄色いベスト運動の参加者11,203人が、刑事施設に拘禁された。 2018年・19年の2年間でデモ参加者を含む4万人以上が、あいまいな法律の下で有罪となった。 こうした法律では「公務員の侮辱」「暴力を標榜するグループへの参加」 「許可要件を満たないデモの実施」などを犯罪と定めている。

ある労働組合の幹部はこの2年間で、通常の組合活動の中で5回も罰金刑を言い渡された。 ジャーナリストの男性は昨年4月、黄色いベスト運動を撮影中に拘束された。暴行、顔を隠した、 暴力行為を準備していたという容疑で起訴されたが、その後、無罪となっている。
昨年、公務員侮辱罪で有罪判決を受けた人は、デモ参加者を含めて20,280人だった。 彼らは、何が「侮辱」にあたるのかがあいまいな法律に違反したために、 1年以下の刑と15,000ユーロ以下の罰金刑を受けた。
昨年5月、南西部の都市ナルボンヌで警察の暴力に抗議するデモがあった時、 「(幸運の印である)スズランにイエス、ゴム弾にノー」と書かれた横断幕を掲げた4人が、 「侮辱罪になるぞ」と警告された。南東部の都市マルセイユでは、女性を警棒で殴ろうとした警官を 怒鳴りつけた男性が、侮辱罪で罰金刑を言い渡された。
≪マスクなどの着用をめぐる混乱≫
 警察による催涙ガス、ゴム弾、催涙弾の使用が急増するにつれ、デモ参加者は、 マスク、ヘルメット、防護眼鏡を着用するようになった。
これに対して、当局は昨年4月、デモなど抗議活動時のマスクや覆面など顔を覆う行為を 全面的に禁止する措置を取った。禁止後の7カ月間で、210人の逮捕者を出し、 昨年一年で有罪を言い渡された人は41人にのぼった。 催涙ガスやゴム弾から身を守るゴーグルやマスクを所持していただけで起訴された人もいた。
マスクは、今や新型コロナウイルスの感染対策に不可欠であり、 デモで顔を覆う行為の禁止は、極めて大きな混乱と困惑を招いている。

「暴力を標榜するグループへの参加」の規定でも、数百人が有罪判決を受けた。 あらゆる状況に対応するために規定された犯罪要件が極めてあいまいなため、 治安当局は、将来、犯罪を引き起こす可能性があるとみなしただけでも、市民を逮捕・起訴できるようになった。 黄色いベスト運動に参加した女性の1人は、フランス革命記念日にシャンゼリゼで風船を膨らませただけで、 「暴力を標榜するグループへの参加」容疑で拘束された。

≪集会の自由への攻撃≫
 逮捕・起訴は、集会の自由の権利を危機にさらし、抗議活動を委縮させている。 これまでデモに参加していた人の多くが、デモへの参加をためらい、 参加回数を減らし、大規模な集会を避けるようになったという。
社会を変えるために市民が団結する伝統を持つ国が、市民の抗議活動を処罰するのは、 皮肉としかいいようがない。 マクロン大統領が、選挙で平和的な集会の権利を守ると公約してから3年、 抗議活動はかつてない攻撃にさらされている。
法律にもとづくデモ参加者の取り締まりは、デモ隊を暴力的に鎮圧するよりは目立たないだろうが、 市民の権利を損なうことには変わりない。当局は、平和的に行動する市民の犯罪者扱いをやめ、 集会の権利の障害となるすべての法律を改正すべきだ。

2020年9月28日 アムネスティ国際ニュース


大規模監視による犯罪予測実験 即時停止を
 オランダで、法執行機関により犯罪予測アルゴリズムに基づく治安活動の実証実験が 全国的に広がりつつある。これは、特定の人物が犯罪を行う危険性や特定の地域で 犯罪が起きる危険性を数理モデルを使って算定し、危険性が高いとみなされた地域や 個人を重点的に警戒していくというものだが、大規模監視と民族差別をもたらしている。 警察はこの実験をただちにやめるべきだ。

 アムネスティは、オランダ南西部の都市ルールモントで行われている実証実験の一つ 「検知プロジェクト」を精査した。その結果、予測に基づく取り締まりは、 人権への脅威になることが確認された。
実験では、ルールモントの市民が同意なく「モルモット」にされて大規模監視の対象となっている。 さらに、その設計・開発には東欧の人たちに対する民族差別が内包されている。
最近までサイエンスフィクションの世界の話だったことが、オランダ全土で現実のものとなりつつある。 この予測的取り締まりによる市民の無差別で大規模な監視は、明らかな人権侵害であり、 治安上とはいえ決して正当化できるものではない。
検知プロジェクトのような実証実験は全国で急速に広まっているが、 人権に及ぼす影響を踏まえた保護措置の整備は、まったく行われていない。 オランダ国会は、根本的に欠陥がある犯罪予測システムの利用を直ちに中止する措置を取るべきだ。

 犯罪予測システムでは設計・開発において客観性と中立性がしばしば強調されている。 しかし実際は、数理モデルやアルゴリズムに偏見や固定観念が入りこんでおり、特定の集団に高い危険度を示す結果となる。
こうした技術を導入する前に、まず人権への影響を検証すべきだ。 今までのところ、オランダの警察で使用されているシステムは、いずれも包括的な人権評価を受けていない。

≪検知プロジェクト≫
 警察当局は、ルールモントにおける「検知プロジェクト」の狙いを、スリや万引などの犯行を 各地で重ねる強盗団(移動強盗団)による犯罪を予測し、防止することにあると説明している。 また、「プロジェクトは、過去の犯罪データに基づく客観的で中立的なものだ」と主張する。
だがアムネスティの分析では、設計自体が差別的であり、偏見が反映されている。 このプロジェクトでは、主に移動強盗団に狙いを定め、「スリや万引は、特に東欧出身者の犯行であることが多い」と 定義されている事実が、とりもなおさず民族差別的だ。

警察は、カメラなど各種センサーを使って、ルールモント市内や周辺を車で移動する人びとを監視し、 車種や車の移動特性の情報を集める。収集した情報をもとにそれぞれの車の「危険度」をアルゴリズムで計算し 得られた数値をもとに、車の運転者や同乗者が窃盗などの犯罪を行う可能性を予測する。 予測する上での指標の一つが、車両や車内の人物が東欧諸国から来たかどうかということだ。
危険度が高いと出た車は、警察に止められ、身分証明書の提示を求められ、職務質問を受ける。 オランダの法律には、正当な理由がない停車や持ち物検査から市民を保護する規定がない。

検知プロジェクトのもと、ルールモントの全市民と訪問者は、同意なく実験のモルモットにされている。 さらに、疑うべき集団として東欧の人びとが標的にされており、実験は本質的に差別的性格を持っている。
検知プロジェクトおよび類似の実証実験は、プライバシーと個人情報保護の権利の明らかな侵害であり、 合法性と非差別の原則から外れており、中止すべきだ。アムネスティはまた、 オランダ当局に対しこうした実証実験で、何人がどのような影響を受けたかを検証して公開すること、 再発防止と影響を受けた人への補償の取り組みを求めている。

2020年9月29日 アムネスティ国際ニュース


インターネット上の暴力や虐待から女性を守る手立てを
 アムネスティは2018年、ツイッターで女性たちが誹謗中傷を受け、深刻な被害を被っている問題を 調査報告『有害なツイッター』をまとめて公表した。 この報告の中で、ツイッター社に対し、ツイッターを女性が安心して意見が言える場に するために同社が取り組むべき諸策を提言した。

ツイッター社は、この提言にどれだけ対応してきたのか。 アムネスティは今回、ツイッター社の対応状況を10項目に分けて評価した。 女性に対するオンライン上の嫌がらせに対処する上でとりわけカギとなるはずの項目だ。
10項目のうち完全に実施されたのは、たった1項目だけだった(被害申し立てのプロセス改善)。 他の項目についても進展はみられるものの、まったく手をつけていないものもあり、対策を一層強化する必要がある。

10項目とその評価についてはアムネスティ・日本のサイトへ(英文)

 2018年の報告後も、アムネスティは、アルゼンチン、インド、英国、米国などで女性が ツイッター上で受ける悪質な嫌がらせや誹謗被害にさらされている実態を明らかにしてきた。 女性たちもツイッターで受けた嫌がらせに声をあげ、ツイッター社の対応不足を批判してきた。

執拗な嫌がらせや暴言は、平等に、自由に、恐れずに自分自身を表現する権利を損なう。
オンライン上の虐待の影響を大きく受けているのが、民族的少数派の女性、宗教的少数派の女性、 社会的に弱い立場にある女性、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの女性、 ノンバイナリー(自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめない人)、 障がいのある女性などだ。こうした複数の差別要因が重なり、被害が大きくなる。
インドの著述家で活動家のニーナ・カンダサミさんは語る。
「複数のカーストの血を持つタミル人で、差別的カースト制度に反対の声を上げる女性は、 ツイッター上では爆発を生む混合物のようなものです。私は、人種差別主義や女性嫌悪にもとづく 強かんの脅しも含めて嵐のような誹謗中傷を受けています。 ツイッター社は、なかなか事態の成り行きに追いつかないようで、 女性に対するさまざまな嫌がらせに対応しきれていません。 ツイッターは強力な表現の場ですが、女性たちにとってクリーンで安全な場にする努力がもっと必要です」

 意味のあるデータが十分提供されていないために、問題の全容を把握することすら困難な状況だ。 たとえば、利用者からの被害報告の詳細な国レベルの内訳は提供されておらず、性別や人種に基づく虐待など、 特定の種類の被害を訴えた利用者数もわからない。
国や言語ごとに不適切なコンテンツを監視するコンテンツ・モデレーター(監視業務に携わる人)の 数などの情報開示にも消極的だ。 また、女性への虐待を特定する作業を自動化しているが、プログラムの内容や実施状況についての 透明性を高める必要がある。
利用者からの被害申立てへの対応では、対応手順や解決方法などについて利用者への説明機会を増やした。 利用者が、プライバシーやセキュリティーに対する意識を高め、 虐待が引き起こす危害の実情を学ぶという課題に関しては、現在取り組み中だ。

 ツイッター社は、差別や暴力を受けずに暮らす権利や表現と意見表明の自由の権利を はじめとする人権を尊重する責任がある。同社には、何百万という女性利用者に、 「ツイッターは本当に変わった」と思わせるような変化を起こす力がある。
ジャック・ドーシーCEOは、言行を一致させ、女性がツィッターを安心して利用できる プラットフォームにするよう取り組んでいることを行動で示すべきだ。 ツイッターは女性に対する虐待を拒否する、という姿勢が、誰の目から見ても明らかなほどに変わるまで、 アネスティは同社への申し入れを続ける。
ツイッター社の回答
アムネスティの指摘に対して、ツイッター社は、今後も対応が必要であることを認めた。 一方で、「人手によるモデレーションとテクノロジーを組み合わせることで、 オンライン上の虐待に先手を打てる」とも説明している。 国や地域ごとのデータの公表については、「むしろ曲解を招き、問題について誤解を与えるおそれがある」と反論している。
アムネスティは、この懸念が無視できないことは認める。しかし、だからといってデータと情報に対する対応を 明らかにしないでいいということにはならない。 同社の人権に対する責務とは、誹謗中傷や嫌がらせなどの訴えをどう扱っているかについて、 透明性を確保する義務があるということだ。

2020年9月22日 アムネスティ国際ニュース


ミャンマー国軍の資金調達にグローバル企業が
 少数民族に対して国際法上の罪や人権侵害を犯しているミャンマー国軍の資金調達に、 グローバル企業が関係していることが、アムネスティの調査で明らかになった。

 アムネスティが入手した文書によると、国軍は、ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)の株を保有し、 巨額の資金を得てきた。MEHLは、鉱業、ビール、タバコ、衣料品などの製造、銀行業など営む複合企業だ。 日本のキリンビールホールディングスや韓国の鉄鋼大手POSCOなど国内外の多数の企業と提携関係にある。
同社の株主資料によると、国軍の複数の部隊が、株式のおよそ3分の1を保有し、 1990年の創業以来毎年、配当を受け取ってきた。 また、同社の取締役会は、国軍の幹部で構成されている。
これらの資料は、国軍がどのようにして巨大企業から利益を受けてきたかを示す新たな証拠だ。 MEHLは、あずかり知らないところで国軍の人権侵害を資金面で支えているのではない。 両者は、切っても切れない関係にあるということだ。
MEHLの事業活動から利益を得ている軍人の中には、ミャンマーの近年の歴史の中で最悪の人権侵害の加害者もいる。 例えば、ロヒンギャの人びとに対する民族浄化作戦を指揮した国軍トップのミンアウンフライン総司令官は、 2011年にMEHL株を5,000株保有していた。
議論の余地のないこの証拠を前に、MEHLと提携する企業は、同社との関係を断たざるを得ないだろう。

《グローバル企業とMEHLとの結びつき》
 MEHLは提携先と合弁事業を起こしたり、収益分配契約を結んだりする。 その事業収益が、株主であるMEHLに還元され、さらにMEHLの株主に分配される。
アムネスティは、MEHLと提携する次の8社に質問状を送った。
  エバーフローリバー・グループ(EFR)(ミャンマーの物流企業)、カンボーザ・グループ(ミャンマーの複合企業)、 キリンホールディングス(日本の飲料メーカー)、イノ・グループ(韓国の不動産ディベロッパー)、 パン・パシフィック(韓国の衣料製造輸出会社)、ポスコ(韓国の鉄鋼メーカー)、 RMHシンガポール(シンガポールの投資会社・ミャンマーでたばこ事業に出資)、万宝鉱業(中国の鉱業会社)だ。
前向きな回答を返したのは3社だけだった。 パン・パシフィックは、「アムネスティの調査と昨年の国連事実調査団の報告を受け、 MEHLとの事業提携を解消する手続きを進めている」と回答し、 カンボーザ・グループとキリンホールディングスの2社は、「提携関係を見直している」と答えた。
残る5社は、具体的な対応に触れなかったか、回答そのものを送ってこなかった。 回答の全文(英文)は、調査報告書で見ることができる。
8社はすべてMEHLと提携してミャンマー国内で事業展開しているが、国際的に知られる企業もいくつかある。 キリンホールディングスは、世界のビールメーカーの一角を占め、 その商品は、キリン、サンミゲル、ライオン、ファットタイヤなどのブランドで世界の街角で販売されている。 ポスコは世界最大級の鉄鋼メーカーで、自動車、建設、造船業界向け鋼材を生産する。

《軍とMHELの隠された関係》
 MEHLは、1990年にミャンマーの軍事政権により設立され、今も、軍人・退役軍人により所有・経営されているが、 国軍や軍人が実際の経営にどう関わっているかは、ベールに包まれている。
アムネスティは、MEHLから国軍への資金の流れに関する新たな事実を示す文書2点を入手した。 1点目は、MEHLが今年1月、ミャンマー投資企業管理局に提出した書類だ。 この文書によると、同社の個人株主は38万1,638人で、全員が軍人・退役軍人だ。 「機関株主」は1,803で、小隊、大隊、師団、戦争退役軍人協会などだ。
2点目は、2010年度(2010年4月〜2011年3月)の株主に関する機密文書だ。 ここには、株主の個人情報と彼らが設立年から2011年までの20年間に受け取った配当金が記載されている。
この文書は、アムネスティとジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM・正義と説明責任を求める同国の活動グループ)が、 共同で入手した。同文書の内容はJFMのウェブサイトに掲載されていたが、9月1日、当局により閲覧できなくなった。 運輸・通信省は、「このウェブサイトが、フェイクニュースを拡散させている」と主張するが、 JFMは、「批判意見の封じ込めだ」と批判した。
 2011年までの20年間で支払われた配当金の総額は、1,070億ミャンマーチャット(約18億米ドル※・当時の公定レート)を超える。 このうち、950億ミャンマーチャット(約16億米ドル)が、国軍の部隊に送金されている。
2点の資料は、国軍の部隊と幹部がMEHLの株主として名を連ね、多額の資金を受け取っていたことを示す動かぬ証拠だ。
例えば、2010年度の報告書で、ラカイン州での軍事行動を指揮する西部司令部下の95の部隊が、 それぞれ株主として登録され、430万株以上を保有し、12億5,000万ミャンマーチャット(約2億800万ドル)以上の 配当を受け取っている。
また、株主として登録されている部隊の中には、アムネスティの調査で、ラカイン州でのロヒンギャ虐殺、 カチン州、シャン州北部での戦争犯罪への関与が判明した2師団も、入っている。
ミャンマー投資企業管理局への報告書にも、戦争犯罪に関わった幹部を含む司令官らの名前が株主として記載されている。 ロヒンギャの人びとへの集団虐殺などを指揮したとして国連が調査・訴追を要請している、 ミンアウンフライン総司令官もその一人だ。2010年度に5,000株を保有し、 150万ミャンマーチャット(約25万米ドル)の配当金を受け取っている。
軍部隊が受け取った配当の使途は知る由もないが、金額の規模と継続性からすると、軍の維持費に使われた可能性が高い。

MEHLは、株主への配当という形で国軍に資金を提供し、 人道に対する罪や戦争犯罪の軍事行動を資金面で支えていると言える。
同社と関わるすべての企業は、国軍の人権侵害に加担するリスクを背負っているのであり、 早急に同社との関係を断つ手続きを進めなければならない。
MEHL内で取締役会を監督する「後援者グループ」に人権侵害に関わった当の将校らが入っていることからしても、 MEHLが自ら組織改革に乗り出すことは期待できない。提携企業に対して改革に向けた姿勢も見せず、 透明性のある関係構築を進める気もない。

 提携各社には人権を尊重し、MEHLとの事業展開の先にある人権への悪影響を防止・軽減する責任がある。 MEHLが改革に消極的であることを考えれば、MEHLとの関係を見直し、関係を解消すべきだ。 ミャンマーの社会、経済、人権に対する潜在的な悪影響を正しく評価した上で、 関係を断つ際には、これらの悪影響を軽減するための措置を講じることが求められる。

 アムネスティはミャンマー政府に対し、軍と経済との結びつきを断ち切るための介入を要請している。 その一環として、MEHLの所有と経営を徹底的に改革しなければならない。 政府はまた、MEHLの収益を基に基金を設立し、国軍による人権侵害の被害者を補償する制度を作るべきだ。

2020年9月10日 アムネスティ国際ニュース
※ミャンマーでは2012年まで公定レートは固定相場制がとられており、対米ドル換算は現在と大きく異なる。


SNSでの女性インフルエンサーへの差別・投獄
 エジプトの検察当局は、オンライン空間の統制の一環として、女性の言動を取り締まり、 女性の経済的な自立を奪おうとしている。その矛先が女性インフルエンサーたちに向かっている。

4月以降で、10人のTikTokインフルエンサーが逮捕され、「わいせつ」や「不道徳」だとして、 悪名高いサイバー犯罪法などの過度にあいまいな法規定に違反した容疑で裁判にかけられている。 すでに有罪判決を受けた女性もいる。彼女たちは、SNSのインフルエンサーとして、 少なくとも数十万人、多い人で数百万人のフォロワーを持っている。
アムネスティは、弁護人や家族らへの聞き取り、捜査資料、裁判の記録などから、 女性インフルエンサーたちの人権を踏みにじる事実の詳細を明らかにした。
当局は、インターネットで活動する女性を取り締まるのではなく、エジプトで頻発している女性や少女に対する 性暴力やジェンダーに基づく暴力を取り締まり、法と社会的慣習における ジェンダー差別の撲滅に向けて、本腰を入れて取り組むべきだ。

4月末、TikTokの女性インフルエンサーが初めて逮捕されたとき、 検察は、「社会の原則と価値を損なう恥ずべき違法行為に対しては、徹底的に取り締まる」との声明を出した。 検察当局は4月末から5月初旬にかけて、「社会規範に背く破廉恥な犯罪の取り締まりを断固続ける」 「邪悪な勢力により侵害されつつある新たなサイバー空間の境界を死守する」などとの声明を出した。

《女性としての魅力を表現して裁判に》
6月に入ると、ファッションや言動、社会への影響力、投稿での収入などを 問題視された女性インフルエンサーたちが訴追されている。 4人が「伝統的家族観への背信」「わいせつや放蕩の挑発」などのあいまいな罪で2年 あるいは3年の実刑判決を受けた。いずれの被告も控訴している。別の6人は、同様の容疑で裁判待ちだ。
女性たちは、その言動に怒り狂ったとみられる男たちに訴えられ、 内務省道徳局の捜査を受けて、裁判にかけられている。

ベリーダンサーの女性は裁判で、「女としての魅力を示す」ビデオと写真集を出し、 「性的に挑発する表現と動き」などの罪に問われて有罪判決を下された。 法廷では、女性の水着姿の写真が、証拠品として示された。
エジプト当局は、TikTokのインフルエンサーの女性たち全員を即時無条件に釈放し、 彼女たちに対する起訴を取り下げなければならない。 また、「道徳」あるいは「良識」という名目で身体の自己決定権、プライバシーの権利、 表現の自由の権利を制限するすべての法律を撤廃または改正すべきだ。 これらの権利の行使に対して罪を問うのは、国際法に違反するだけでなく、 社会における女性への差別と暴力に拍車をかけるものだ。

《犯罪者扱いされる強かん被害者》
5月22日、18歳のインフルエンサーは、インスタグラムで助けを求めた。 あざだらけの顔で、「殴られ、強かんされ、勝手にビデオを撮られた」と訴えた。
4日後、暴行犯6人とともに彼女も逮捕された。「伝統的家族観への背信」と「放蕩の挑発」に 違反したと主張する暴行犯の言い分を鵜呑みにした検察官の取り調べは、8時間にも及んだ。
検察は、性暴力の被害者たちが警察に通報せずにSNSに投稿したことを非難している。 だがこの18歳のインフルエンサーが警察に被害届を出そうとしたところ管轄違いだと取り合ってもらえなかった。
性暴力の被害を訴えた女性の罪を問うのは、明らかに正義に反している上に、 性暴力に声をあげ、警察に届け出る意欲を削ぐだけだ。 被害女性に適切な保護や心の治療の機会を迅速に与えると同時に、早急な捜査と一刻も早い犯罪者の 拘束を心掛けるべきだ。

同様のケースは他にもある。女優・モデルの女性が、元夫が結婚中に撮ったプライベート写真を、 離婚後、脅迫目的でSNSに投稿したとして、元夫を告訴したが、逆に、流出した写真を証拠として 「伝統的家族観への背信」の罪に問われ、今年7月、実刑3年と罰金30万EGP(約190万円)を言い渡された。

《問題視されるSNSによる自活》
アムネスティの調査は、検察が女性インフルエンサーを訴追する背景には、 ソーシャルメディアでの女性の知名度と、TikTokなどのSNSで女性が自活できるほど 収入を得ている状況があることを示唆している。
訴訟の中には、SNSでの人気を利用して少女に影響を与えたとして罪に問われている例もある。 この被告人女性は、人身売買の容疑にも問われている。インスタグラムに投稿した動画の中で、 視聴者数に応じて報酬が得られる動画アプリLikeeへの動画投稿を他の女性に勧めたためだ。 アムネスティはこの動画を検証したが、国際法上の犯罪に結びつけるだけの証拠ではなかった。
担当した検察官は、「厳しい社会環境の中、経験も能力も精神力も不足しているために、 手段を選ばずに名声を得ようとした」と述べていた。

2020年8月13日 アムネスティ国際ニュース


ミャンマー(ビルマ)国軍無差別空爆
 アムネスティは5月と6月、2州の住民20人以上にオンラインで聞き取りを実施、 また衛星画像を分析し、国軍による人権侵害行為を収めた動画も検証した。
空爆があった地域の住民は、当局による回線切断で1年以上もインターネットを使えず、 新型コロナウイルス感染の脅威を知ることができず、人道支援情報も得ることができない状況にある。 ラカイン州は、5月までは感染をほぼ免れていたが、6月に入ると感染拡大が始まった。
当局が、全土に外出自粛を呼びかけていた時、国軍は、ラカイン州とチン州で 戦争犯罪にあたる住宅の焼き討ちや無差別殺害を行ってきた。 国軍による空爆は、住民に甚大な被害をもたらした。 ミャンマー国軍を非難する国際的圧力が高まっているにもかかわらず、 国軍が無差別殺害などの残虐行為を今も繰り返している事実は、 国軍の幹部内でいかに不処罰の根が深いかを示している。

ラカイン州で昨年1月、ラカイン民族武装グループのアラカン軍が、 警察詰所を襲撃したことを受けて、政府はアラカン軍「せん滅」命令を出し、 国軍が軍事作戦を開始した。その後、武力紛争が激化し、数十万人もの住民が家を追われた。 国連高等人権弁務官は、ここ最近の戦闘激化や国軍の攻撃予告で、 あらたにおよそ1万人が避難していると推定する。
3月から5月にかけて、政府が新型コロナ対策に取り組んでいる最中、紛争は激しくなり、 国連によると、紛争による住民の死傷者は、5月だけで30人を超えた。 ラカイン州とチン州での戦闘の犠牲者は、ほとんどが仏教徒で、一部にキリスト教徒もいる。 イスラム系ロヒンギャの人びとも人権侵害を受けていると報道するメディアもある。

拘禁や暴行の人権侵害
 ラカイン州の住民の証言によると、国軍兵士らは、アラカン軍と関わりがあると みなした住民を恣意的に拘束している。恣意的拘束は、複数の地域で確認されている。
拘束された男性の一人は、数日間、激しい暴行を受けた上、ナイフを喉元に突き付けられて アラカン軍との関係を認める自白をさせられた。その後、反テロ法違反の容疑で起訴されている。
ここ数カ月、国軍が、紛争に批判的な記者やアラカン軍に関係するとみなした人物に対して、 反テロ法違反容疑をかけることが増えている。拘束した住民への暴行は、日常茶飯事だ。 5月には、目隠しされた住民らが暴行を受ける様子を撮った動画が拡散し、 国軍が暴行を認めざるを得なくなることもあった。
別の郡区の女性の証言によると、ラカイン州で3月、兵士たちが彼女の夫を含む10人を拘束し、 抵抗する住民に暴行を加えた。兵士が所属する部隊は、アムネスティの以前の調査で、 重大な人権侵害を犯していたことが明らかな軽歩兵師団だった。
兵士たちはまた、日常的に住民の住居を襲い、私有物の奪取や破壊を繰り返している。 修道院を接収して暫定の駐屯地にすることもある。昨年も同様の行為が行われていたことは、 アムネスティの調査で確認されている。
住民の証言によると、米、まき、毛布、衣類、携帯電話、貴金属品などを強奪され、 入り口の戸や窓、仏壇は破壊され、家畜は、惨殺されるか持っていかれた。 国軍は、村々で住宅や学校を焼き打ちし、破壊し、死傷者を出した。
一方、アラカン軍もこれまでと同様、人権侵害を繰り返しているものと考えられる。 アムネスティは、新型コロナウイルスの流行や紛争による移動規制で住民との接触が難しかったため、 アラカン軍の戦闘と人権侵害に関する現地調査を実施できなかった。 しかし、複数の報告によれば、アラカン軍は今も、国軍との戦闘で住民を危険にさらし、 脅迫や拘束などを行っている。

 国軍による人権侵害が再び深刻化する中、アムネスティは、国連安全保障理事会に対し ミャンマーの人権状況を国際刑事裁判所に付託するよう、あらためて要請する。 空爆とインターネット遮断は、つい最近のことだが、国軍の常軌を逸した人命軽視は、今に始まったことではない。 ミャンマー国軍による残虐行為は、今も続いている上に、その残忍な手口は、ますます巧妙になっている。 国軍の人権侵害は、明らかに国際刑事裁判所が対応すべき問題だ。
国連安保理は、行動を起こさなければならない。

2020年7月8日 アムネスティ国際ニュース


入植地の併合は国際法違反
 米国のトランプ大統領の和平提案を受けて、イスラエルは入植地のイスラエルへの併合計画の 審議を7月1日から始めた。
併合はあからさまな国際法違反であり、何十年にもわたって行われてきたパレスチナ人に対する 人権侵害を固定化するだけだ。併合に向けた動きは、イスラエルが国際法を度外視する姿勢の表れだ。 ヨルダン川西岸地区の併合計画を直ちに取り下げなければならない。

国際社会は、この併合計画、そしてイスラエル政府が推し進めてきた 違法な入植に対して、毅然とした態度を取るべきだ。 併合は明確な国際法違反である。併合で、被占領地やその住民の国際法上の 法的地位が変わるわけでもなく、占領国としてのイスラエルの責任がなくなるわけでもない。 併合は、パレスチナを弱肉強食の世界に変えるだけであり、時代錯誤も甚だしい。

国際社会は、国際法に基づき占領下にある西岸のいかなる部分の併合も無効であることを、 あらためて表明しなければならない。また、西岸地区での入植拡大やインフラ整備の 即時停止も求めるべきだ。

併合は無効
 複数の報道によると、イスラエルは西岸地区全体の33パーセントの併合を計画しているという。 併合は武力による領土獲得であり、明白な国際法違反だ。 国連憲章の基本原則で禁じられており、国際法の強行規範や 国際人道法に規定された義務にも反する。
イスラエルによる併合が始まれば、パレスチナ自治区への入植が加速化し、 パレスチナ人の土地がさらに奪われることになる。 また、パレスチナ人に対する差別と人権侵害の固定化につながる。 国連の専門家多数が、併合案を「21世紀のアパルトヘイト」と呼び、懸念を表明している。

違法な入植
 被占領パレスチナ地域にイスラエル人を入植させ、パレスチナ人を追放する行為は、 国際人道法の基本原則に違反する。ジュネーブ第4条約の第49条は、 占領国が占領する地域へ自国の文民を移送・追放することを禁じ、 また、被占領地域の住民の強制移動・追放も認めない。

イスラエルによる入植は、戦争犯罪にあたる。さらに、恒久的な入植とインフラ整備は パレスチナ人のためにはならず、ジュネーブ第4条約で例外的に認められている 安全保障上の必要性を満たすものでもない。ジュネーブ第4条約では軍事目的以外の 私的財産・公共財産の収奪・破壊を禁じているが、入植はそれを大規模に行うものである。

国際社会は、パレスチナ人の不可侵の権利を否定する いかなる提案も許してはならない。また、国際刑事裁判所がパレスチナにおける問題で 管轄権を行使する際には、国際刑事裁判所を全面的に支持すべきだ。

2020年7月1日 アムネスティ国際ニュース


香港の危機
中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は6月30日、香港の国家安全法案を可決した。 「国家安全維持法」の成立は、香港市民にとって大打撃であり、香港の近年の歴史の中で最大の人権への脅威だ。 今後、中国は思うがまま犯罪容疑者に独自の法律を課す権限を持つことになる。
詳細を明らかにしないまま法案の審理を急ぎ、政府批判を弾圧する手段を中国政府が手にしたことは、 香港市民に大きな恐怖心を与えた。恐怖心で香港を統治するという狙いが、そこにはある。
成立を急いだもう一つの理由は、9月の立法会選挙で民主派候補を排除するためだ。 民主派候補は国家安全法の標的にされかなねい。

法律の施行に当たって、香港当局は自らの人権義務をしっかり遵守しなければならない。 そして、それを守らせるのは国際社会にかかっている。 香港にとって重大なこの局面において、国家安全法が人権侵害や自由の剥奪に 利用されるようなことがあってはならない。

背景情報
国家安全法は6月30日に可決され、習近平国家主席が署名して成立した。 その後、香港の憲法にあたる香港基本法の付属文書に加えられる。
個人や団体に「国家の安全を危うくする活動への参加」を禁じる同法には、 さまざまな人権上の懸念がある。国家分裂、国家転覆、テロ、 「国家の安全を危うくする外国・海外勢力との結託」などが、犯罪行為とみなされる。 多岐にわたる違反行為があいまいに定義されているのは、反体制派の取り締まりに 適用されてきた中国本土の国家安全法と同様だ。
また新法成立で、中国政府の出先機関「国家安全公署」が設立される。 中国では、この種の機関が、人権擁護活動家や反体制派の監視、嫌がらせ、脅迫、秘密裏の拘禁などを行っている。
香港と中国当局は、香港での「テロ行為や暴力への脅威」に対抗するために 国家安全法の導入が急務だと主張してきた。しかし、この1年、香港の街頭で行われてきた抗議デモは 極めて平和的なものだった。
林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官はジュネーブ時間の6月30日朝、国連人権理事会で演説する。 数日前、同理事会が任命した特別報告者50人以上が、国家安全法の導入などについて懸念を示したが、 連名文書での懸念の表明は異例のことだった。

2020年6月30日 アムネスティ国際ニュース


パレスチナ人の土地没収は違憲、無効
 2017年にイスラエル国会で制定されたパレスチナ人の土地没収に関する法律は 6月9日にイスラエル高等裁判所において違憲であり、無効であるとの判決が くだされました。
この法律に対して、イスラエル国内の公民権協会、 人権NGO団体ピースナウ、イェッシュ・ディンなどが国際法違反、人間の尊厳と自由に 関する基本法に対する重大な違反であり、違憲であることを2017年に高等裁判所に 申し立てをしていたものです。

国際条約は占領地域の居住者の権利を保護することをイスラエルに義務付けており、 当面の治安目的のために土地を没収することを禁止している。また主権のない占領地域で その土地に関する法律を制定する権限はないと訴えていました。

この土地収用法に対する申し立てが起こされた後に土地収用手続きの大要に対して 司法長官が提案した暫定的差し止め命令を 有効として2017年8月17日に裁判所はこの法律の実施を凍結していました。


ジョージ・フロイドの犠牲
ミネアポリスで5月25日、ジョージ・フロイドさんが警官に取り押さえられ、 呼吸ができなくなり亡くなるという痛ましい事件があった。 首をひざで押さえ続けられている様子が、市民が撮った動画に写っていた。
警官に自分の命を断たれるかもしれない。朝目覚めたとき、 そんな不安に襲われるようなことがあってはならない。 しかし、米国では、肌の色が違う人、特に黒人の人びとは、 痛ましい事件の記憶を抱えて生きてきた。

ミネアポリスの警官の行為は、すでに多くを失った人びとを さらなる恐怖に陥れることになった。 エリック・ガーナーさんは6年前、ニューヨーク市警本部で 「息ができない」と訴えながら亡くなった。 この時、警官たちは、被疑者の悲痛な叫びに耳を 傾けなければならないという教訓を学んだはずだった。 しかし、そうではなかったようだ。
フロイドさんは、かけがえのない命を失った。 エリック・ガーナーさん、マイケル・ブラウンさん、アカイ・ガーリーさん、 タミール・ライスさん、ブレオンナ・テイラーさん......。名前を上げれば切りがない。

市民の生命を守るのが、警察である。この大原則が、 黒人の人間性を否定する警官たちに踏みにじられている。 死に至らしめるような過剰な力の行使は、必ず裁かれなければならない。
連邦捜査局(FBI)が事件の捜査に乗り出したことは、適切だ。 アムネスティは、迅速で徹底した真相解明と適切な捜査情報の遺族への開示を求める。 また、死に至るような力の行使を制限する法整備も不可欠だ。

2020年5月26日 アムネスティ国際ニュース


Take Action!香港・国家安全法阻止署名
アムネスティ・日本は中国政府よる香港への国家安全法の凍結を求めるオンライン署名を 実施しています。
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/hk_202005.html

※署名(名前のみ)はアムネスティで取りまとめて要請先に提出します。
※後日、メール、お電話にてアムネスティ日本から活動紹介のご連絡を差し上げる場合がございます。

アクションメッセージ
原文(English)
<下記のメッセージを要請先に提出します>

栗戦書全国人民代表大会常務委員長殿

香港へ国家安全法が導入されることに懸念を表明します。 同法は香港の人びとの権利を著しく侵害するおそれがあります。 昨年、警察は、平和的に抗議活動を行う人びとに対して、 不必要に行き過ぎた実力行使を行っています。 これは人びとの平和的な集会の権利を侵害する行為です。
香港の人びとはまたしても表現や集会、結社の自由を始めとする人権を 守るために危険を冒して抵抗しなくてはならなくなりました。
この法律がすべての点で国際人権法や基準に沿ったものであることが保証されるまで、 国家安全法を香港に導入することを凍結するよう要請します。


外国人長期収容者の人権を守る!
                     2020年5月8日
収容・送還に関する専門部会 委員各位

      (公社)アムネスティ・インターナショナル日本
                事務局長 中川 英明

              要請書

アムネスティ・インターナショナル日本は、長期収容の問題について 法務省及び出入国在留管理庁の下で行われているさまざまな議論が、 移民・難民の人権を軽視し、排除を強化する方向で進められているのではないかとの 懸念をもっています。
移住に関わる拘禁を正当化するためには、国際人権法に定められている合法性・ 必要性・相当性という3つの原則を満たすことが必要です。
さらに、国連の恣意的拘禁ワーキンググループは、本人の身元を確認するため、 逃亡を防ぐため、あるいは退去強制命令の順守を確保するためという3つの目的の いずれかを達成するために必要な場合にのみ、国家が拘禁という手段を用い得るとしています。

難民認定申請者を含む在留資格のない外国人を、入国管理上の収容および送還に 起因する人権侵害から守るために、次の3点を私たちは日本政府に要請します。

・抗議活動を行う収容者を仮放免で釈放し、短期間の後に再収容することはやめること
・ノン・ルフールマンの原則をいかなる場合でも遵守すること
・出入国管理上の収容は送還の準備に必要な短期間に限るよう、収容期間に上限を設けること

アムネスティ・インターナショナル日本は、「外国人の長期収容に終止符を!」 キャンペーンを今年1月に開始しました。5月8日までに、以上の3点の要請に賛同する方々から 10,423筆にのぼる署名が寄せられています。
収容・送還に関する専門部会委員のみなさまが最終報告をとりまとめるにあたっては、 外国人の人権保護を求める市民社会からの声に応え、私たちが要請する以上の3点と合致するものとしてください。 よろしくお願い申し上げます。

                           以上


レバノンの移住労働者の人権
 世界でウイルスが猛威を振るう中、レバノンの移住家事労働者はロックダウン(都市封鎖)により、 雇用主から人権侵害を受ける危険性がさらに高まっている。 政府には、移住家事労働者を保護するための緊急対策が求められている。

レバノンはじめ中東諸国特有の労働契約制度であるカファラ制度は、 移住労働者の保証人として雇用主に絶対的権限が与えられるため、 過酷な強制労働など労働者搾取と虐待の温床となっている。
カファラ制度に縛られ逃げ出せずにいる同国の移住家事労働者およそ25万人が、 新型コロナウイルス流行拡大の中で人権侵害はもちろん命の危険にさらされている。 外出自粛は感染拡大予防につながる一方、カファラ制度下の労働者にとっては、 雇い主による虐待やいじめを受ける危険性が高まる。
社会から疎外されている移住家事労働者に対して、政府は直ちに保護対策を取らなければならない。 また、雇い主には、家事労働者への人権侵害は、摘発の対象となることをはっきり警告すべきである。 移住家事労働者に対する虐待・搾取は、極端な長時間労働、無休、給料の減額・不払い、 通話やインターネットの制限、食事を与えないなど、枚挙にいとまがない。 労働省は、外国人家事労働者が、苦情申し立てができる窓口を設置し、 その開設を彼らに周知することが必要である。

非正規移民家事労働者
 労働ビザを持たない家事労働者は数千人いるが、無認可のまま働き続けるか、 収容センターに入れられて、強制送還を待つか、どちらかの選択肢しかない。 ビザがなければ、医療などのサービスを受けることは難しい。 保健省は、非正規移民を含む移住家事労働者が置かれている状況を理解し、 彼らの感染予防、検査、感染後の対応などで支援すべきである。

背景情報
 アムネスティは昨年、現地での聞き取り調査などで、強制労働から人身売買まで カファラ制度が抱える問題を確認し報告書にまとめた。
今年3月、アムネスティは、レバノンの「家事労働者のための標準統一雇用契約規定」 改正の協議に参加し、提言する機会があった。 労働省に対して、カファラ制度下で雇用主と労働者間に明らかな不平等性が存在し、 雇用主が労働者を支配している問題に対応した要件を改正案に盛り込む必要性を強調した。

2020年4月14日 アムネスティ国際ニュース



圧力に屈したフェイスブック
 4月21日、ロイターは、ベトナム当局から圧力をかけられていたフェイスブックが、 政府に批判的な投稿の検閲レベルを強化する方針を決めたと報じた。 同社の現地サーバーに対し国営通信企業が使用制限などを科していたようで、 しばらくフェイスブックが使えない状態が続いていた。
当局による表現の自由の抑圧はこれまでもあったことだが、今回のフェイスブックの決断で、 同国の表現の自由が、さらに強力に制限されるきっかけになるおそれがある。
フェイスブックは、コンテンツの規制にあたっては、国際人権基準に基づかなければならず、 法律を乱用し、恣意的に権利を制限する政府に従ってはならない。 同社は、検閲強化の決定をただちに取り消し、不当な投稿削除の要求を拒否しなければならない。

圧力に屈したフェイスブック
 ベトナム当局は長年、オンライン上の表現の自由を奪うさまざまな規制措置を取ってきた。 テクノロジー企業に対して個人情報の提供やユーザー投稿の検閲を義務付けるサイバーセキュリティ法も導入している。
フェイスブックの今回の決定は、政府批判の摘発を強化したい国の意向に足並みをそろえるものであり、 フェイスブックは検閲に協力する企業だと考える国も出てくるだろう。 またこの決定は、極めて危険な先例でもある。他のハイテク企業が、 抑圧的な政府の圧力に抵抗しづらくなる事態に追い込まれるだろう。

ソーシャルメディアは、ベトナムでの表現の自由に関して良い変化をもたらしてきた。 この変化は、インターネットの利用者が積極的にソーシャルメディアを使って批判的な意見を書き込み、 人権侵害の実態を暴いてきたからこそ、もたらされたものである。 ソーシャルメディアの投稿は、表現の自由に対する基本的権利であり、 利益や市場参入のためではない。いかなる場合でも保護されなければならない。
アムネスティの調べでは、昨年、人権を平和的に行使しただけで投獄された人のうち、 約1割が、フェイスブックの利用がらみだった。

取り締まりの強化
 ベトナム当局は1月、死者まで出した土地騒動を封じ込めるために、 ソーシャルメディアの書き込みにかつてないほど厳しい取り締まりを始めた。 新型コロナウイルス危機の感染拡大以来、取り締まりは強化されている。
1月から3月半ばの間に、フェイスブックの投稿がもとで市民654人が警察から出頭を求められ「研修」を受けさせられた。 その上、罰金を科されたり、投稿の削除を命じられたりした。
4月には、メディアコンテンツを恣意的に制限し、テクノロジー企業に検閲や 監視措置を強制する新法が施行された。
また、フェイスブック上での国家批判、ウイルス対策での当局の悪口、パンデミック情報の拡散など、 さまざまな書き込みによって、各地で市民の逮捕・勾留が続いている。

2020年4月22日 アムネスティ国際ニュース2020年4月22日



2019年の死刑執行状況
 アムネスティは、2019年の世界の死刑状況について調査結果をまとめた。 調査は、アムネスティが各国で得られた信頼できる情報にもとづく。

世界の死刑執行総数は減少傾向にあり、少なくとも657件、過去4年連続で減少し、 この10年では最低だった。死刑は、極めて残虐で非人道的な刑罰であり、 禁錮刑以上の犯罪抑止効果が死刑にあることを裏付ける根拠はない。 大半の国がこの点を認識し、執行を減らし続けているのである。 しかし一方で、一握りの国は卑劣で非人道的な死刑への依存度を強めた。 サウジアラビアは、死刑執行数で過去最多の184件を記録し、イラクは執行数を倍増させ、 イランは、中国に続く執行数を維持した。
死刑執行数の上位5カ国は、中国(数千件)、イラン(少なくとも251件)、サウジアラビア(184件)、 イラク(少なくとも100件)、エジプト(少なくとも32件)だった。
中国の執行数を「数千」とするのは、数千件の処刑があったことは確かだが、 死刑に関わる数値が国家機密扱いされているため、信頼できる数字を示すことができないからである。 執行大国と思われるイラン、北朝鮮、ベトナムも、死刑情報を開示しなかったため、数字を示すことができなかった。

一部の国で処刑が急増
 2019年に死刑執行が確認された国は、わずか20カ国である。この中で、サウジアラビア、 南スーダン、イエメンの3カ国は、執行件数を大幅に増やした。 サウジアラビアでは、前年149人から184人に増えた。対象となった犯罪の大半は、薬物か殺人だった。 件数急増の背景には、反体制派のシーア派イスラム教徒に対する政治的見せしめとして利用されたこともあった。 昨年4月23日、1日で37人の処刑が確認された。37人中32人はシーア派イスラム教徒で、 拷問で強要された自白に基づきテロ罪に問われ、死刑を宣告された。 その一人が、フセイン・アル・モサレムさんで、取り調べで鼻や脚などを骨折するほどの 暴行や電気棒による拷問を受けていた。
イラクでも、執行件数が、前年の少なくとも52件から100件に倍増した。 100件には、自称「イスラム国」のメンバーの処刑も含まれた。
南スーダンでは、少なくとも11人の死刑執行があり、2011年の独立以降で最も多かった。 イエメンでは、少なくとも7件(前年は少なくとも4件)の処刑があった。 前年、死刑執行を停止していたバーレーンでも、3人が処刑された。

死刑をめぐる閉鎖性
 多くの国が、死刑に関わる数字を公表も提供もせず、死刑をめぐる閉鎖性が際立った。 中国に続く死刑執行大国イランの処刑件数は、前年と変わらず、少なくとも251件が確認された。 実際は、251件を遥かに上回ると思われるが、信頼できる情報を得られないため 具体的な数字で示すことはできなかった。 イランでは、昨年4月、2人の少年、メフディソ・ラビファさんとアミン・セダハトさんが秘密裏に処刑された。 15才の時に逮捕され、複数件の強かん容疑で起訴され、不公正な裁判で有罪判決を受けた。 有罪判決が死刑であることを知らされたのは、処刑の直前だった。 2人の背中の痛々しい傷跡は、処刑直前に鞭打ちを受けたことを示している。
死刑の執行は、世界のあちこちで秘密裏に行われた。家族や弁護人だけでなく、 時に当人にも事前に知らされることがないまま死刑が執行された。
頑なな死刑支持国は、いずれの国も処刑の正当化に躍起になっている。正当化だけではない。 機密保持にも必死である。多くの国は、死刑をめぐる状況が国際的な監視に耐えられないと考え、 事実隠しに四苦八苦しているのである。

世界中の死刑廃止は近い
 アジア・太平洋地域での執行国数は7件で、2011年以降で初めて減少に転じた。 日本で前年15人から3人に、シンガポールでは前年13人から4人に減った。 アフガニスタンでは、2010年以降で初めて0件を記録、前年執行があった台湾とタイでは、執行が停止され、 カザフスタン、ロシア、タジキスタン、マレーシア、ガンビアでは、死刑停止措置が維持された。
世界全体では、法律で死刑を廃止する国は106カ国、事実上の廃止も含めると、死刑廃止国は142カ国である。 さらに、数カ国が、死刑廃止に向けた動きを見せた。
赤道ギニアでは、大統領が、死刑廃止法案の議会への提出を発表した。 死刑の廃止につながる前向きな動きは、中央アフリカ、ケニア、ガンビア、ジンバブエでもあった。 バルバドスも、憲法が定める絶対的法定刑としての死刑を廃止した。 米国では、全米で最多の死刑囚を抱えるカリフォルニア州知事が、死刑執行の一時停止を宣言し、 ニューハンプシャー州が、死刑を廃止し21番目の死刑廃止州になった。
一方、世界の死刑廃止の流れに水を差す国もあった。 フィリピンでは、違法薬物や強奪関連の凶悪犯罪に死刑を再導入する動きがあり、 スリランカは、約40年ぶりの死刑再開に向けて舵を切った。 ほぼ20年間、死刑を執行しなかった米国連邦政府が、執行再開に向けた作業に入った。
しかし、死刑廃止に向けた世界の勢いは止められないし、止めてはならない。 アムネスティは、すべての国に死刑廃止を求めている。 死刑制度という非人道的な慣行を永遠に葬り去るために、国際的な圧力は不可欠である。

2020年4月21日 アムネスティ国際ニュース



COVID-19と監視 人権への脅威
 世界で新型コロナウイルスが大流行し、人びとは、未曾有の健康の危機に直面している。
公衆衛生情報の提供や医療体制の強化など、技術が果たす役割は大きい。 しかし、国の中には、ウイルスと闘うという名目で、監視技術を利用し、 個人や市民全体の移動情報を収集する技術の開発を急ぐところもある。 国による監視が、何の制限や監督を受けることなく放置されると、 プライバシーをはじめとする人権の未来が、根底から変わってしまうおそれがある。

コロナ対策としての監視は合法か
 国は、健康に対する権利を保障し、疫病を予防・治療・制御する責任を負う。 新型コロナウイルスの大流行という緊急事態に素早く組織的に対応するために、 政府が、一時的に人びとの人権を制限せざるを得ないことは起こり得る。 しかし、位置情報による人の動きなどの監視は、厳しい基準を満たすことが前提であり、 そうでなければ、違法である。また、いかなる対応も、法令の遵守、期間の設定、 透明性の確保、第三者による監視が、保証されなければならない。
市民の生活に入り込む監視は、目的を達成する上で最小限でなければならず、 効果より害をなすものであってはならない。 米国や英国などの大規模監視から学んだ教訓は、人権の脅威となる監視は、 いずれ社会に根を張ってしまう危険性があるということである。
2001年9月11日の米同時多発襲撃事件以降、国による市民の監視は、著しく強化された。 そして、一旦、監視体制が整い、監視能力が備わると、監視体制が解かれることは、まずない。

個人の位置情報の利用
 ウイルスが猛威を振るう中、多数の国が、市民の移動状況の把握に携帯電話の位置情報を利用している。 オーストリア、ベルギー、イタリア、英国、ドイツはいずれも、感染者の感染経路の追跡に、 通信会社から匿名化された、あるいは集約された位置データの提供を受けているといわれている。
市民の隔離を徹底するために、GPSによる追跡を容認している。

イスラエルでは、治安当局に感染者の携帯電話情報の利用を許可しており、 プライバシーの侵害が大きく懸念されている。 当局が携帯情報を利用し始めたことはわかっており、400人ほどが、 「感染者との接触したおそれがある」と警告するショートメッセージを受け取った。

韓国では、テキストメッセージで当局が健康に関する注意喚起を行っているが、 そこに感染者情報も載っている。ハイパーリンクが張ってありその個人の移動情報を見ることができる。 医療上の守秘義務の明らかな違反であり、感染者への偏見や差別を助長するものだ。 この対策は、監視に関する法的要件を満たしているとは思えず、プライバシーの権利を侵害している。 こうした対策は、個人情報の収集・利用・共有の面で、深刻な問題をはらんでいる。 一度、個人データが収集されてしまうと、その情報は、他の機関や企業などと共有され、 健康管理以外の目的で使用される危険性がある。

人工知能(AI)とビッグデータ
 AIとビッグデータ技術を活用して、新型コロナウイルスに立ち向かう国もいくつかある。 中国は、最先端のサーモグラフィーと顔認識技術を公の場で利用して、 ウイルスの感染経路を追跡しているとされる。
中国のIT大手アリババは、 個人の健康情報を追跡するシステムの運用を開始した。個人の健康に関わるデータを収集し、 健康状態を色分けし、緑は「異常なし」、黄は「7日間の隔離」、 赤は「14日間の隔離」などと一目で判断できるようにした 。 この情報をもとに、公の場に出ていいかどうかを判断する。 懸念されるのは、こうした情報が治安当局でも共有されていることである。

ポーランドでは、隔離が必要な人が、自己隔離しているかを当局が確認できるアプリを導入した。 当局から携帯電話にプロンプト記号が届き、自撮りした写真を送って報告する。 当局側が、顔認証と位置情報で本人確認をした上で、隔離命令に違反していないかを把握する仕組みである。

他の国でも、例えばインドでは、自撮り写真にジオタグ(位置情報)を付けて送信することを求められているなど、 個人情報の収集にアプリの使用が始まっているという報告があった。
一方、AI技術は、違法な差別を助長しかねない。また、これまで疎外されてきた人びとが、 一層差別を受けるおそれがある。 導入されている技術の多くは、偏ったデータに基づく不可解なアルゴリズムを活用するため、 この技術を利用した意思決定は、特定のグループへの差別を助長するおそれがある。 国は、コロナ対策以外の目的での監視と個人情報の収集は、やめるべきである。 加えて、個人情報の保護や差別への市民の不安に誠実に対応する必要がある。

民間監視会社
 コロナ危機の中、国と民間企業が手を組むことで、革新的な解決策を作り出すことができる一方で、 多くの国が手を組むのは、人権侵害が懸念される企業である。 例えば、米国では、顔認識アプリを開発したクリアビューAI社とビッグデータを分析するパランティア社が、 米当局と協議に入っていると伝えられている。
強権国家との取引で知られるイスラエルのスパイウェア企業NSOグループは、 現在、人の移動を表示する地図から感染経路を追跡できるビッグデータ分析ツールを売り込んでいる。 NSOのようなIT・通信企業の多くは、闇ビジネスの過去があり、人権侵害を犯しても一向に責任を問われてこなかった。
コロナ危機との闘いに関わる企業は、その製品やサービスを利用することによる人権上の リスクの特定、軽減・回避、説明責任を果たすことが、強く求められている。 企業は、新型コロナウイルス危機に乗じて、人権に対する責任から逃れることはできない。

コロナ危機の後を見据えて
 今回の前例のない危機の対処には、長期的な視点が欠かせない。 新たな市民の監視体制は、危機が終息した後も存続するおそれがあり、 その後の社会が置かれる状況を決定づけるかもしれない。 世界一人ひとりの人権が、未来社会の中心にある。このことを忘れてはならない。

2020年4月3日 アムネスティ国際ニュース




憲法と人権ハガキ
 アムネスティ・日本の憲法と人権チームが憲法の中の人権条項を取り上げて 8枚のハガキシートを作りました。中学・高校生、若い人に憲法で護られている 自らの権利を知ってもらうために作りました。やさしい言葉で分かりやすく 人権を説明しています。
このシートを希望される学校、団体、一般の方に無償で配布します。
希望される方は住所・氏名又は学校名・電話番号・担当者名・希望枚数をamnesty.const.jpn@gmail.com までご連絡ください。








土地の日(パレスチナ)
 3月30日はパレスチナの「土地の日」です。1976年にガリラヤ地方でのイスラエルの土地収用に 抗議して6人のパレスチナ人が殺害された日です。毎年この日に「土地の日」として各地でデモが 行われています。今年はウイルス感染問題により現地ではデモは行わず、ソーシャルメディアでの 行動のみとなりました。(BDSjapanのサイト紹介https://www.facebook.com/BDSjapan/)

 COVID-19による外出禁止が出されている間に、イスラエルの入植者がイスラエル軍容認のもと パレスチナ人のオリーブ畑を破壊し、入植地を拡大しようとしています。
西岸のヨルダン渓谷に設置しようとしていた移動クリニック用のテントがイスラエル軍によって 破壊されました。イスラエルの封鎖政策のために必要な医療体制を整備できないため 感染者が増えつつあると伝えられています。







米国コロラド州死刑廃止
 米・コロラド州ジャレッド・ポリス州知事は3月23日、死刑廃止法案に署名した。 これにより、コロラド州は全米で22番目の死刑廃止州となり、米国は、死刑廃止国の仲間入りへ一歩前進した。 ポリス知事は、この国でかつてないほどに求められている人権視点のリーダーシップを示した。 知事は現死刑囚に対しても、減刑措置を取るとした。

死刑は、一旦執行されると取り返しがつかない上、犯罪を抑止する効果もない。 その執行は、痛みが伴い、暴力的で非人道的である。 米国では、死刑判決が黒人社会に過度に向けられてきたという問題もある。 罰としての死刑は時代遅れであり、死刑制度は根本的に破綻している。 きっぱりと廃止されるべきである。

世界では、3分の2以上の国が法律上あるいは事実上死刑を廃止している。 アムネスティは、犯罪の性格や犯罪者の特質、処刑方法にかかわらず、 いかなる死刑にも無条件で反対する。

2020年3月23日 アムネスティ国際ニュース



ガザでのコロナ対策の状況
26日の毎日新聞がパレスチナのガザ地区とバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプでの 新型ウイルスに対する状況を伝えています。

 パレスチナ自治区ガザ地区では22日に初めての感染者2人が確認された。ガザ地区は12年以上、 イスラエルによって封鎖されており、医療体制が不十分なうえに、衛生環境も悪い。 一旦感染が拡大すると手が付けられない事態になることが予想され、人権団体は「悪夢のシナリオ」と警戒を強める。
ガザ地区の保健当局によると、2人は19日にパキスタンからエジプト経由でガザ地区に入り、 教会近くの施設で隔離されていた。21日になって陽性反応を示した。住民とは接触していないという。

イスラエルの封鎖政策で、ガザ地区の経済状況は極度に悪化。インフラの整備状況も不十分で、 電気は1日数時間しか供給されず、上下水道も適切に機能していない。 イスラエルの人権団体「ベツェレム」は「ガザの医療システムは最初の新型コロナウイルス患者を 受け入れる前でさえ、崩壊の危機にひんしていた」と訴える。 ガザ当局は感染者が確認される前から、防疫態勢を敷いてきた。イスラエルとの境界にある ベイトハヌーンや、エジプトとの境界にあるラファ経由でガザに戻った人たちについては、 全員隔離措置をとっている。また、学校は大学まで全校休校とし、隔離施設として利用している。 また、ラファ近郊に隔離施設を突貫工事で建設中。
国連パレスチナ難民救済事業機関は、 運営する学校を病床として転用し、特に呼吸器疾患を持つ患者を移動させているという。 感染が確認された患者はまだ2人に過ぎないが、住民らは事態の推移を見守っている。

 ミャンマーからバングラデシュへ逃げているロヒンギャ難民も劣悪な難民キャンプ環境に置かれているため 新型ウイルス感染が非常に心配される。現在のところ感染者は確認されていないが、検査ができる施設は 首都のダッカにしかないため検査ができない状況である。症状がでた人を隔離する施設の増設を進める。

(注・紛争時にイスラエル軍により発電施設、水道施設が破壊されたが、封鎖により復旧が進んでいない)



国連が入植地で活動する企業リスト公表
 国連(UN)は2月12日、国際法で違法と見なされているイスラエル入植地に関わる企業112社のリストを公表した。 リストには、エアビーアンドビーやエクスペディア、 トリップアドバイザー、ゼネラルミルズ、モトローラなどが挙げられている。 モトローラはチェックポイント、集落、アパルトヘイトウオールに監視機器やその他の技術の提供契約を イスラエル国防省と契約している。

 このリストは、「パレスチナ占領地内のイスラエル入植地に関連する特定の活動に従事する全企業の データベース」作成を求める2016年国連人権理事会決議に基づき公表された。 国連人権理事会は、データベースへの企業名の記載は「司法手続きまたは準司法手続きに当たらず、 それを意図するものではない」と説明している。

 イスラエルはたびたび国連、とりわけ人権理事会を偏見があると非難しており、 今回のリスト公表にもすぐに反発した。 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は首相府を通じて発表した声明の中で、 「わが国をボイコットする者は何人であろうとボイコットする」 「この卑劣な試みは断じて受け入れられない」と述べ、報復をほのめかした。
一方、パレスチナ自治政府のリヤド・マルキ)外相は、リスト公表について、 「国際法と外交努力の勝利」と評価した。  イスラエル政府によるパレスチナ人への対応に抗議し、さまざまな活動を呼び掛けている BDS(ボイコット、投資引き揚げ、制裁)運動も、リスト公表を歓迎した。
国連は、データベースを毎年更新するよう推奨し、この業務に携わる独立した専門家グループの設置を 人権理事会に要請している。
(AFPニュース、その他参照)



パレスチナ:最悪の中東和平案
 米国のトランプ政権は1月28日、イスラエルとパレスチナの和平案を発表したが、 国際法を侵し、パレスチナ人の権利をさらに奪う散々な提案である。 その内容は、イスラエルとパレスチナとの間で、今後も悲劇と人権侵害を引き起こすための手引書といえる。

 トランプ大統領は、「繁栄への和平」と題する180ページからなる提案を示し、 「この和平案は、イスラエル側がすでに合意している現実的な2国家共存だ」と述べた。 ただ、和平案は、パレスチナとの協議を欠いたまま作成されている。
トランプ大統領が「世紀の取引」と呼ぶこの提案に盛り込まれた施策は、 国際法に違反するものばかりであり、国際社会はこの和平案に反対すべきである。 提案では、イスラエルの土地と引き換えに、ヨルダン川西岸地区にあるヨルダン渓谷と 違法入植地の大部分をイスラエルの統治権下に置くとしている。 米国は、この措置を土地交換の原則だと強調するが、 パレスチナ地域の併合の助長にほかならず、明らかな国際人道法違反である。

 半世紀を超える占領の中で、イスラエルのパレスチナ差別は日常化し、 パレスチナ人の権利は否定され、権利を奪われた被害者への補償の道は閉ざされてきた。 和平案は、こうしたイスラエルの冷酷で違法な政策をあらためて承認したに過ぎない。
土地交換では、パレスチナ人比率が高いイスラエルの地域を、 将来、パレスチナ国家となる地域に移転すると提案している。 しかし、これでは、イスラエルのパレスチナ市民の選挙権が、移転ではく奪される懸念が出てくる。
また、パレスチナ難民に対して、イスラエル領に帰還する権利を認めない代わりに、 補償制度の創設を提案する。 パレスチナ人難民は520万人を超え、世界的にも多い。 1948年のイスラエル建国により故郷を追われたパレスチナ人には、国際法にもとづき帰還する権利がある。 この帰還権は、政治交渉で奪うことができない個人の権利である。

 昨年12月、国際刑事裁判所の検察官は、パレスチナでの予備審査の結果、 被占領パレスチナ地域(ヨルダン川西岸とガザ地区)において戦争犯罪があったとする結論に至ったとして、 国際刑事裁判所の確認が取れ次第、捜査を開始すると発表した。
しかし、トランプ政権の和平案は、提案の交渉中はいかなる場合も、 パレスチナはイスラエルと米国の国や人を相手取って国際司法機関に訴訟を起こしてはならないと主張し、 現在係争中の訴訟に関しては、その取り下げを求めている。 国際刑事裁判所の取り組みに横槍を入れた形である。

 公正で持続可能な和平の実現には、双方の市民の人権に配慮した和平提案が不可欠である。 戦争犯罪などの重大な人権侵害の被害者のために、加害者側の責任を問い、 被害者への補償が盛り込まれなければならない。
トランプ政権の提案は、こうした基本原則を満たしていないばかりか、 現在、進行中のパレスチナ人とイスラエル人双方のための正義に向けた努力を 無にしようとするものである。

2020年1月28日 アムネスティ国際ニュース



外国人の長期収容に終止符を!
 出入国在留管理庁(入管庁)の収容施設では、オーバーステイなどの外国籍の人たちの収容が長期化しています。 長期収容されている人たちの中には、人生のほとんどを家族と一緒に日本で暮らしている人や、 自国に戻ると迫害のおそれや命の危険がある難民認定申請者など、 帰国できない理由がある人たちが多いと言われています。

長期収容は、身体の自由を奪う扱いであるだけでなく、いつ釈放されるのか分からない 収容者に多大な不安を与えるものであり、心身に過度のストレスを生じさせます。
このような扱いに耐えかねた収容者が抗議のためハンガーストライキを決行するケースが急増し、 2019年6月には餓死者が出る事態に至りました。 入管庁は、ハンストをやめさせるために仮放免(一時的に収容を停止して収容者を釈放する)措置をとりましたが、 対象者は短期間で再収容されています。問題の解決につながらない入管庁の対応は、 身体の自由と表現の自由を侵害する行為に他なりません。

さらに入管庁は、収容者の送還を促進するために、難民認定申請者を強制的に出国させることを 禁止している法規定の改変までも検討しています。このままでは、日本に逃げてきた難民や庇護希望者が 日本から追い出され、本国で命の危険にさらされる事態になりかねません。

 自国で受けた迫害や生命の危険からやっとのことで逃れた難民を本国に送還することは、 国際法上で明確に禁止されています。「ノン・ルフールマンの原則」と呼ばれるこのルールは、 いかなる場合でも遵守する義務があります。日本も批准している難民条約の基本原則の一つでもあります。

 移民・難民の基本的人権を守るため、次の3点を法務大臣に要請する署名に参加してください!

・抗議活動を行う入管施設収容者を仮放免で釈放し、短期間の後に再収容するのはやめること
・ノン・ルフールマンの原則をいかなる場合でも遵守すること
・出入国管理上の収容は送還の準備に必要な短期間に限るよう、収容期間に上限を設けること
現在、アムネスティ・日本のウエブサイトにて、上記のオンライン署名を行っています。
https://www.amnesty.or.jp/


ICCイスラエルの戦争犯罪捜査
 12月20日、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のベンソーダ主任検察官は イスラエルに占領されているパレスチナ自治区のヨルダン川西岸とガザでの戦争犯罪の容疑について、 正式捜査を始める考えを明らかにしました。2015年から予備調査は始められていました。

検察局は予備調査の結果、ヨルダン川西岸とガザで、イスラエルにより戦争犯罪が行なわれたと判断しました。 パレスチナがICCにイスラエルによる戦争犯罪の訴追を求めていたものです。 しかし、検察局はパレスチナが独立国家であると認められるか、ICCの管轄権が及ぶ地域かの判断を裁判部に求めました。 イスラエルはパレスチナは国家ではないとICCの判断に反発しています。




難民支援は人道支援
 フランス・グルノーブルの裁判所は、難民を支援して有罪判決を受けていた 山岳ガイド、ピエール・マンベールさんの控訴審で、無罪の判決を言い渡した。
マンベールさんは、アルプス山中で難民に熱いお茶と温かい衣服を提供して、 不法入国ほう助などの罪に問われ、一審では執行猶予3カ月の有罪判決を受けていた。 (昨年1月、マンベールさんは、イタリアとの国境に近いブリアンソン郡にある町モンジュネーヴルで、 ナイジェリア人の男女2名、カメルーン人男性1人、ギニア人男性1人に温かい衣服と熱いお茶を提供した)

難民を支援したことで多くの人びとが、当局から嫌がらせ、脅しを受けたり逮捕・起訴されたりしている。 マンベールさんもその一人だが、幸いにして無罪となった。 (イタリアから冬のアルプスを越えてフランスに入るのは、雪深い山岳地帯で道に迷ったり 命を落とすなどのリスクと背中合わせだ。そうした危険を冒して入国した人びとを 支援するボランティアたちがいる。彼らは、定期的に雪道を巡回し、庇護希望者に手を差し伸べる)

 法廷が今回、こうした法律の乱用を明確に指摘して無罪判決を出したことは、画期的であり、 支援活動をする人びとへの大きな励みでもある。判決は、良識の勝利であり、 何の罪も犯していない善人の勝利でもある。
この判決が出されたからには、フランスとイタリアの国境で、 支え合いの精神で行動して犯罪者扱いされている他の人たちも、処罰ではなく賞賛の対象となることを望みたい。
* 米国では同様の罪に問われていたアリゾナ州の人道支援ボランティア、スコット・ウオレンさんが、 先日、無罪判決を受けた。

2019年11月21日 国際事務局発表ニュース




香港警察のデモ弾圧
 香港理工大学での警察と抗議する学生との衝突は、かつてない激しさを増し、 見物人らかも負傷者を出すなど、深刻な事態になっている。
大学を包囲する警察は、退去する学生に催涙ガスやゴム弾を使用するなど、 強硬姿勢を強め、学生の怒りに油を注いでいる。 ひっ迫した事態を打開する責任は、警察側にある。しかし、 警察は、学内の負傷者の手当てをせず、けが人の対応にあたる医療ボランティアを 拘束するなど違法な対応を取っている。 今、求められるのは、冷静で人道的な対応である。 にもかかわらず、当局はデモ参加者を殴打し催涙ガスを使い、 あまつさえ、実弾の使用をちらつかせている。

 11月18日の早朝、警察の広報官は、「殺傷力のある武器を警官に使う抗議者には、 実弾で対処する用意がある」と警告する動画をフェイスブックに投稿した。 報道によれば、その後警察は威嚇射撃を行っている。 ここ数カ月間、香港警察は、大方は平和的だったデモ隊に対して過剰な力を行使してきた。 この強硬姿勢こそが、事態の悪化の背景にある。
実弾使用という警告は、当局がさらなる強硬策に出るおそれがあるということであり、 香港の街角で悲劇が起きる可能性が高まっているということだ。

2019年11月18日 国際事務局発表ニュース




同性間の性的関係を犯罪とする韓国軍法の廃止を!
2017年、韓国の軍人23人が合意に基づく同性間の性的関係を理由に起訴されました。 韓国には、同性間の性的関係を処罰する刑法はありませんが、軍刑法では犯罪とみなされています。
この軍刑法の存在は、LGBTIの人びとに対する差別的かつ敵対的な環境を作り出し、 結果的に軍隊内部ではゲイ男性への嫌がらせや暴力、性的暴行が発生しています。 また、性的指向や性自認にかかわらず、歩き方や声の高さなどが「男らしく」なければ、 暴力の対象にされてしまう可能性があります。
韓国では、すべての男性に兵役義務が課せられています。 韓国当局は、すべての軍人が差別やハラスメントのない環境で服務できるよう、 時代遅れで差別的なこの法律を改めるべきです。 同性間の合意に基づく性的関係を犯罪と定めた軍法の条項を廃止するよう、 今すぐ韓国国防部長官に要請してください!
署名サイト https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/kr_201908.html 11月末まで


香港で半世紀ぶり緊急条例発動 徹底弾圧へ
 香港政府は10月4日、公共の場で顔を隠すことを禁止するために、 「緊急状況規制条例」を発動すると発表した。英国植民地時代にできたこの緊急条例の復活で、 行政府は、身柄拘束や表現・集会の自由を規制する強大な権限を得ることになる。
条例に基づき、顔の一部または全面を隠すことを禁止する「覆面禁止法」が、10月5日から施行された。 香港政府は、警察の無用で過剰な力にもひるまなかったデモ参加者を 徹底的に封じ込める新たな作戦に出た。
そもそも抗議する市民がマスクを着用せざるを得ない状況を作り出したのは、政府だった。 恣意的逮捕や監視、催涙ガスなどによる無差別攻撃から身を守るためだ。 抗議する人たちにとって、マスクの禁止は、厄介な問題となる。 違反すると、1年以下の刑を受ける。医療目的や宗教上の理由で顔を覆うのは、例外とされる。
 10月1日の抗議では、高校生に実弾が発砲され、催涙ガス1400発以上、ゴム弾約900発が発射された。 この日以来、抗議する市民は香港各地で連日、怒りの声を上げてきた。 今回、香港政府は、市民との融和ではなく、強大な権限の発動による抑圧を選択、 平和的集会の自由への不寛容さの拡大を鮮明にした。
アムネスティは香港政府に対して、表現の自由を尊重し、抗議の声を封殺するために 過剰で強権的な手段を取らないよう、繰り返し求めていく。 デモの規制強化に、緊急事態のための特別法を使うなど、あってはならない。

2019年10月4日 アムネスティ国際ニュース



日本の入管施設で長期収容に抗議のハンスト198人
 非正規移民や庇護希望者らを収容する日本の入管施設で、過去4カ月間で延べ198人が 長期に渡る無期限の収容および施設における処遇に抗議するハンガーストライキに参加した。 9月25日現在、36人は依然としてハンガーストライキを行っている。
多くの非正規移民や庇護希望者が収容されており、その多くの収容期間は1年以上に渡っている。 法務省・出入国在留管理庁によると、収容されている人たちのうち、今年6月末時点で 退去強制令を受けている人が1,147人、うち858人が国外への送還を拒否していた。 この中には、難民認定申請が不認定となった人や、退去強制令を受けた後に難民認定申請をした人もいる。 5月8日現在、東京入国管理局に収容されている465人のうち179人が庇護を求めて難民認定に関わる手続き中だった。

 国連人種差別撤廃委員会は、日本政府に対して、すべての難民認定申請への十分な配慮、 移民の収容期間の上限設置、収容以外の代替措置を優先する努力を求める勧告をした。
 今年の5月、全国の入管施設で長期収容に抗議して自然発生的に被収容者によるハンストが始まった。 6月24日に、長崎の大村入国管理センターに収容されていた ナイジェリア人男性の死亡を受け、ハンスト参加者は増え続けた。 10月1日、出入国在留管理庁は、そのナイジェリア人男性はハンストの結果死亡したとする報告を公表した。

 入国管理上のいかなる収容も、その目的を達成する上で、法に則り、必要かつ相当なものでなければならない。 国は入国管理上の収容の必要性と相当性を検討する際、個々人の状況も考慮に入れるべきである。
日本の出入国管理及び難民認定法上、非正規在留者の収容は、一時的に、送還が可能になるまでの期間、 かつ、逃亡するおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるときに限られる。
入国管理上の収容は、すでに送還の手続きが開始されており、かつその手続きが進行中であり、 かつ短期間で実行されるという妥当な見込みがあるときに限り正当化され、 その手続きを直ちに実行するために必要な数時間に限られる。 ここでいう送還の手続きとは、バス、船や飛行機による移民の物理的な国外への移送である。 しかし、東京弁護士会によると、日本政府は、退去強制令を受けたすべての外国人を、 その必要性を個別に評価することなく収容できるとする「全件収容主義」を採っている。
また、出入国管理及び難民認定法の第52条第5項において、「(国外への)送還可能のときまで」 収容が可能と定められているため、退去強制令を受けた非正規滞在者の法律上無期限の収容が 可能となっていると東京弁護士会は指摘する。そのため、運用上、送還の目途が立たない 非正規移民や難民認定申請者を何年も収容することが可能なのだ。
国内法に定めのない、または国際人権基準に沿わない目的や手続きで拘束する行為は、 恣意的拘禁であり、日本に対しても法的拘束力のある市民的政治的権利に関する 国際規約第9条などの国際法に違反する。

 6月にナイジェリア人男性が亡くなった数日後、同じくハンスト中のイラン人4人が、2週間の仮放免許可を得た。 東京入国管理局は7月22日、4人中2人に対し、仮放免期間の延長を認めず、再収容した。 こうした行為は、表現の自由の権利の侵害であり、国際人権法や国際人権基準が禁止する残虐な、 非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いや刑罰に相当しかねない。
アムネスティは、このような手段を用いて被収容者のハンストをやめるよう強要することに反対する。 庇護希望者・移民に対する自由の制限は、その制限が法に則り、必要かつ適切な範囲であることが大前提である。 入管庁は、短期間の仮放免後の再収容をやめるべきである。 こうした措置は、すでに長期に収容されてきた者に、さらなる精神的なダメージを与えかねない。

背景情報
アムネスティは、日本での難民認定件数が極めて少ないことへの懸念を示してきた。 先の国連人種差別撤廃委員会も、同様の懸念を表明している。 今年3月の法務省の発表によれば、昨年、難民申請件数10,493件のうち難民として認められたのはわずか42件だった。

2019年10月4日 アムネスティ国際ニュース


拡大する世界の武器取引
  
 武器貿易条約(ATT)が発効してほぼ5年が経過するが、世界の武器貿易はいまだに拡大傾向にある。 各国首脳がジュネーブに会し、ATTを議論するこの機会をとらえ、各国に対し、 取り組むべき課題がまだあることを再認識させる必要がある。
武器貿易条約は、アムネスティなどのNGOが連携した国際キャンペーン 「コントロール・アームズ」による20年以上にもわたる取り組みから議論が開始され、 2013年4月の国連総会で成立、2014年12月に発効した。
ATTは、武器や弾薬などが、ジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪、戦争犯罪に使用される、 あるいは助長することが明らかな場合に、国家間の武器移転を禁じる国際条約だ。 予測される武器輸出が、国際人権法や国際人道法の重大な違反を助長するリスクがどれだけあるのか、 その分析と評価が毎年、行われている。
しかし、主要締約国の多くは、武器取引規制を守ると言いながら、 重大な人権侵害に関わる国への武器売却を続けてきた。 以下に紹介する武器輸出入をめぐる数字や状況は、救いようのない事実を突きつける。 数字は、ストックホルム国際平和研究所、スモール・アームズ・サーベイ、 ウプサラ紛争データプログラムの各団体が収集したデータに基づく。
・世界の武器関連金額
 2017年の世界の武器貿易総額は、少なくとも950億ドル(約10兆円)。
軍需関連企業の上位100社で、3,982憶ドル(約42兆円)の売上を記録。
2018年の米国の軍事費は、世界全体の36%を占める。
・主要な通常兵器の輸出入
 米国は、武器輸出国として突出する。主な輸出先はサウジアラビアで、 2014年から2018年までの5年間では、総輸出量の22%を占める。
2003年以降、世界の輸出量は毎年着実に増加し、冷戦終結後、最高水準に達した。 2014年から5年間の武器輸出上位5カ国は、米国、ロシア、フランス、ドイツ、中国。 5カ国の総輸出量は、世界全体の75%を占める。
同期間の武器輸入国は、上位からサウジアラビア、インド、エジプト、 オーストラリア、アルジェリアである。5カ国の輸入総量は、世界全体の35%を占めた。
・輸出上位5カ国
 国別輸出先(調査期間は2014/2018年。括弧内の数字は総輸出量に占める割合)
米国:サウジアラビア(22%)、オーストラリア(7.7%)、アラブ首長国連邦(6.7%)
ロシア:インド(27%)、中国(14%)、アルジェリア(14%)
フランス:エジプト(28%)、インド(9.8%)、サウジアラビア(7.4%)
ドイツ:韓国(19%)、ギリシャ(10%)、イスラエル(8.3%)
中国:パキスタン(37%)、バングラデシュ(16%)、アルジェリア(11%)
・中東への武器移転(2014/2018年)
 その前の5年に比べ87%増加。
米国の総輸出の半分以上は中東向け。
英国は59%。その大部分は、サウジアラビアとオマーン向けの戦闘機。
・サウジアラビアとイエメン
 2014/2018年は、サウジアラビアが世界最大の輸入国で、米国と英国からの輸入が圧倒的だった。 サウジアラビアの武器輸入は、2013/2017年で225%拡大。
2014/2018年、サウジアラビアは、米国から戦車338両、オーストラリア、カナダ、フランス、 ジョージア、南アフリカ、トルコの6カ国から装甲車など4千両以上を輸入した。
・小型武器と軽兵器
 世界には10億丁を超える銃が出回り、その大部分を市民が所有する。 市民100人当たり、米国ではおよそ21丁を所持する。イエメンでは53丁、 モンテネグロとセルビアで39丁、カナダとウルグアイで35丁だ。
2017年、ベネズエラとエルサルバドルでは、銃による死亡率が世界で最も高かった。 今後50年以内に軍用ライフル、カービン銃、ピストル、軽・重機関銃の生産が、 世界で3,600万から4,600万丁に達するとみられる。
・人的損失
 この10年間の武力紛争での死者は、2,436,351人だった。昨年1年では、77,320人だった。 2017年、世界中で銃による犠牲者が急増し、およそ589,000人の死者を出した。 特に中南米とカリブ海の国々で顕著で、深刻な社会問題化した。

2019年8月23日 アムネスティ国際ニュース



アマゾンを襲う大規模火災 政府の責任
  
 アマゾンの熱帯雨林でこの数週間、大規模火災が発生していることが報じられた。 森林火災を止める責任がボルソナロ政権にあることは明白であり、同政権は、真正面から消火対策に取り組むべきである。 そして、今日のアマゾンの危機を引き起こした熱帯雨林の開発政策を変えなければならない。

年初、アムネスティは、今回特に火災が大規模なロンドニア州を含むアマゾンの先住民族の 居住地周辺で起こった伐採や侵入、放火などの違法行為の実態を調査し、報告した。 調査地域の森林破壊は、昨年の同時期に比べ2倍のスピードで進んでいる。
アマゾンから数千キロ離れたサンパウロの街でも、森林火災から立ち上る煙で空が覆われ、日中でも薄暗い。 森林破壊は、違法な森の侵入者により引き起こされている。 彼らは、木々を伐採し、火をつけて山火事を起こし、先住民族の村を襲撃する。

 事態の深刻化にも関わらず、ボルソナロ大統領は、熱帯雨林の保護規制を緩め、 100万人もの先住民族の権利を侵害している。また、火災の原因はNGOにあるなどとも非難している。 言語道断の嘘を拡散したり、森林火災の規模を矮小化するのではなく、 火災の拡大を止める行動を直ちに起こすべきである。
これは、先住民族の人びとが、安全で健康的な環境で生活する権利を守る上で、不可欠である。 さらに、大気汚染が地域・国境を越えることを考えると、ブラジルの全市民や 近隣諸国の人びとの健康の権利を守る義務がある。
そして、アマゾンを守るために何ができるのかを考える国々にとっては、 先住民族の人権保護に向け取り組むことが、さらなる森林破壊を防ぐ鍵となる。 私たちは、アマゾンの先住民族の人びとやリーダーたちのために、共に立ち上がらなければならない。 彼らにとって、アマゾンは「地球の肺」であるだけではない。生きる場所なのである。

2019年8月22日 アムネスティ国際ニュース



国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』「表現の不自由展・その後」
  〜表現の自由と歴史的事実否定の公人発言に政府は措置を〜
 開催三日で中止に追い込まれた国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画展「表現の不自由展・その後」は、 いまだ再開の見通しがたっていない。アムネスティ・インターナショナル日本は、 公人による発言や匿名の脅迫者による圧力によって市民の表現の自由が侵害され続けていることに、 あらためて深刻な懸念を表明する。

 今回の企画展では、特に「平和の碑(平和の少女像)」が、攻撃の対象となっている。 この「平和の碑」は、日本軍性奴隷制(日本軍「慰安婦」制度)の被害を受けた少女たちをモチーフとし、 戦時性暴力の被害女性たちの歴史と人権をテーマに作成された芸術作品であり、 日本軍性奴隷制の国際法上の責任を問う象徴として世界各地に設置されているものである。

今回、政治的圧力をかけた複数の公人が、「平和の碑」について「日本人の心を踏みにじるもの」、 「我々の先祖がけだもの的に取り扱われるような展示物」などと発言している。 8月3日に企画展の中止が発表された後も、大阪府知事が「平和の碑」を含む展示内容について、 「反日プロパガンダ」であり愛知県知事は辞職相当だとの発言を行うなど、 公人による「平和の碑」を攻撃する発言が続いている。
こうした状況の中で、 芸術祭実行委員会には脅迫メールが770通も届いており、愛知県が警察に被害届を出したことが報じられた。 さらに、『あいちトリエンナーレ』芸術監督を招き18日に開催予定だった別のシンポジウムも中止に追い込まれた。
これらの公人の発言は、日本軍性奴隷制について、その歴史的事実のみならず、 人権侵害に対する国家責任や被害者の尊厳などをも否定する言動である。 これまでにも、こうした言動が公人によって繰り返されてきたため、 国際的な人権条約機関は、日本軍性奴隷制の被害者たちが再被害を受けているとの懸念を表明するとともに、 「被害者を侮辱し又は事件を否定するあらゆる試みの糾弾」を日本政府は行うべきであり、 そのために効果的な立法や行政上の措置を直ちにとるべきである、と日本政府に対して勧告している (自由権規約委員会の2014年日本政府報告書審査総括所見など)。

日本政府は、「平和の碑」の展示を攻撃する今回の公人の言動に対して、 これを是認することなく公式に反駁し、日本軍性奴隷制の被害者の尊厳を傷つける発言をくい止めるための 具体的な措置を取らねばならない。

 「表現の不自由展・その後」中止から2週間がたった。 企画展の実行委員会は展示再開を求め続けており、『あいちトリエンナーレ』の他の展示作品の作者からは、 企画展の出品作家に対する連帯と展示中止に対する抗議の意を表すとして、展示の一時中止等が相次いでいる。 企画展の再開を求める市民の署名活動も行われている。

 アムネスティ日本は、「表現の不自由展・その後」における表現の自由の侵害を助長した 複数の公人の言動にあらためて強く抗議するとともに、日本政府に対して、同展が再開できる環境を早期に 整えるために必要な具体的措置をただちに取ることで、表現の自由を保障する政府の責任を果たすよう強く求める。

                        以上
2019年8月21日 日本支部声明



国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の中止
    〜表現の自由の侵害〜
日本支部声明

 国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』の企画として8月1日より開催されていた 「表現の不自由展・その後」が、数々の政治的な圧力や匿名の脅迫行為などの攻撃によって中止に追い込まれた。 アムネスティ・インターナショナル日本は、公人による発言や匿名の脅迫者による圧力によって 市民の表現の自由が侵害されたことに深刻な懸念を表明する。

 この企画展における展示に「慰安婦」問題や天皇制などを題材とした作品が含まれていることが明らかになると、 それらの展示を問題視する発言がインターネット上に現れた。
8月2日には、菅官房長官と柴山文科大臣が同展を問題視して、芸術祭に対する補助金支出の見直しに言及した。 河村たかし名古屋市長は同展を視察した上で、展示中止を求める「抗議文」を愛知県知事に提出した。 自民党の国会議員らも展示は政治的プロパガンダであるとの意見を表明した。
あいちトリエンナーレ実行委員会事務局には、メールや電話で多数の抗議が寄せられ、 中にはテロ予告や脅迫もあったとされる。
こうした状況下で、実行委員長の大村秀章知事と津田大介芸術監督は、8月3日に同展の中止を発表した。

 自由権規約(国際連合 市民的及び政治的権利に関する国際規約:日本は1979年に批准)第19条は、 締約国に対して、表現の自由の権利を保障すべき法的義務を課しており、 特に公人は、表現の自由を保障し尊重する法的義務を負っている。 しかし、官房長官、大臣、国会議員、市長らの今回の言動は、この法的義務に違反して 同展中止に政治的圧力をかけるものであり、同展企画者および出展者の表現の自由を侵害するものである。

 国連自由権規約委員会の一般的意見34(2011年)は、 「締約国は、表現の自由についての権利を行使する人々を封じることを目的とした 攻撃に対し有効な措置を講じなければならない」と述べており、 日本政府には、同展への攻撃に対して、関係者の安全を保障し、脅迫行為については捜査を行うなど、 表現の自由を守るための具体的かつ有効な措置を取る責任がある。
日本政府は、「表現の不自由展・その後」に向けられた脅迫や攻撃に対して、 同展関係者および『あいちトリエンナーレ』全体の安全を保障し、 表現の自由を守るために具体的な措置を講じるべきである。 「表現の不自由展・その後」が中止に追い込まれて以来、実行委員会メンバーや、 同展参加者を含む『あいちトリエンナーレ』参加アーティストらから、 同展の再開や安全の確保を求める声が上がっている。

 アムネスティ日本は、「表現の不自由展・その後」における表現の自由の侵害を 助長した複数の公人の言動に強く抗議するとともに、日本政府に対して、 同展が再開できる環境を早期に整えるために必要な具体的措置をただちに取り、 表現の自由を守るための有効な措置を取る責任を果たすよう強く求める。

                               以上
2019年8月8日 日本支部声明



ロマの人びとの居住権
 欧州社会権委員会は、イタリア政府に対してロマの人びとの居住権を 保護する措置を早急に取るよう要請した。
ロマの人びとは現代社会にいながら、長らく、社会から疎外され、 劣悪な生活環境に置かれ、日常的な差別を受けてきた。

 アムネスティは 今年3月、同委員会に対して、ロマの人びとが悲惨な居住環境に 置かれている問題について申し立てていた。 アムネスティは、委員会のこの対応を歓迎するとともに、イタリア政府には、委員会の要請を受け入れ、 ロマの人びとに対する家屋破壊や強制立ち退きの即時執行停止を強く求める。
保護措置を蔑ろにしたこれらの対応は、欧州社会憲章違反にあたる。 何よりも、ロマの人びとを強制的に排除し、適切な代替え家屋を提供しないのは、許されない。 委員会は、団体として初めてアムネスティの申し立てを受理したばかりか、 イタリア政府に対して、差別や暴力などの排除を求めるという思い切った対応を取ったのは、大変意義深い。

 強制退去が違法であるにもかかわらず、イタリアは、ロマを強制的に排除し続け、 ロマ社会全体をホームレスにしてしまった。 欧州社会権委員会の要請が、イタリアの恥ずべき慣行に終止符を打つことを期待したい。

2019年7月5日 アムネスティ国際ニュース



移民収容所空爆は戦争犯罪のおそれ
 首都トリポリ東部のタジュラにある入国管理収容施設が7月2日夜、空爆を受け、 少なくとも40人が死亡し、80人以上が負傷した。死者は、さらに増えるおそれがある。 国際刑事裁判所は、この事態を早急に調査するよう命じるべきだ。

施設には、難民や移民600人以上が収容されているが、出入り口は施錠されているため、 自力で脱出できない。このことは、紛争当事者たちに周知のことであり、 今回の攻撃は戦争犯罪にあたるおそれがある。
残忍な攻撃は、欧州とリビアによる冷淡な移民政策が生み出したものといえる。 両者が、欧州への難民・移民の流入を食い止めるために結託したことで、 数千人もの人びとが地中海からリビア国内の収容施設に送られてきた。

 首都トリポリの奪還を目指す反政府武装組織「リビア国民軍」と 国際的に承認されている国民合意政府との間で戦闘が続いてきたが、 今回の死者数は、これまでの戦闘による市民死者数の2倍にのぼる。 犠牲者のほとんどは、自国の紛争や迫害、貧困を逃れて欧州を目指したが、 紛争下にある施設に収容されてしまった難民や移民だ。 同様に危険な他の収容施設に入れられている人びとを、直ちに安全な場所に移動させるべきだ。

アムネスティが7月3日に接触した移民・難民の話では、最初に施設付近が空爆を受け、 その直後の攻撃で、男性収容棟が直撃を受けた。 撮影された写真には、爆弾でできたと思われる直径数メートルにわたり陥没した地面が写っていた。 空爆後、300人ほどが欧州を目指したが、地中海で追い返され、 リビアにもどり、タジュラで路上生活を送っている。

攻撃を加えたのはどちらの陣営なのか、今後の調査が待たれるが、複数のメディアによると、 リビア国民軍が最近、F16戦闘機を入手したという。F16並みの戦闘機であれば、 夜間の空爆も、この大きさの陥没ができる爆弾を落とすことも可能だ。 アムネスティはこれまで、紛争当事者たちに、移民・難民が戦闘に巻き込まないように、 彼らの安全な場所への移動を繰り返し要請してきた。

タジュラの収容施設の敷地内には、武器庫があり、 5月初旬、施設から100メートルほどのところにあった軍車両が空爆を受けた。 これを受け、アムネスティは当局に対して、施設内の移民・難民の命を危険にさらしていると警告していた。 国連難民高等弁務官事務所は、彼らを大至急移動するように求めた。
国際人道法は、紛争の全当事者に、民間人の被害を最小限にするため、 攻撃中止を含む最大限の対応を義務付けている。 たとえ攻撃目標が兵站施設であったとしても、近隣に住民が大勢いる場合は違法となる。 紛争当事者たちは、民間人から犠牲者を出さないために攻撃目標の変更を含む措置を取らなければならない。
アムネスティの調査で、収容施設にいる人びとの中には、 タジュラの軍事施設で強制的に働かされている人たちがいることがわかったが、これも国際法違反である。
 今回、難民・移民が攻撃を受け犠牲者を出した事態を受け、欧州連合(EU)は、 難民をリビアに委託する合意を停止すべきだ。 EUは今こそ、難民・移民が置かれている非人道的な状況に目を向け、 彼らの安全確保のために再定住地を提供すべきである。 また、彼らがリビア国外に逃れる安全なルートを即刻、確保するとともに、 地中海で救助された人びとをリビアに送ってはならない。

 アムネスティはこれまで、国連によるリビアへの武器禁輸措置が守られていないことが、 トリポリの紛争を激化させ、戦争犯罪など人権侵害を助長していると警告してきた。 その結果、リビア市民10万人以上が、国外に脱出している。

2019年7月3日 アムネスティ国際ニュース



イスラエル入植地の観光案内掲載
 ネット上で民泊情報を提供するエアビーアンドビー社は4月9日、ヨルダン川西岸地区の イスラエル入植地にある宿泊施設の掲載をめぐり、一旦は削除するとした方針を転換し、 掲載を続行すると発表した。

 過去50年以上にわたるイスラエルによる入植で、数千ものパレスチナ人が自宅を追われ、 生計手段や資源を奪われてきた。この入植は、ジュネーブ諸条約違反であり、 国際刑事裁判所ローマ規定が定める戦争犯罪に当たる。
アムネスティをはじめとする人権団体は、入植地の宿泊施設の掲載は、 人権侵害に加担していることだと繰り返し指摘してきた。
 同社は昨年11月、入植地の宿泊施設の掲載を削除するとしたが、 この決定を不当とする集団訴訟がイスラエルで起こされ、掲載削除の方針を撤回した。 人権擁護で業界の先鞭をつける機会を放棄する一方で、宿泊施設の掲載で得た収益を 慈善団体に寄付すると発表した。罪滅ぼしのつもりだろうが、 掲載による観光客の呼び込みが人権侵害への加担であり、 入植地の経済を後押しするという事実は、なんら変わらない。
国際人道法、国際人権法を尊重すべき企業による責任放棄は、恥ずかしい限りであり、 人権尊重を標榜するという同社の言葉が、空しい。
この方針転換は、企業には人権を尊重する上で大きな決断は期待できないということである。 各国は、法的措置で企業にその義務を果たさせるしかない。

2019年4月10日 アムネスティ国際ニュース



ブルネイの残虐な刑罰
 同性間の性行為には石打ちの死刑、強盗には手足切断などという極めて残虐な刑罰が、 ブルネイで4月3日から施行される。
石打ちと手足の切断は、とりわけ残虐で非人道的、品位をおとしめる刑罰だが、 新条項には、他にも凄まじい刑罰がいくつも盛り込まれている。
同国は、直ちにこれらの刑罰の導入計画を反故にし、国際人権法に沿った内容に改めるべきである。 また国際社会は、ブルネイに対してこの改正法の実施を強く非難しなければならない。

新たな刑罰はシャリア刑法で未施行だった条項で規定されており、 検事総長のウェブサイトによれば4月から適用されることになっている。 新たな刑罰の対象となる行為には、同意のもとでの成人同性間の性行為などのように、 そもそも罪にはならない行為も含まれている。
同国の刑法には、人権侵害にあたる多数の規定が含まれており、重大な問題をはらむ。 表現、宗教、信条の自由の権利のあからさまな制限や女性差別も看過できない。

背景情報

 ブルネイは、拷問等禁止条約(拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰を禁止する条約)に 署名はしたが、批准はしていない。また、2014年の同条約機関による審査での勧告を、ことごとく退けている。
国際人権法は、石打ち、四肢切断、むち打ちなどすべての身体刑は、 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける刑罰にあたるとして、いかなる状況でも禁止している。 さらに、この禁止は、慣習国際法の基本原則として捉えられているため、当該の条約の批准国か否かを問わず、 すべての国が、この禁止規定に拘束される。国際法の下では、いかなる拷問も犯罪である。
ブルネイは、死刑を存置するが事実上、廃止している。最後の死刑判決は2017年に下され、罪は薬物犯罪だった。

2019年3月27日 アムネスティ国際ニュース



イスラエルの占領地への入植は戦争犯罪
  〜占領地は観光地じゃない!〜
 イスラエルが占領するパレスチナへのイスラエル人の入植は、国際人道法に違反し、戦争犯罪にあたる。 入植地はパレスチナ人から奪った土地であり、入植者によるパレスチナ人への度重なる攻撃も報告されている。

違法な入植地で利益を得ているのが、旅行サイトだ。大手旅行サイト4社、エアビーアンドビー(米国)、 Booking.com(オランダ)、エクスペディア(米国)、トリップアドバイザー(米国)は、 入植地にあるホテルや観光スポットを紹介し、観光客を送り込み、パレスチナ人に対する人権侵害を 助長する結果となっている。

アムネスティは、4社による入植地の施設案内やイスラエルの人権侵害について、 現地での聞き取りを含む調査を実施し、報告書にまとめた。
アムネスティの調査員は昨年2月から10月にかけて、ヨルダン西岸の被占領パレスチナ地区にある 4つのパレスチナの村と東エルサレムのシルワン地区、ヘブロンのパレスチナ人居住区に入った。 いずれの取材地も、その近くにはイスラエル入植者が運営する観光名所がある。

入植地での事業を宣伝

 アムネスティの調べでは、入植地の宿泊施設や観光スポットの各社掲載件数は、エアビーアンドビー300件以上、 トリップアドバイザー70件以上、Booking.com 45件、エクスペディア9件だった(いずれも調査時点)。 それぞれが、ホテルや観光地をつぶさに紹介するが、その観光地がイスラエルによる入植地にあることを 説明する文言は載せていない。
近年、イスラエルは、観光産業の育成に多額の資金を投じてきた。 観光客を呼び込むことで、パレスチナの土地への入植を既成事実化し、正当化している。 また、ユダヤ人と地域との歴史的つながりをアピールするために、 あえて遺跡近くにイスラエル人を入植させてきた。 さらに入植者には、パレスチナの土地や資源を活用するよう働きかけた。
そして、旅行サイトは、入植地周辺の自然保護区や遊歩道、砂漠のサファリにウェブサイト訪問者をいざなう。 その結果、入植地の観光客は、非日常体験を楽しむ一方で、 地元のパレスチナ人は、日常的に人権侵害に直面するという、異様な事態が現れている。

人権侵害からの利益

 エルサレムの北40キロほどにあるシロに近い2つのパレスチナの村は、 1990年代後半以降で5,500ヘクタール(55平方キロメートル)を超える土地を失った。 多くのパレスチナ人が村を去り、わずかに残った人たちは、入植者からしばしば攻撃を受けている。 4社とも、シロの観光施設を掲載するが、同地が入植地であることを説明するのは、Booking.comだけだ。

ベドウィンも観光開発で住み慣れた土地を追われ、生活の糧を失っている。 その地域に近い砂漠での体験は旅行サイトで「砂漠の静けさと心温まるイスラエルのおもてなし」などと紹介され、 1泊235米ドル(約26,000円)で販売されている。 古代遺跡で知られるスシャでも入植が進み、多くの村人が土地を奪われてきた。 遺跡は、周辺のオリーブ畑、ワイナリー、ブドウ畑などとともに エアビーアンドビーとトリップアドバイザーで写真付きで紹介されている。

イスラエルは、パレスチナ人の土地を観光地に仕立て、拡大のためにさらに土地を奪っているが、 その恩恵にあずかるのは、入植者と彼らと事業を行っている旅行サイト企業だけだ。
4社は、イスラエルの人権侵害を直視し、違法な入植地にあるホテルや観光地の紹介を 自社サイトから削除すべきである。「共有と相互信頼」をうたい文句にする4社が、人権侵害の片棒を担いではならない。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、企業には、国際人道法および人権法を尊重する責任がある。 4社は、被占領パレスチナ地域のホテルや観光地の案内をすべて削除しない限り、 国際法に違反し自社の企業理念にも反する事態が続く。

 アムネスティは、調査報告書を公表するにあたり、4社には事前に調査結果を伝え、意見を求めた。 Booking.comとエクスペディアからは回答があったが、他の2社からは無回答だった。 届いた回答は、報告書の巻末に掲載している。

入植地生産物の輸入規制を

 入植地が利益を生む構図は、観光業だけではない。 入植地で生産された農産物や製品が海外に輸出され、数百億円もの収益を生んでいる。 アムネスティは、これらの生産物についても、各国政府と関係企業に対し、取り扱い禁止を求めている。

2019年1月30日 アムネスティ国際ニュース



イスラエル軍の行為は戦争犯罪
 
  国連調査委員会は1月28日、昨年のガザでの抗議行動で、パレスチナ市民を銃撃するなどの イスラエル軍の行為は、戦争犯罪にあたる可能性があるとする報告書を発表した。 この調査報告は、アムネスティの見方と一致する。
イスラエルの建国により土地を追われたパレスチナ難民数百万人の帰還する権利を求める、 昨年の「帰還大行進」のデモでは、イスラエル軍が多数の市民を殺害したが、 アムネスティはこの殺害を戦争犯罪にあたるとみていた。

報告書は、イスラエル軍が、パレスチナの子どもや医療従事者、ジャーナリスト、障がい者と 認識しながら発砲したと指摘し、国際人道法をないがしろにした残酷で無慈悲な行動であるとしている。
ガザでは、6,000を超える人びとが銃撃で負傷し、すでに疲弊したその医療体制は、 さらに大きな負担を強いられた。負傷者の多くが、治療のためにガザの外に出ることを認められなかった。

国連は勧告に従い、国内の司法機関や国際刑事裁判所などの国際的な司法機関へ渡すことを念頭に、 戦争犯罪の加害者に関わる情報を収集しなければならない。 加害者が、罰せられないままであってはならない。
国連の報告を機に、被占領パレスチナ地域でのイスラエル軍による戦争犯罪の犠牲者に 正義の道を切り開き、犯罪と不処罰の長きにわたる連鎖を断ち切らなければならない。

2019年2月28日 アムネスティ国際ニュース



同意のない性行為は強かんではないのか?
 
 欧州各国では、同意のない性行為は強かんではないとする旧態依然とした法律が、いまだまかり通っている。 その結果、加害者の罪は問われず、逆に被害者が非難されるという風潮が続いている。

 11月24日の女性に対する暴力撤廃の国際デーを前に、アムネスティは、31カ国の強かん関連の法律を調査した。 その結果、31カ国のうち8カ国のみが、同意がない性行為を強かんとして処罰の対象としているが、 大多数の国は、身体的暴力や脅しなどにもとづく場合のみを強かんと定めている。
#MeToo(SNSで「私も」と呼びかける運動)に触発される形で、多数の女性が、 封印していた自分たちの体験を話すようになった。表沙汰になっていない強かんがいかに多いかを物語る。 意を決して刑事告発しても、時代錯誤の法律の壁にぶつかり、 対応した警察官や検察官らにまともに相手にされずに愕然とする。泣き寝入りするしかないのである。
 
 法律とは、本来、正義を果たし、人びとの行動を変える力を持つ。しかし、各種調査によると、 酔っ払って服装が露わだったり、抵抗がなければ、その相手との性行為は、 強かんではないとする回答者が、相変わらず多い。 相手の同意がない性行為は、れっきとした「強かん」である。 各国が、この単純な事実に向き合った法整備をするまで、強かんの加害者は、世にはびこり続けることになる。
欧州の人権機関の調査では、欧州の女性20人に1人、約900万人が強かんされた体験を持つ。 一方で、アムネスティが欧州31カ国を対象に実施した調査では、 同意のない性行為を強かんと定義する国は、アイルランド、英国、ベルギー、キプロス、 ドイツ、アイスランド、ルクセンブルグ、スウェーデンの8カ国に過ぎない。 他の23カ国は、暴力や脅しなどの強要がなければ、強かんとみなさない。 23カ国の中には、同意なき性行為を強かんと区別してより軽い罪とする国もあり、 暴力が伴うのが強かんだという、間違った認識を助長している。

 法改正は、強かん犯罪に対処する上で不可欠な第一歩だ。しかし、強かんを無くすには、それだけでは不十分だ。 多くの被害者は、社会の偏見や非難にさらされる。その非難の言葉はしばしば、 被害者に手を差し伸べるべき警察や検察官から浴びせられる。

変化の波

 強かんの加害者がはびこり、泣き寝入りするしかなかった社会に変化が起きている。、 欧州全域で性暴力に勇気をもって立ち上がる人たちがいるのだ。 この1年間、欧州各地で女性たちが集い、注目を集めた強かん事件に怒りの声を上げ、 国に対策の強化を訴えてきた。
4月にはスペインで、集団強かん犯5人が有罪になったものの、 より罪の軽い性的虐待だったことに抗議の声が噴出した。
アイルランドでは、17才の女性から強かんを訴えられた加害者の弁護人が、 女性に落ち度があったとして被害女性の下着を陪審員に示した。 これを知った女性たちが、自分の下着姿を#ThisIsNotConsent(これは同意ではない)で投稿した。
強かんは、重大な人権侵害であり、重い犯罪である。 欧州各国は、法を改正し、被害者への批判や当局の女性軽視に、断固立ち向かうべきである。 さもなければ、被害女性が後ろめたい思いをせず、加害者は必ず処罰されると信じられる社会は実現しない。

2018年11月24日 アムネスティ国際ニュース


アウンサンスーチー氏への『良心の大使賞』を取り下げる
  〜人権を擁護する象徴的存在からの離脱〜
 アムネスティ事務総長クミ・ナイドゥは11月11日アウンサンスーチー氏に書簡を送る。
事務総長は書簡の中で、就任して2年半、国軍による虐殺や表現の自由の制限に対して同氏が無関心を装い、 ミャンマーの人権・正義・平等の擁護にその政治的、道徳的権威を行使しなかったことに遺憾の意を表した。

 「アムネスティが、『良心の大使』として貴殿に期待したことは、いかなる不正義に対しても 道徳的権威をふるって声を上げ続けることでした。ところが昨今の貴殿は、 希望と勇気と人権を擁護する象徴的存在では、もはやなくなりました。これは、痛恨の極みです。 よって、アムネスティは、貴殿を良心の大使賞に足る人物と認めることができなくなったと判断し、 誠に遺憾ながら、授与した賞を撤回せていただく次第です」

終わりなき人権侵害

 2016年4月に文民政権の事実上の最高指導者となって以来、アウンサンスーチー氏は、 不作為によりさまざまな人権侵害に加担し、その拡大を助長してきた。 昨年8月下旬から始まった国軍主導のロヒンギャ掃討作戦では、治安部隊が、殺戮、強かん、拷問、 家屋の焼き討ちなど残虐の限りを尽くした。数千人が死亡し、72万人以上が隣国バングラデシュに逃れた。

アムネスティは、アウンサンスーチー氏が、この残虐行為に向き合わないことを繰り返し非難した。 国連も、大量虐殺の捜査と軍幹部の告発を求めた。 文民政権は軍を統制する力を持たないとはえ、アウンサンスーチー氏率いる政府は、 人権侵害の申し立てをはねつけ、国際調査団の受け入れも拒否するなど、軍を責任追及からかばってきた。 それどころか、ロヒンギャへの敵意を積極的に煽り、彼らをテロリスト呼ばわりし、 放火は自作自演で、強かんはでっちあげだと決めつけた。
そんなこともあり、政府系メディアは、ロヒンギャを暗にほのめかしながら 「忌まわしい人間のクズやトゲは、排除せよ」などという記事を書きたて、ロヒンギャへの憎悪を煽った。

 「アウンサンスーチー氏がロヒンギャの人びとのために何もしてこなかったことが、 同氏の『良心の大使賞』を取り下げる理由の一つだ。 政府が、重大で広範囲な残虐行為があったことを認めない限り、 ロヒンギャの人びとの保護を国に期待することはできず、 ロヒンギャの人権状況が改善される目処が立たない」と事務総長は言う。 さらに問題がある。政権が、掃討作戦で国内で避難生活を送る10万人以上の人びとに 人道支援を認めないため、彼らの状況は悪化するばかりだ。

言論の自由を弾圧

 国軍が強大な権力を維持しているとはいえ、文民政権は、人権状況、とりわけ表現の自由や集会の自由など、 改革に取り組める分野もある。しかしこの2年、政権は、人権擁護活動家や国の政策に批判的な記者を投獄したり、 嫌がらせをしたりしてきた。 活動家や記者の弾圧で使われる法律は、民主化運動を推進していたアウンサンスーチー氏自身が当時、 逮捕された時にも適用されたものだが、その種の法律を廃止することもなかった。 それどころか、アウンサンスーチー氏は、軍の虐殺を報じたロイター記者を告発する際、 同様の法律の適用を積極的に支持した。

 アムネスティは2009年、長年、非暴力民主化運動と人権擁護に取り組んできたアウンサンスーチー氏を讃え、 団体の最高の賞である「良心の大使賞」を授与した。その当時、同氏は自宅軟禁中だった。 11月12日は、その軟禁が解かれて丸8年にあたる。 2013年になってようやく賞を受け取れたアウンサンスーチー氏は、 アムネスティに対して「我が国を常に注視し、希望が歴史を彩る国になるよう支援をしてほしい」と要請していた。
アムネスティは、この要請を真摯に受け止め、取り組んできた。今後も同国の人権侵害から目をそらすことはない。 同氏がどうであれ、アムネスティは、ミャンマーの正義と人権のために闘い続ける。

2018年11月12日 アムネスティ国際ニュース



世界死刑廃止デー
今年もまた世界死刑廃止デー(10月10日)を迎えた。
死刑囚は、国際人権法と国際人権基準に沿って、人道と尊厳をもった扱いを受けなければならない。 罪の軽重を問わず、何人も非人道的な扱いは許されない。
しかし現実には、死刑を存置する国の多くで、死刑囚は独房に隔離され、長年の隔離で深刻な疾患を 抱えても満足な治療がままならず、いつ執行されるかもしれないという恐怖の中に置かれている。 このあまりにも過酷な環境に置かないためにも、死刑存置国は、死刑そのものを廃止するべきである。

アムネスティは、長年、死刑囚をめぐる残忍な人権状況を明らかにし、死刑の廃止を訴える活動を続けてきた。 ここでは特に、ベラルーシ、ガーナ、イラン、日本、マレーシアの状況を取り上げる。 これらの国では、非人道的な状況が常態化している。
ベラルーシの死刑執行をめぐる閉鎖性は際立っており、執行情報は一切公開されず、 死刑囚や家族も執行の事前通告を受けない。
ガーナでは、死刑囚はしばしば、長期間、病気の治療を受けることができない。
イランのモハマド・レザ・ハダディさんは、15才で死刑を宣告されてから14年間、 少なくとも6回、執行日を告げられては延期されてきた。精神的拷問ともいえる取り扱いだ。
日本では、松本健次さんが、長期にわたる拘禁による影響で妄想性障がいを患っている。
マレーシアのフー・ユー・ワーさんは、2014年に恩赦の嘆願を提出したが、これまで何の回答も受けていない。

アムネスティの調べでは、昨年の死刑執行は、23カ国で993件あった。 前年2016年の1,032件から4%減、2015年39%減少した。(2015年は1989年以降で最多を記録。) これらの数値には、死刑に関する情報が国家機密扱いである中国の数千件ともいわれる数値は含まれない。 その中国を除けば、ほとんどの死刑執行は、イラン、サウジアラビア、イラク、パキスタンに集中していた。

アムネスティは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、 例外なく死刑に反対する。死刑は、世界人権宣言にうたわれている生きる権利の侵害である。 非人道的で品位を傷つける最も残虐な刑罰である。

2018年10月10日 アムネスティ国際ニュース


ウイグル族など対する弾圧をやめろ
中国は、新疆ウイグル自治区のウイグル族など少数派に対する弾圧をやめ、 推定100万人にのぼる人たちの拘束を解くべきである。
同自治区ではこの1年間、多くがイスラム教徒のウイグル族やカザフ族の住民多数が 「再教育施設」に収容され、教化、同化などを受けてきた。 残された家族は、突然連行された夫あるいは妻や子どもが どこでどういう扱いを受けているのか、知る由もない。 どこかに訴えたくとも、報復を恐れてそれもできない。家族の苦悩は、増すばかりだ。
国際社会は、この事態を静観せず、中国政府に対し、説明責任を果たすように迫るべきである。 アムネスティは、新疆自治区在住の家族や知人が行方不明になったという100人あまりの国外在留者、 さらに再教育施設で過酷な扱いを受けたという元被収容者たちに、聞き取りをした。

大規模な拘束
新疆ウイグル自治区での弾圧が強化されたのは、昨年3月、同自治区に「反過激主義規則」 なるものが適用されたことが契機だった。宗教的あるいは文化的な表現が公私の場を問わずに 「過激主義」と見なされ、「普通でない」あごひげを生やす、ベールやヘッドスカーフを着用する、 イスラム教やウイグルに関する本や記事の所持、定期的な祈り、断食、禁酒などが、摘発の対象となっている。
海外、特にイスラム系の国での勉学、仕事、あるいは国外の人たちとの接触は、疑いの目を向けられ、 老若男女問わず誰もが拘束対象となる。
顔認証ソフトやメールや通話の検閲など、監視の目はいたるところに張り巡らされ、 プライバシー保護の技術を使ったメッセージアプリを使うだけでも、拘束理由になる。
中国当局は、被拘束者を留め置く施設を「教育による転向」のための施設と呼ぶ。 罪を問われ裁判にかけられるわけではないため、弁護士はつかず、異議申し立てもできない。 転向に抵抗すれば、罵声を浴びせられたり、暴行されたり、食事を与えらなかったり、 個室に閉じ込められたりするという。いつ「転向」できたかの判断が当局次第のため、 被収容者には、先が見えない日々が何カ月も続く。
中国当局は、テロ対策や治安確保のため非常手段もやむなしとするが、 その手段は、特定の脅威を念頭に、極力、対象者を絞った限定的なものでなければならない。 ところが、収容施設は、洗脳、拷問、処罰の場と化している。

引き裂かれる家族
新疆ウイグル自治区の家族の誰かが連行されると、国外在留者は、当初は事態の悪化を怖れて口外することをためらう。 しかし、改善が一向に見えないため、進んで口を開くようになっている。
ある男性は、隣国カザフスタンに短期間滞在後、帰国した昨年10月、二重国籍を保持したなどとして拘束され、 5カ月近く施設に入れられた。 拘束当初、目隠しをされ、体を器具で固定され、半日以上も身動きできなかった。 6,000人ほどもいた被収容者全員で、中国共産党の歌や習近平氏賞賛の言葉を唱和させられた。 私語は許されず、孤独と虐待の日々で、自殺への思いもよぎったという。

当局は国外在留者が、過激な宗教思想やテロ活動に関係するとみられる 国外の組織とつながっていると批判する。 そのため、新疆ウイグル自治区にいる家族は、余計な疑いを持たれないように 国外にいる家族や親戚、友人などとの 連絡をすべて断ち切っているという。電話はもちろん、SNSも使わない。 その結果、連絡が絶たれた国外の人たちの不安は、尋常ではない。 また、両親が施設送りになると、残された子どもは、経済的にも追い詰められる。 そのため、子どもが大きければ、国営の職業訓練所に入れられ、 小さければ、昨年建設された福祉施設に収容される。

スパイ行為を迫られる
国外在住者をさらに追い詰めるのが、治安当局から働きかけられるスパイ行為だ。 色よい返事をすれば、故郷の家族には寛大な措置が保証されるが、拒否でもしようものなら、 「故郷の家族を拘束するぞ」と脅される。
さらにスパイの存在は、国外在留社会全体に猜疑心を広めることになり、 孤立感や恐怖心に拍車をかける。 このように、中国当局は、国を挙げての弾圧により、 新疆ウイグル自治区の住民数百万を深刻な状況に追い込んでいる。 当局は、収容施設の実態を明らかにし、収容されている人たちを家族の元に、速やかに送り返すべきである。

2018年9月24日 アムネスティ国際ニュース




 
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